御堂筋税理士法人創業者ブログ

さて、映画の入り口では、

洋画一辺倒だった私だが、

いろいろな映画の本を

ひらい読みしているうちに

やがて、日本映画の魅力に

触れるようになっていった。

 

その機会は、はじめの頃は

自主映画上映会だった。

会員になって、16mmの

粗い画面、質の悪い音を

がまんしながら見続けた。

平日の夜、勉強もせずに

見に行っていた。

 

木下恵介、市川崑作品などだ。

多くは、一人の監督の作品を

連続して上映してくれた。

 

木下恵介だと

『カルメン故郷に帰る』

『野菊のごとき君なりき』

『楢山節考』

『笛吹川』…

市川崑だと

『私は二歳』…

成瀬巳喜男だと

『浮雲』…

これも枚挙に暇がない。

 

 

(野菊の如き君なりき)

 

当時の日本映画でも

実に多くの名監督がいたが、

しかし、なんといっても

圧倒的だと思ったのは

溝口建二、小津安二郎、

そして黒沢明の三人である。

 

この三人は、

優劣のつけようがない。

 

溝口健二のあのリアリズム

女の、虐げられた者の

悲しみをこれほどまでに

カメラを通じて冷徹に見つめた

作家のいないのではないだろうか。

『浪速悲歌』『祇園の姉妹』

『西鶴一代女』『山椒大夫』

『雨月物語』・・・

いずれも傑作ぞろいだ。

 

『西鶴一代女』のラストシーン

落ちぶれた山田五十鈴の

歩く姿を、カメラは上方にパンして

哀し気に、しかし冷静に見つめる。

長回しの真骨頂である。

一本あげるとすれば『雨月物語』だろう。

https://www.youtube.com/watch?v=gefhBoF_EZw

 

小津安二郎は、

市民生活と日本の家族制度の崩壊を

描き続けた。

端正極まりないその映像は、

移ろいゆく日本のよき姿を

黄昏のように表現していた。

畳の上において微動だにしないカメラ

カメラに正対して微笑を絶やさず

話し続ける父と娘

笠智衆と原節子

『大学は出たけれど』

『麦秋』『晩秋』

『東京物語』・・・

どれも甲乙つけがたい。

一本あげるとすれば『東京物語』だろう。

https://www.youtube.com/watch?v=LjDWc-lQYnM

 

黒澤明

日本人離れした

ダイナミックで緊張感に満ちた

ドラマツルギーと映像美

とにかく今見ても衝撃的だ。

『羅生門』『野良犬』

『生きる』『七人の侍』

『蜘蛛巣城』『用心棒』…

まだまだある。

一本あげるとすれば『七人の侍』だろう。

https://www.youtube.com/watch?v=AxKjtAONFz0

一昨年の年末にも、

衛星テレビで黒沢作品が一挙に放映されたが、

いくらみても、厭きない。

その映像表現力は圧巻である。

そのリメイクや借用は

スターウォーズをはじめ

実に多くの作品で見られる。

 

この三人は

日本映画が世界に残した

不滅の金字塔である。

 

一時、低迷した日本映画も

昨今は、また若き俊英たちが

続々と排出され、

すばらしい時代を創ろうとしているようだ。

立派なことだと思う。

 

そういえば、一時

アート・シアター・ギルド(ATG)

という制作会社があって

大島渚や篠田正浩などが

メジャーで創れない作品を

つくっていたなあ。

大阪だと、『北野シネマ』で

よく上演されていた。

 

しかし、私の映画への熱も

大学に入ると急速に冷めていった。

 

爾来、四十数年が経つ。

 

なので、それ以降の映画は

わずかな例外を除いては

ほとんどわからないといってよい。

 

その例外の一つが、

三十代のころはまった

大林宣彦の作品群である。

『転校生』、『時をかける少女』

そして、とりわけ、『さびしんぼう』は

子どもたちを膝にのせて

何十回見ただろう。

 

原田知世、富田靖子など

どういう観点で

ヒロインに選んでいるのかしらないが

チャーミングで、

大林監督の手にかかると

素人ががぜん輝きを発するから

不思議だ。魔術師ですね。

あまりにもハマったので

はずみで、ある女優の名前を

娘の名前にいただいたくらいだ。

 

あまく切ない初恋の味が

映画全体から

橘の花のように匂ってくる。

 

傑作、さびしんぼうでの

母の初恋と

主人公である息子の初恋を重ね合わせ、

それを、ひとつとして変なところがなく

あくまでもピュアに組み立てた作話術。

 

雨の中、主人公のヒロキを待つ

さびしんぼうの姿、せりふ、

幾度みても涙があふれてくる。

https://www.youtube.com/watch?v=AMa2MTeXcxY

(29分から37分のところを見てください)

 

それに音楽だ。

自身で創った曲もすてきだが、

(たとえば『ふたり』の「草の想い」)

 

彼が選んだクラッシックの曲目’sは

わたしの音楽への格好の導き手となった。

 

ショパンの「別れの曲」を巧みに使った

『さびしんぼう』

特に、『異人たちとの夏』で使われた

プッチーニのアリア

「私のお父さん」は鮮烈だった。

 

また、

『さびしんぼう』や『時をかける少女』

でのエンディングの音楽と映像も

映画の余韻をたしかめる

すばらしい作り方だと思う。

https://www.youtube.com/watch?v=RBSozb8D85g

 

尾道三部作に魅せられて

幾度も父の故郷に近い尾道を

青春切符を使って訪れたものだ。

子どもたちにもその好みは

ずいぶんと伝染しているだろう。

 

話しは変わるが少し前、

今もやっているかもしれないが

『午前の十時の映画祭』

と銘打った年寄りにはありがたい

洋画名作上映を

家内とよく見に行った。

 

『サンセット大通り』(ワイルダー)

『山猫』(ヴィスコンティ)

『大いなる西部』(ワイラー)

『甘い生活』(フェリーニ)

『道』(フェリーニ)など

見逃していたり、

見る機会がなかった名画の数々を

そこで見させていただいた。

 

中でも、もっとも衝撃だったのは

フェリーニの『道』(La strata)だった。

野獣のような男が

旅芸人として

なかば金で買った

無垢の女を連れまわし

死に至らしめる。

最後は浜辺で後悔で慟哭する。

きわめて宗教的なドラマだった。

 

この映画で

フェリーニが言いたかったテーゼは、

少なからずわたしの精神と人格に

影響を与えている。

 

今は死んだであろう女を

追走して夜の浜辺で慟哭する男を

空中から取ったラストシーンは

冷酷で、不思議に愛情に満ちた

映画史に残る名シーンであった。

https://www.youtube.com/watch?v=dLfmnevBu5A

 

さて、熱が冷めてからの

映画の話しはこれくらいにしておこう。

青春の残照のよき思い出である。

 

経営コンサルティングと

会計事務所の融合

 

組織デザイン研究所&

御堂筋税理士法人

 

小笠原でした。


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