御堂筋税理士法人創業者ブログ

 御堂筋税理士法人の小笠原です。私がお客様の経営のサポートをし始めて早いものでもう45年も経ちました。光陰矢の如し、少年老い易く学成り難し。私もぼんやり過ごしてきて、気がつけば、ぼちぼちキャリアの大団円を迎えつつあります。

 私の経営コンサルティングのあり方は、基本的にはドラッカーさんの考え方に基づいています。企業の経営に関するドラッカーさんの主著といえば、わたし的には『現代の経営』と『マネジメント』ですが、しかしそれらの膨大な内容を自分なりに咀嚼して、要約すればどうなるのか?これが私のキャリアを締めくくるにあたっての私の仕上げの仕事、問題意識です。ここのところ数年そのことをあれこれと脳裏に描き考えてきましたが、なかなか具体化できませんでした。

 先日、ふとそれがひらめきました。そして一気呵成に紙に書きつけてみました。アメリカ人はとりわけそうですが、彼らはコンセプトの頭文字をとって、なにか気の利いた単語に仕立て、それを象徴的に表す言葉で表現するのが大好きなようで、私もできればそんな風に言語概念化したいなと思っていました。

 そしてようやく納得できるコンセプトに仕上がったので、思い切って皆さんにご披露することにしました。ご笑覧いただければうれしく思います。

 私たちは、ドラッカーが『マネジメント』で書かれていることをどう体系化して取り組めばよいのか?私は次の4つにまとめられると思います。

まず『計画』です。
 企業経営のめざすところは、世の中に役立つものを提供し、経済的な業績を挙げ続けることです。そのためには『ニッチNo1』、つまり分野を絞り込んでそこでNo1の存在になることです。そのための方法が戦略です。そしてそれを進める上での人事・財務・情報などの施策にも工夫が必要です。さらにそれらの戦略や施策を具体的に推進していくためのしくみも必要です。これらをまとめたものが計画です。計画は、立案と実行で成り立っています。両方が揃っていないと、いわゆる『絵に描いた餅』になります。私の支援はこの実行に極度にこだわっているのが特徴だと自負しています。

次に『組織』です。
 私が多くの中小企業を指導してきて、もっとも欠けているものの一つが組織というものをきちんととらえて、それを整備し、ルールに従って運営するということです。それで多くの企業では、メンバーが混乱し、対立し、軋轢が生じ、うまく経営をしていけていません。それは創業者の多くが、きちんとした組織で仕事をしてきた経験がないからだと私は睨んでいます。そこで、まず『組織図』というツールを使ってあるべき組織をしっかりと組立て、そして意思決定やコミュニケーションなど組織運営のためのルールを定めそれを守らせます。

3つ目は『風土』です。
 風土は、組織の長期のパフォーマンスを決める基です。経営の進化発展は、試行錯誤の連続によるものですから、何よりもその風土は、自由にものが言えることがだいじです。私はそれを『学び続ける組織』と呼んでいます。そしてそうした風土を創り上げるためには、地位や報酬の人事の制度をきちんと整備し、それを決定し人を動機づける評価のしくみを定めそれを愚直に運用していく必要があります。そして、そうした風土を創って行くもとはトップのリーダーシップ、つまり手本を示し続けることにあります。そのためにトップの思考力と反省力がなによりも求められます。そしてそれらを基に、チームビルディングに取り組み、動機づけをし続けていくわけです。

最後は『育成』です。
 人間が成し遂げる成果は、なによりも『精神』のわざです。従って有為な人材がいれば世界を制覇できるわけです。そして人は教育によってつくられます。氏より育ち、DNAより教育です。そのためにはその前提として採用にこだわり続けなければなりません。メンバーシップの資格はなによりも大事です。そのキーワードは『すなおさ』です。そしてメンバーをしごとにより育てます。これをOJTといいます。さらに教育します。そのためには、人材育成のプログラムとしくみ、実践が必要です。このことはほとんどの中小企業で真剣に行なわれていない事柄です。

 以上の『計画』『組織』『風土』『育成』という4つの課題は、大きく2つに分けられます。それは、『中身(Contents)』と『進め方(Process)』です。
 経営の『中身(Contents)』は『計画』です。そして経営の『進め方(Process)』は『組織』『風土』『育成』です。
 ものごとについて成果を挙げるためには、『中身(Contents)』と『進め方(Process)』の両方が必要です。これを成し遂げるためのたゆまぬ精進をダブルループ学習といいます。
 そして、これらの4つに取り組んでいくことが、高業績企業を創りだすためのオーソドックスな方法であり、私がドラッカーさんの考え方を実践し、考え続け、咀嚼してきた一つの到達点です。

 私はこの4つを、『計画』=Plan、『組織』=Organization、『風土』=Spirit、『育成』=Training、と名づけ、それらの頭文字を合わせて『POST』と表現しました。
 ポストとはこの場合『支柱』のことです。ギリシャ神話の英雄ヘラクレスがジブラルタルで創ったあのポストであり、アルキメデスに私に支点を与えてくれれば世界を支えて見せると言わしめたあのポストなのです。

 では最後にPOST経営のコンセプトをまとめておきます。

P  経営計画中心の経営 Planned Management

    - 経営計画、実行管理、業績数値資料、問題解決と価値創造の会議

O  組織の組立てとルールの整備 Organizational Structure & it’s Development

 - 組織体制、コミュニケーション・意思決定ルール

S  組織風土の構築 Building an Organizational Spirit

 - 人事制度、評価、リーダーシップ、チームビルディング、動機づけ

T  人材の育成 Training and Development of Members

 - 人材採用、人材育成制度、OJT、教育

 なんだか、自分では頭がすっきりとした気がします。ご参考にしていただければうれしく思います。

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