ドラッカー経営を中小企業で実践する⑱-会議のスキル
2024.07.01
コンサルティング
要約
1 会議の議論の質は、コミュニケーションのスキルによる
2 コミュニケーションのスキルとは、報告・発表、傾聴、質問、応答のあり方をいう
3 効果的な会議は、リーダーの聴く姿勢、メンバーの協力と闊達な発言による自由な意見交換がだいじである
プロローグ
効果的な会議の3要素、3Sの最後は参加者のスキルです。それにはコミュニケーションの取り方と会議に参加する心がまえがあります。それでは順に見ていきましょう。
1 コミュニケーションの取り方
会議におけるコミュニケーションの取り方として、報告・発表、傾聴、質問、応答があります。経営計画を推進していくための会議では、業績との確認と情報共有、機会の追求、課題の解決、意思決定がなされていきます。その場合、効果的に議論を進めていくためには、的確なコミュニケーションが求められます。その基本はロジカルであること、つまりすじ道が通って論理的であることです。
(1)報告・発表
まず報告・発表は、3分とか5分など時間を定めて行ないます。そして、計画→実行結果→評価・気づき→今後の予定 とか、結論→理由→具体例→結論(PREP法)のようにすじ道を立てて行ないます。決してとりとめのないような話し方はさけてください。
(2)傾聴
次に話の聴き方ですが、そのポイントは傾聴ということに尽きます。傾聴のポイントは、聴いているということを態度で示すことですが、まずは話の腰を折らず、最後まで聴くことです。コミュニケーションの原点は、よく人と場を観察することであり、またコミュニケーションのコツは、人の話を聞くことから始まりますから、話を聴きことはコミュニケーションの出発点となります。
(3)質問
3つ目は質問の技術です。質問は議論を活発にし、具体化し、深めるための決定的なポイントです。質問には3つの目的があります。まず、自分が話の内容をよく理解するため、次に、相手によりよく考えてもらうため、最後に、テーマの内容を深めるためです。
経営系の会議においては、問題解決あるいは意思決定がなされることがメインとなります。その場合、問題の定義、原因の特定、解決策の決定、結果の検証、効果のあった施策の定式化のステップを踏んでいきます。参加者は、議論が今どのプロセスにあるかを認識しながら次のステップに進めるための質問をしていきます。
質問の基本は、相手が自由に考え、答えられるような質問のしかたをすることです。それをオープン・クエスチョンと言います。例えば、「その問題を解決する方法として、どんな方法があるかな?」といった風です。
(4)応答
最後に応答です。応答とは質問に答えることです。もっともだいじな点は、質問に対して、質問者がストレスを感じないように、適確に答えるということです。適確とは、質問に対してストレートに、手短かに答えることです。例えば、あらかたの数字で答えることや、ざっくりと自分の意見を決断をもって述べるということも一例です。
下に、これらコミュニケーションのあり方のポイントをまとめておきますのでご参照ください。
【会議におけるコミュ二ケーションのポイント】
2 参加者の心がまえ
(1)リーダーの心がまえ
会議においてリーダーがもっとも心しなければならないことは、会議の場の雰囲気を建設的なものに保つように、場を擁護するということです。そのための要諦は、感情のコントロールです。そのためにこそリーダーは修養しなければならないのです。そのための処方は、ただリーダーの自覚とふりかえりがあるのみです。
(2)メンバーの心がまえ
会議においてメンバーがもっとも心しなければならないことは、会議に協力するということです。さらにもう一つ、異論があれば表明するということです。ドラッカーはよい意思決定のためには反対意見が不可欠であると述べています。この2つはフォロワーシップつまりフォロワーたるの道のポイントです。勇気をもって望んでください。
(3)外部者の心がまえ
最後にあなたがもし外部者であるならば、外部者の価値を発揮する必要があります。それは外部者でなければ言えない意見や感想を率直に述べることです。外部者は迎合するために会議に居合わせるのではありません。会議の価値を高めるために出席しているのです。
3 まとめ
以上、会議に参加する場合の、コミュニケーションの取り方、参加者の役割に応じた参加の心がまえを述べました。皆さんもよく意識され、相互に学びあいながら会議の質を高めていってください。
以上