GWの過ごし方
2024.05.04
プライベートなお話
今、まさにゴールデン・ウィークのまっさかりである。テレビのニュースでも日本中で人の移動がかまびすしいことが報道されている。近場で楽しむ人、海外にまで足を伸ばす人、さまざまである。
私は、子供のころ家が飲食店をしていたので、GWなどなかった。長じて就職し所帯を持って、GWは本当に楽しみな時季となった。5月はドイツでも「麗し五月草木は萌え…」と歌われるくらいこの時季はほんとうに爽やかですてきな季節だ。次々に花が咲き移ろい、気温が体にやさしい。
結婚した翌年だったか、妻が許してくれて念願の大阪→青森間の長距離列車『日本海』に乗って旅をしたことがあった。青森から十和田を巡り、松島を巡航した。サラリーマン人生に飽き足りない思いの私には束の間の開放されたひと時であった。
やがて、子供たちに恵まれると、GWは想い出づくりの時節となった。大した収入もなかったからさほどの贅沢もできなかったが、貧乏所帯なりに精一杯楽しんだものだった。天の橋立に行こうと京都からバスに乗ったら渋滞で5時間くらい掛ったこともなつかしい。
子供たちが大きくなると、皆で旅行などはなかなかできなくなった。さあて、どのようにGWを過ごしていたのか、寄る年波で記憶がぼんやりして定かではない。
初老を迎えてころから、まとまった日にちをとって車で少し遠くに逍遥するようになった。特に気に入ったのは信濃は大町地方である。関電が経営する御用達ホテルがあって、そこはプールもあってゆっくりできるので気に入ってかれこれ15年は通っている。
特にすることとてないが、近くを散策したり、部屋で読書したり、知り合いになったレストランに通ったり、そんな小一週間が心地良いのである。贅沢な時間が過ぎる。日本ではこういったホテル暮らしはあまりはやらないから、『くろよん』暮らしは貴重なオケージョンである。
特に、孫ができてからは、物心もつかぬうちから旅行に連れて行って、それがとても楽しかった。幸い孫たちはどの子も静かに遊んでくれるので助かる。さてそんなことが7、8年続いただろうか。じじばばにとっては至福の時間であった。
しかし、ぼちぼち孫との想い出作りも終わりになろうとしている。もちろんまだ年端も行かぬ孫たちが控えているから、まだまだ楽しめるのだろうが、あいにくこちらの体力がしだいに落ちてきているし…
そこで、思い切って今年からGWの過ごし方を変えてみた。GW中はのんびりと家にいることにしたのである。考えてみると、GWに出歩くのは、お金もたくさん要ることだし第一人出がすごい。私は人込みが苦手だから、今自分の部屋にいて防音効果の優れた窓の中にいると、外界の音もほとんど遮断され落ち着いた時を過ごせている。第一財布がほとんど軽くならない。階下に降りると拙宅の近辺は最近できた美術館に来られる人たちでけっこうにぎやかなのだが、自宅は別世界である。
とはいえ、元来がイベント好きの小生ゆえ、黙ってこのまま引きこもっているつもりはない。実はGWが明けたらちょいとした旅に出ようと思っている。信州から飛騨、越前を愛車で巡るつもりだ。なじみのホテルも料金は当然ながらお安いから、年寄りは閑散とした時期にスローペースで楽しむのがいいだろうと思いついたのである。
飲食店の方などはよく繁忙期が終わってからしばらくお休みを取られるが、それと同じ感じである。人が忙しくされているときに、自分はのんびり過ごさせていただくのは、少しばかり罪悪感があってスリリングで小気味よい。
今年から、少しずつ生活をシュリンクさせていこうと思っているが、こうしたところから節約していくのもよいのではないかと、ひとり悦に入っているしだいである。