御堂筋税理士法人創業者ブログ

要約
1 経営計画推進の会議の目的は、業績の達成であり、そのための問題解決である
2 生産的な会議の一番目の要件は、会議の進め方の工夫にある
3 会議の進め方を定める本は、会議の進行シナリオ(アジェンダ)を決めることである
4 会議は「明るく元気できびしい風土」を実現するために、しっかりとルールを定め、
自由な話し合いが行なわれるようにすることである
5 会議を成果あらしめるためにもっとも重要な点は、
議事録を作り、次回に決定事項の実施結果を確認することである

プロローグ
 ドラッカー流経営で背骨になるものは経営計画中心の経営です。そこでは実行管理が問われます。その中核に会議があります。前回はその会議の全体像、会議を効果的にするポイントとして、進め方、資料、スキルの3つのSが大事なことを話ました。そこで今回から3つのSについて順に紹介していきます。まず進め方についてです。

1 会議の進行シナリオづくり
 会議をしっかりとさせるために、最初に会議の設計をします。私が「会議のアジェンダ」と名づけているものです。
 アジェンダでは、会議の名称、目的とゴール、意思決定ルール、メンバーとそれぞれの役割、進行手順と時間配分、資料、会議の準備方法、会議のルールを定めておきます。
会議は、前回の議事録確認→業績と予測の報告と共有→各セクションのパフォーマンスと目標管理している課題の推進状況報告→課題についての議論→議事録の確認、といった順序で進めていきます。所要時間は、おおむね2時間から半日程度です。
 さてアジェンダを作るには、最初は2時間程度かかると思いますが、じっくりと会議のあり方を考えることができますし、アジェンダがあると、運営がスムーズになります。その後は、さほど時間も掛りませんから、毎回作るようにします。

2 メンバーの役割分担
 会議におけるメンバーの役割分担は図のとおりです。大事な進行係はファシリテーター(Fa)と呼ばれます。Faは会議の進行をつかさどります。通常、会議を主催するリーダー(社長)はFaをしません。Faをするには多少のスキルが必要ですから、メンバー全員が研修や読書で学ぶことが求められます。
 事務局が重要なのはいわずもがなですが、強調したいのは議事録係です。これはメンバー外の書類作成能力の高い人にしてもらいます。議事録とその使い方は効果的な会議のポイントなので、のちほど詳しく触れます。
 リーダーはもちろん知見が高く議論をリードすることは当然ですが、最大の役割は、会議の場におけるメンバーが安心して自由に意見を言えるようにすることです。そしてメンバーの役割は、会議の進行に協力すること、そして多様な意見を述べることです。
 これはドラッカーも強調していますが、中小企業では外部者を経営に参画させることが必須です。それは井の中の蛙となりがちな組織に外部の風を送り込み、的確なフィードバックができるからです。

3 会議のルールを定め、生産的な雰囲気を創る
 会議を生産的にするとは、会議を効果的で効率的にすることです。そして会議の雰囲気(それはしいては組織の風土なのですが)の目標は、ドラッカーがいう成果中心の組織を実現したものです。それを私なりに表現すると「明るく元気で、業績にきびしい」ということになります。
 そのために会議のルールを決めておきます。私は20条ものルールを定めています。ここでそれを隈なく紹介はできませんが、ドラッカーが『経営者の条件』で言及しているのは、発表における報告と議論の分離と会議の目的に直接関係しない話を持ち出さないという点です。実際にそのようにすると、会議の進行がとてもスムーズになります。
 また会議では自由闊達な議論が望まれます。そのために大事なのは席の配分です。権威主義的な席順を避けるようにします。そのために席順は予め事務局で決めておいたり、くじ引きで決めたりします。

4 議事録の重要性
 議事録は会議の効果性を高めるためにもっとも重要だとさえ言えます。それは経営計画の推進を目的とする会議において、その目的は所定の目的を達成することであり、そのための問題を解決することにあるからです。
 議事録には、会議で決まったことを記録します。その内容、それを実行する責任のある人、期限です。通常期限とは、最大次回の会議までとします。議事録の内容は、会議の終了時に読み上げ、内容に誤りがないかまた漏れがないかを全員で確認します。
 決定事項は、次回までに対応することが求められます。なぜなら、議事録は、次回の会議の冒頭に全文を読み上げ、その実行状況が確認されるからです。したがって、未着手であることやあやふやな回答は許されません。そこに、問題解決を確実に前進させるしかけが内包されているのです。これが議事録が会議においてもっとも重要だといえる根拠があるのです。

以上

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