いま、社員の人たちに伝えるために私の経営の考え方をしたためています
2021.02.27
事務所のこと
久しぶりにブログを書きます。実はいま、社員の人たちに伝えるために私の経営の考え方をしたためています。
経営の考え方を書くということは、わたしの理念や目標、指針、価値観に触れざるを得ず、したがってそれは自伝的な要素も含まざるを得ないため、それはある種の自叙伝的な色彩を帯びてきます。
わたしのような一介の市井人には、『私の履歴書』のような執筆依頼もないですから、自ら筆を起こす動機がなければ、決してこのようなものは纏められません。
しかし、こうした文章を残しておくことは、わたしと親しく仕事をすることのないわが社のメンバーには、組織の精神のバックボーンとなっている小笠原、個人の経験と思想に触れて、それを内面化するために必要で有意義なことだと思います。また、幹部や中堅のメンバーの方たちにとっても、わが社の来し方、精神を見直し、自分を見直すよい機会ともなるでしょう。
2月の10日過ぎから、やおら筆を起こし始めたわけですが、毎朝、数時間PCに向かい合い、昔を思い出しつつ、執筆をつづけています。はじめに、わたしが経験してきたイベント、人や知識との出会い、考え方の源泉をキーワードで羅列しました。出てきた100余りのキーワードを時系列(編年体)に、そしてテーマ別(紀伝体)にまとめました。結局、ストーリー化しやすいテーマ別で書いていくことに決め、具体内容を書き始めていきました。
書きはじめには、どれだけ書かんとあかんねんやろと、茫漠たる気分になりましたが、日を重ねるに連れ、しだいに先が見えてきました。今60%くらいの進み具合でしょうか。
書いていくうちに、いろいろなことが思い出され、あれも書きたい、これも書かねばと、文章が膨らんでいきました。しかし、自分の記憶の呼出し、話の整理、考え方の源泉、複数のことの因果関係、周囲の皆様のご恩の再確認など、たいへんによい経験になりました。
これからの、人材の育成、お客様での指導、セミナーでの講演に、よき材料を提供してくれるのではないかと期待しています。
まだ未完成で、皆さまにご紹介するのも、恥ずかしい限りですが、書き出しと結びを少し紹介しておきます。ご笑覧ください。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
序 わたしの歩んできた道と経営の考え方
1991年に独立して会計事務所を開業して、爾来30年が過ぎた。今から4年前の2017年に代表権を才木さんと松本さんに譲って、いろいろと余裕ができたので、これを機に、後来の諸君のために、MDSJ(御堂筋税理士法人)グループと創業者である小笠原の来し方、考え方をまとめて記しておきたい。
思えば、少年の時からの会計事務所という仕事へのあこがれと、会社員生活を経由しての出口先生との出会いと勤務、そして本当にご無理を言った独立を経て、おかげさまでメンバーの皆さんに恵まれて、ここまで運営をしてこられた。大したことができなくて、皆さんには申し訳ない気もするが、さしたる資質もない人間としては、まあ自分を認めてやりたい気もする。
馬齢を重ね、気がつけば70年に手が届く人生と40年の会計事務所経験、そして30年の経営経験から、わたしがそのとおりだと思う経営のあり方、考え方を述べていこうと思う。ぜひ、読んでもらって、実際に諸君が目の当たりにしている、わが社のあり方の底流、背景にある考え方、その源泉を理解し、心に刻みつけてもらいたい。
本論は、経営を7つのコンセプトでまとめている。その分類と順序は次のとおりである。
Ⅰ 理念・価値観・リーダーシップ
Ⅱ サービス・マーケティング・ネットワーク
Ⅲ 知識とイノベーション
Ⅳ 人材
Ⅴ 組織とマネジメント
Ⅵ 生産性
Ⅶ 事業承継
これらをあらためて見てみると、わたしが敬愛してやまない、P・ドラッカー教授がその著作で述べられているマネジメントの要諦とほぼ合致している気がする。一つ、Ⅶの事業承継は、その独自の重要性から、独立項目として立てた。
わたしの仕事と経営に関する考え方の底流には、5つの形成されてきた考え方がある。
一つ目は、お客様の味方となっての問題解決である。
これは、わたしの幼少期の実家の家業を眺めてきた体験からのものである。それはあまり有能とは言えぬ社長であった母親への好悪の相交った感情に根差している。
二つ目は、サービス品質へのこだわりである。
この根源にある心理的要因は何とも説明しがたいものだが、独特の美意識や探求心、承認欲求、偏執的な性質などが背景にあるのかもしれない。
三つめは、高生産性への執念である。
この背景には、自尊心と経済的欲求がある。
四つ目は、組織の風土へのこだわりである。
これも幼少時のお店の雰囲気に対するトラウマ、好感を持った店の人が辞めていくときに感じる寂寥感から生まれ、子どものころ毎日のように見ていたアメリカの明るいホームドラマの雰囲気へのあこがれから出ている。高生産性への執念と風土へのこだわりは、「明るく元気で厳しい」というキャッチフレーズに集約される。ドラッカー教授の言われる、成果中心主義の精神でもある。
五つ目は、無限の自己成長へのエネルギーである。
これは少年の頃から、「新しい力」「わにのように一生成長し続ける」といったイメージから出ている。
こうした、わたしの考え方のベースに、職業人生での体験からの気づき、多くの思想家の考え方からの影響を通じて、これから縷々お話ししていく考え方が結実していった。
少々長くなるかもしれないが、MDSJ(御堂筋税理士法人のこと)での働きで、諸君が物心両面での豊かな成果を手にできるようにぜひしっかりとわたしの考え方を読んで理解してもらいたいと願っている。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
結 よき経営を行なうための心と目線の持ち方
かくも長い述懐にお付き合いいただきありがとう。このお話を終える前に、最後にわたしの経験と思索の中から、よき経営を行なうための心と目線の持ち方を伝えておきたいと思う。といってもわたしなどそのようなよき経営者の中に入るのかさえ疑わしい。それこそすばらしい会社を築いてきた人はたくさんいる。また、それぞれがご自分なりの経営のスタイルをもって成果をあげてこられたことであろう。したがって、今からわたしが述べることは、あくまでもわたしの経営論、そして経営コンサルタンティングのスタイルからのものである。
1 明確な理念と目標と指針をもつこと
受生の恩に対する感恩、謝恩、報恩、そして立志、さらに父母と先哲、師から教えられた価値観を抱き、それらに基づく成功の確信に支えられ、日々の実行と精進を続けて行くのみである。
2 顧客の立場からものごとを見て、ニッチNo1となるべくサービスをピカピカに磨き上げ、自社をブランド化すること
戦略の本質を見極め、マーケティングマインドをもち、顧客の言動に耳目を傾ける。そして最良の問題解決手段を、まごころというラッピングをしてお届けする。そのめざすところは顧客から見てのNo1企業である。ブランド化が取組みである。
3 リーダーシップを磨き、学びつづけ、自己を高め続けること
リーダーシップとは、手本を示すことで感受される。そのためには、自らが範を示さなければならない。そして、創造性と思考力、人格を磨き、高め、見識を備えなければならない。そのためには、読書とそこから得られたことがらを実践し、日々ふり返り、自己の内面を見つづけることが必要である。
4 生産性を高めるための飽くなき追求を続けること
よき人材を得るためには、それにふさわしい待遇を用意しなければならず、そのためには生産性を高めなければならない。
5 ふさわしい人を求め、人材を育成し、活躍の場を提供し、次の経営者を育てること
その上で、ふさわしい人に来てもらい育て、強みを活かして自己実現してもらうことである。そして多くの人を輩出し、次の世代へ引き継いでいく。
6 手段より本質と目的、大きさよりよさ(真美善)に価値をおくこと
手段より本質と目的が大事なことは自明である。それは自然と人間社会への健全な価値の実現である。すべての意思決定と選択はその観点よりなされる。
7 ビジネスを数字で見える化し、論理的に思考すること
数字ほど誤解のないコミュニケーション手段はない。それは、機会と課題を浮き彫りにし、人間にエネルギーを与え、自信を植え付けるフィードバックを与える。成功している営利組織はすべからく数字をたいせつにしている。
8 時間の意識を持ちつづけること
人間の活動は時間により制約される。すべての成果は活動から生じている。それゆえ、私たちは、自らの時間を生産的な活動に集中していかなければならない。
9 学びつづける組織を築き、思考に限界を設けずに、成長しつづけること
組織の成長と発展は、仮説とその検証による。よき仮説は、よき対話、自由な発言から得られる。そのための風土こそ『学びつづける組織』であり、そうした風土を築きあげる元はリーダーの民主的な姿勢にある。
10 祈る
祈りとは、潜在意識に自己の可能性をインプットし続け、天と自らを結びつける行為である。念ずれば花開く。祈るのは、天におねだりするためではない、見守っていただくためである。だから日々真剣に祈らなければならない。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
さて、このエッセイができあがったら、どのように装丁し、どのように使ったものでしょうか?せめて小さな冊子くらいには綺麗に飾って、そして社員の教育に使ってみたいとは思っています。皆さんからのアイデアもほしいものです。