苦闘する経営者への応援歌
2009.09.04
ブログ
大阪のコンサルティング税理士 小笠原 です。
月例の事務所の経営会議を終えて、
午後の遅い目から〇〇県へ飛んだ。
夕方、お客さんの相談に乗るためだ。
わたしの依頼者は婿として会社に入り
昨年他界した義父を継いで
本当に紆余曲折の上、社長となった。
そして今、先代世代の経営陣内部の問題から
ごたごたへの対応を余儀なくされている。
詳細はなかなか書けないが、
状況からして、相当解決が困難な課題である。
相手は事業の切り離しを望んでおり
依頼者もそれには異存はない。
いや、一刻も早くそれを実現して
本業にまい進したいところである。
この経済状況からそんなごたごたで
経営のかじ取りを中断している場合ではないのである。
問題はどうして事業を切り離すかという方法論である。
彼と私とは当初、税金の問題、
切り離し後の資本充実の問題などなどから
ある方法によるシナリオを描いていた。
しかしその方法を相手からみた場合
とても合意に達するようには思えない状況になってきたのである。
私は、別の方法を提示した。
それはとてもオーソドックスな方法であり
それゆえ採用しなかったあるいはしにくい方法なのである。
また、それともまったく別の方法も提示した。
それは、なかなか妙案でもあった。
しかし、いくつかの潜在リスクも引き続く案であった。
事業の切り離しには悩ましいリスクがある。
銀行や仕入先がどのようにそれを支えてくれるか?
従業員がどのように納得してくれるか?
世間の目がどのようにそれをとらえるか?
彼が抱えている問題は、
女婿であり、他業界から途中でこの会社に飛び込み
火中の栗をひらった新任の経営者には
抱え切るには、目一杯の大きすぎるもののように見える。
淡々冷静を守ろうとする、彼の述懐には
それでも時折、その目に熱いものが堰を切るきざしも感じる。
その思いは、わたしにはいたいほどびんびんと伝わってくる。
私は、オーソドックスな処理を促すことを決断した。
理由は
・それ以外に判断力に問題のあると思える相手を納得させる可能性が
きわめて乏しいと感じること
・この男は、経営の課題の解決力や突破力、倫理観において
絶対に企業をつぶさない男だと確信していること
・この重圧と呪縛から解き放されたとき、彼の内部のマグマは
途方もないパワーを発揮するはずだという確信があること
・そして何よりも、彼の精神衛生のためにも、
早くこの状況を終わりにさせることが必要だと感じること
会社を分け、その上で株式の持ちあいを解消するアイデアも発見した。
彼とは高々3、4年の付き合いだが
彼の義父への思い、社員を大事にする思いは
いたいほどわかっているつもりだ。
そしてそうした情緒は本物だとわかっている。
そして彼の経営力も。
それは、実践構想力と推進力、それに根底をなすinteglityだ。
(integlityは誠実さと訳され、P・ドラッカーにおいて、
経営者が唯一不可欠に持たねばならない資質だとされた。
(『マネジメント』ダイヤモンド社刊))
彼のサイドからは、悪者に見える交渉相手だが
彼とそのあと食事をしながら聞いたよもやま話を重ねるにつれ
私は相手から見た世界の風景、その思いも
なんとなくわかるような気になってきた。
それゆえ、ますますオーソドックスな解決策が
最良のように思われていった。
わたしは、少し情緒的な彼とはちがい
決断という点では、かなり合理的でスピーディだ。
それを言ってあげることが、
隘路に入っているように見える彼には
困難な選択だが福音であるはずだという思いもある。
わたしは、彼が私を頼ってくれる思いをよく受け止めているつもりだし
それに応えて、実践と理念の両面から、
彼と企業、従業員と家族、そして先代の遺徳を支える意思だ。
同様の熱い思いに共感できるとともに、
第三者としてのジャッジもする立場から。
艱難汝を玉にす。君ならできる!(わたしもサポートするから)
コンサルティングに強い税理士小笠原/河原事務所 大阪 小笠原でした。