「投資の適格性を判断する方法教えてください」
2015.07.10
ブログ
ある会社の経営会議で、
後継者から
「設備投資の案件があるときに
これはどれくらいで元が取れるのか
よい案件なのか判断する方法
がないですか?」
と疑問が語られた。
私は、すぐさま
「ありますよ。
こんど、幹部みんなで
勉強会をしましょうか?」
と提案した。
すると「ぜひお願いします」
ということだったので
さっそく過日、勉強会をした。
――――――――――――――――
話しの筋は次のようなものだ。
投資のよしあしの判断は、
①どれくらいの投資収益率があるか
②何年で元が取れるか
の2つのものさしでみる。
①どれくらいの投資収益率があるか
まず投資額をきちんと出す。
次にそれをしたら
なんぼ利益が増えるか?
想定される年度別に
数字をはじき出す。
そしてこの数字は
キャッシュの増加で計算する。
実のところ
このシミュレーション力が
計算の土台となるから
これはド真剣にしてほしい。
10年を超える場合には
計算は10年にとどめ置き
それ以降は一括して考える。
(くわしいテクはそのときに)
最後に設備の廃棄処分について
も考えに入れておく。
これを事例で説明した。
1億円で機械を買うて
5年間働かせるという投資だ。
1年目 2,000万円
2年目 3,000万円
3年目 3,500万円
4年目 3,000万円
5年目 3,000万円
――――――――――
合計 14,500万円
もうかるというのが試算である。
「さあ、これどうする?」
というのが質問だ。
そこで、出席者に尋ねてみた。
「あんたが100万円
お金をもっているとする。
保険会社のおねえさんが来て
5年間、分割払いで
合計145万円くれる
年金商品をもってきた。
タマちゃん、あんたなら買う?」
「もちろん、買います。」
「せやなあ」
「ほんなら、聞くわ。
これ、オレが持ってきて
オレに投資してくれたら
これだけ払う
いうたらどうする?」
「いや、買いませんわ。」
「せやろ」(笑)
「なんでや?」
「そら、あやしいからです。」
「そのとおり!
保険会社は信用できて
オレは信用できん。」
これをリスクという。
「ひるがえって、
事例の投資案件、
どっちやろ?」
これもケースバイケース
ノンリスクもあれば
リスキーなものもある。
だけど
一般にビジネス
たしかなことは少ないですよね。
つまり、先になるほど
見通しが悪いということ。
では、リスクを折り込んで
なんぼほど儲かるか?
それはどうして計算するかだ。
「こういうふうに
計算するねん。
この話まゆつばやから、
1年目のもうけは10%レスして
話は9掛け、つまり90%
2年目は、9掛けの9掛け
つまり81%。
以下同様というわけや。」
「わかりますか?」
一同「なんとなく・・・」
こうして計算させると
145万円のもうけは
106万円のもうけに変る。
「さあ、タマちゃん
これ買う?」
「うーん、悩みますぅ」
正直な感想だ。
だが、この話
実は、他に魅力的な
投資案件がなければ
理屈からいえば
買わなければならない。
なぜなら、
自分でリスクを10%
と設定して
計算した結果
100万円→106万円と
儲かるのだから。
この10%を
ハードルレートという
いわば自分の最低
運用基準みたいなものだ。
一同
「ふむふむ」
②何年で元が取れるか
それに、毎年の
リターンを類計していくと
何年で元が取れるかも
わかる。
ということで、
後継者が、やおら発言した。
「これ、一人ひとり
自分の過去の事例で
計算してみませんか?」
これは名案だ。
やはり自分の事例で
実習するのが一番力がつく。
というわけで
次回までに
それぞれ計算して
腹におとしてもらうことになった。
――――――――――――――――
余談1.
その後、次の月の経営会議で
技術生産開発の責任者が
さっそく事例で説明してくれた。
投資額 11370千円
投資収益性検討表により
償却期間は4年となります。
すばらしい!
余談その2
別の会社の役員会でも
こんなリクエストがあった。
「冷蔵庫を冷凍庫に改造したら
元が取れるか?」
同じようにして勉強した。
社長いわく
「すばらしい、これええわあ!!」
一つひとつが
マネジメントスキルの教育である。
今回は「数字力」のひとつだった。
会計事務所の可能性を追求する
御堂筋税理士法人&
組織
デザイン研究所
税理士コンサルタント 小笠原 でした。