会計事務所のスタッフは特殊な立場の仕事
2017.01.10
会計や税務のこと
ルネッサンスから
近世、近代へと
経済と社会が
進化発展するにつれ
利益やお金がいくら残ったかを
計算する必要性が増していった。
それで世の要請で
会計士なるチェック係の仕事が生れたし
商売人一般は
帳面をつけるなどという
七面倒くさいことは苦手だから
儲けに対して税金をかけるに際し
税理士なる仕事が生れたのだろう。
わたしが会計事務所に入所したころ
わたしはあまり
決算書の見方も税の知識もなかった。
よくぞお客様が
出入りを許してくださったものだと思う。
まだ世の中が
そんなものだったからかもしれない。
お客様の帳簿の仕訳をチェックするか
仕訳をできない方には
代わりに仕訳をしてさしあげ
試算表を作ったりしていた。
すると必然的に
このお客様はなんぼ儲かっているか
あるいは損を出しているかがわかる。
わたしが商売人のせがれ
だからかもしれないが
この数字には尋常ならざる関心を
はらわざるをえない。
数字が単なる数字ではなく
喜びや悲しみを伴って
ぐさっと心に突き刺さるからである。
そういう意味では
お客様の儲けや損をあらわす
数字は他人ごとではないのである。
なぜならぼんやりと考えても
損を出し続けたら
いつかこの会社は倒産する
だろうからだ。
お客様が倒産すると
会計事務所の必要性など
まったくなくなる。
そうすれば私の仕事は
なくなるのだ。
これはおそろしい不安である。
この不安の原点は
わたしの子供から学生時代の
体験に根ざしている。
わたしの実家は
小商売人のすし屋で
母が経営をしていた。
わたしは中学生のときから
店の帳面をつけていて
毎日、売上と粗利益と利益を
計算していた。
売上が15万円を超えると
むちゃくちゃうれしかったし、
売上が9万円台以下になると
とても不安でさみしくなった。
その感情が転移しているのだろう。
だから、お客様の
月々の儲けには
とても敏感で深淵な関心を
はらわざるを得ない。
こんな性質の仕事たるのは
ひとえにお客様の
儲けの計算をしているからだ。
その後わたしが
経営の改善や節税などに
大いなる関心と興味をいだき
熱心に勉強をし出したのは
こうした原点があるからだ。
わたしの後をついてきてくれる
後輩諸君にも
お客様の数字を
このような感性で
受け止めてほしいものだ。
経営コンサルティングと
会計事務所の融合
組織デザイン研究所&
御堂筋税理士法人
小笠原でした。