御堂筋税理士法人創業者ブログ

高校生の時、

勉強科目のうち社会科では、

日本史と世界史のどちらかを

選択することになっていて

わたしは世界史を選択した。

 

その理由は、日本史は、

藤原○○さんが

山ほど登場する(ように思った)ので

脳みそのメモリーが

焼けこげると思ったからだ。

 

ところで、世界史では、

始めの方で、

ギリシアの歴史が出てくる。

 

ご記憶の方もあろうが、

そのなかでは、

いろいろな哲学者や文学者の名前が

その著書とともに出てくる。

 

ホメーロス、ヘシオドス、

そして、ヘロドトスにツキュディデスなど

ヘロドトスは『歴史』で、

ツキュディデスは『戦史』で…などと

受験のために丸暗記したものだ。、

 

おかげで、人と本の名前は

記憶の片隅に残った。

しかし、それらの何ひとつ

読んでいないわけで

当然のことながら、

中身はさっぱり見当がつかなかった。

爾来、半世紀…

 

さて、小生、読書が日課の生活だが

少し前まで、

むずかしい本ばかり読んできて

あたまが疲労困憊したので、

今は、物語にはまっている。

 

ちょうど読んだのは、ヘロドトスの『歴史』

 

(岩波文庫の『歴史』、しごく読みやすい)

 

ヘロドトスは、前5Cの人で

アテナイ文化の最盛期を生きた人である。

 

この、『歴史』という本は

ヨーロッパに侵攻してきたペルシャと

結束して迎撃したギリシア連合軍との

戦いの記録である。

 

わたしにはよくわからないが

ギリシア時代は、

ヨーロッパの人たちにとっては

古代、神話の時代の理想郷であり

とくにこのペルシャ戦争による

ヨーロッパとアジアの戦いによって

ヨーロッパがアジアを

打ち負かしたことは

彼らの原風景のイマージュ

なのではなかろうか?

 

『歴史』があつかう年代とできごとは、、

小アジアにあって

アジアの覇権を握っていた

クロイソス王

(ギリシア神話でエピソード化された人)

のリュディアの様子から筆を起こし、

 

そのリュディアを破って覇を唱えた

キュロス王率いるペルシャ民族が、

カンビュセスを経て、

ダレイオスとクセルクセス親子に至る

4代の王による、

アテナイを討ち、ヨーロッパを

征服しようとした戦いの全容である。

 

余談だが、キュロスとは

ドラッカーが、『現代の経営』において

「リーダーシップを学ぶには

『キュロスの教育』、一冊読めばよい」

と言わしめた、

クセノポンの著作の主人公である。

 

ちなみに、ドラッカーの

ご託宣はまことにもっともで

経営者が読むに値する名著である

と私も感じている。

 

さらに、余談を重ねると、

クセノポンは、

ソクラテスに師事した人で

かのプラトンと兄弟弟子であり、

プラトンに対抗しようとて

幾多の著作をものにした作家である。

 

プラトンのような哲学的思索の書物は

後世に残さなかったが、

ソクラテスの生きざまを

生き生きと今に伝える

『ソクラテスの想い出』

(チョーお奨め)

 

 

傭兵としてペルシャに渡ったものの

雇い主が突如世を去り

孤立したギリシア人傭兵たち、

約2万人を率いて

ギリシアに帰還するまで

自らリーダーとしての

逃避行の記録を記した

興味深い、『アナバシス』、

 

さらには、

ヘロドトスの『歴史』と、

その後の内戦時代を描いた

ツキュディデスの『戦史』

のあとを受けて、

アテネ・スパルタの衰退と

マケドニアの勃興の時代を描いた

『ギリシア史』などの

著作を残している。

 

このクセノポンの

実務家としてのキャリアや

率直で平易な書きぶりを

わたしは好む。

 

話はもどって、この『歴史』、

ものすごい取材力によって
詳細に物語った

一大ノンフィクションである。

 

ペルシャが、ギリシアに

侵攻するにいたった経緯を

実に詳細をきわめて語ったあと、

 

とてもダイナミックに

かつ実況中継的に

両者の戦いその中で活躍した

多くの勇者たちの

行動、顛末を描ききる。

 

ローマ時代の文芸評論家、

ロンギノスの修辞学によれば、

 

ツキュディデスが、

ひたすら戦争の流れを追って

ひたすら一直線に筆を運ぶのに比べ、

 

ヘロドトスは、

ときおり横道に逸れて

(少し長すぎると思うが)

わたしたちを一服させてくれる。

 

その構成の妙味で

後者の方が優れているとの評価である。

 

わたしもまったく同感である。

ツキュディデスは凄惨すぎる。

この歴史の方が芳醇である。

 

事実は小説より奇なりとは

よく言われたことだが、

ぐいぐいと

わたしたち読者を

ひっぱっていく筆致は

訳者、松平千秋さんの

こなれた日本語訳のおかげもあって

息つく暇もなく、

一気に読ませてくれる。

 

結局は、戦いは

物量、資金において

圧倒的に不利だったギリシアが

各都市国家(ポリス)間の

確執を乗り越えて

 

同じ言葉を使う、

同じ民族という意識と

民族の危機感から団結し、

 

大ペルシャ帝国に

敢然と立ち向かい

地勢を知る利、謀略戦の活用

さらに、暴風雨など天も見方して

ついに勝利をつかんだのであった。

 

あとに残されたのは、

戦いのさなかで斃れていった

英傑たちの多くの碑であった。

正に、「兵どもが夢の跡」である。

最後のくだり、その余韻がすばらしい。

 

ここに、ギリシア精神は

アジアの独裁制を破り、

ヨーロッパの民主主義の伝統を

後世に伝えたのだった。

 

結局、ペルシャ軍は

頼りになるのは本国人だけで

あとの属国の兵士たちは

まったく頼りなく、当てにならなかった。

烏合の衆では、いくら数を揃えても

戦力たりえなかったわけだ。

ビジネスでもまったく同じだろう。

 

その400年後

ローマの思想家、キケロは

ヘロドトスを

『歴史の父』と呼んだ。

 

それにしても、まるで

その場に居合わせたかのような

生き生きとした登場人物たちの

ことばと行動を語る語り口!

 

一体、ヘロドトスは

どのようにして

そうした取材をなしえたのだろうか?

 

その取材の踏破範囲は、

北は、黒海の北部地方、

東は、バビロン、

南は、エチオピア、

西は、アフリカ西部にまで及んだという。

古代にあっては

驚嘆すべき取材力である。

 

大和民族が、いまだ文字も持たず

縄文文化にあった2500年前

幾多の民族がひしめき合う中で

おのおのの民族が

智謀の限りを尽くして

存亡をかけて争った。

 

映像で記録する術がなかった古代

まるでドキュメンタリー映画を見るように

英雄達、兵士達の

表情が眼前に浮かび

息遣いまでも聞こえて来そうな

この叙事の描写は

驚嘆を超え、五感に迫って

私たちに貴重な史実を伝えてくれる。

 

ものすごい取材ぶり、

ジャーナリスト精神の鏡であろう。

もって、後続の人たちに

大いなる刺激を与えた。

 

まさに、『歴史の父』と

呼ぶにふさわしいのではなかろうか

ただただ呆気に取られるのみである。

 

経営コンサルティングと

会計事務所の統合

 

組織デザイン研究所&

御堂筋税理士法人

 

小笠原 でした。


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