御堂筋税理士法人創業者ブログ

大阪のコンサルティング税理士 小笠原 です。

12日の続きですが、
その後、お昼からパナソニック電工さんにおじゃまして
社員の方々のフォロー・トレーニング
夕刻から、森の宮で永和信用金庫さんの
お客様の集まりでの講演会をさせていただきました。
これはその集まりの代表幹事をしておられる
あきんど塾でご一緒した中山工務店の中山さんのご紹介です。
中山さんほんとうにありがとうございます。

さてパナソニックさんのトレーニングは
直接的には前に行なった時間管理と論理思考のフォローでした。
みなさんの理解度と実践度、今後の取組み意欲を
シートにまとめてもらいみなさんで話し合ってもらいました。
最後に時間があったので、
ものの見方・考え方を少し考えてもらいました。

永和信金さんのセミナーのテーマは
『経営者か経営をしよう』でした。
時間が制約がある中で
みなさんに訴えたかったことが多々あり
少し消化不良になり反省しきりですが
その中でもやはりものの見方・考え方について
言及するところがありました。

さて本題―

ところでこのものの見方・考え方ですが
目的は
『迫力のあるしごとぶりで、
お客様にファンになっていただけるようになること』でしょう。

そのためには
何のためにしごとをしているのかという
根源の原動力を追求しておく必要があると思うのです。

その根源力は『お役に立ちたい!』という
こころの底からの願いだと思うのです。
なぜそのような切実な願いが生まれるのか?

そのキーワードこそ『孝』というコンセプトなのだと
わたしは行き着くのです。

『孝』とは何か?
孝とは、宇宙全体の秩序と生成の中で、
生かされている自分という存在のよって立つところを見つめ
それをもとに自分のなすべきことを感受し、決然と断固実行していく
という実践活動をいうのではないでしょうか?

それは生命のはじまり以来絶えることのない命のつながりの
発展のなかに現在のバトンランナーとしての自分を自覚し
その生を恵んでくださった親への感謝を明らかにし実践し
その心根を社会の中で、代償展開していくことだと思うのです。

『孝』の哲学を仮説体系化したものが
『孝経』であり、森信三先生もこれを高く推奨されるところですし、
儒教の学習の初学としてこれを勧められるところです。

そして、中江藤樹先生の『翁問答』こそ
その孝経のすぐれた解説書であると思うのです。
そこで、わたしが翁問答の中で
とても魂の揺さぶられる部分を抜粋して、
ぜひみなさんにご紹介したいと思います。

(こう)(とく)を明らかにせんと思うには、まず父母の恩徳を観念すべし。

胎育(たいいく)のはじめより十ヶ月のあいだ、母は懐孕(かいよう)の苦しみをうけ、十病九死の身となり、父は孕子(ようし)の保全、産育(さんいく)安穏(あんのん)なるべき事を願いうれいて、千辛万苦(せんしんばんく)を心に忘れず。臨産(りんさん)の時にいたりては、母の身は、切り裂くほどの悩みをうけ、父の心は煩熱(はんねつ)のくるしみをいだけり。幸いにして母子安穏なれば、一命再続のよろこびをなし、母は濡れたる寝敷きに(ふ)して、子をば乾けるしとね(ふとんのこと)に(ふ)さしめ、子よくねぶりぬれば(ふいてあげること)、母の身屈伸をなさず、(み)垢付(あかづ)きけがれても、湯浴(ゆあ)(かみ)(あら)うべきいとまもなく、衣装(み)のつくろいなど、いと取り乱し、子の安穏(あんのん)を思うよりほかは(た)(ねん)なし。もし少しにても(や)みぬれば、医を求め神に祈り、身をもて代らんことを思う。

乳哺(にゅうほ)三年の間、父母の苦労その数を知らず。入学の(とし)になりぬれば、師を求め道を教え、芸を習わせ、才徳の人にすぐれんことを願い、すでに有室(ゆうしつ)(結婚すること)の歳にいたりぬれば、伉儷(こうれい)(配偶者)を求め家業を立てて、富み栄えんことを謀り(はかり)願い、その子才徳人にまさり、幸せもよく栄えぬれば、限りなくよろこびの(まゆ)をひらき、もしまた才徳も人に劣り、しあわせもよからざれば、起き伏し(おきふし)絶えずなげきとなせり。

父母(ちちはは)かくのごとくの、慈愛(じあい)かくのごとくの苦労をつみて、子の身をやしない育てたれば、人の子の一身、毛一すじにいたるまで、父母(ふぼ)千辛万苦(せんしんばんく)の、厚恩(こうおん)ならざるはなし。父母(ふぼ)の恩徳は天よりも高く、海よりも深し。あまりに広大無類の恩なるゆえに、本心の暗き凡夫(ぼんぷ)は、(むく)いん事を忘れ、かえって(おん)ありとも、恩なしとも、思わざると見えたり。人間のかたちあるほどの者は、いかなる愚痴(ぐち)不肖(ふしょう)のしずのお(下賤な男)、しずのめ(下賤な女)にいたるまでも、一飯の恩に(むく)いんと思わざるはあるまじ。恩を報いん(むく)と思うは、孝徳の本心あるゆえに、そのはずれの少し(あらわ)れたるものなり。本心の孝徳ありて、父母の恩を(むく)いんことを忘れぬるは、(じん)(よく)の雲におおわれ、                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                           明徳の日のひかり暗く、心の(やみ)に迷うゆえなり。九牛の一毛(取るに足りない小さなこと)を言い述ぶる、父母の厚恩を、よく躰認(たいにん)して、一飯(いっぱん)の恩に比べてみれば、人欲の雲晴れ、明徳のひかり明らかにして、父母(ふぼ)厚恩(こうおん)を報いんと思う、本心の(こう)(ねん)かぎりなく開発すべし。この一念を持て孝行のはじめとなし、孝経の聖謨(せいも)(すぐれた考え方)を(かがみ)とし、身を立て道を行なうの、大孝を受用(じゅよう)(受け入れ用いること)すべし。

いかがでしょうか?無類の母親孝行であった藤樹先生の
お母様のご恩の思いがほとばしる名文だなあと
わたしは思うのです。
相変わらず、親不孝で最低な人格のわたしがいうのも
とてもおこがましいわけですが・・・
やっと気がついたころには、
孝行すべき相手が少なくなっているわけです。

※翁問答は岩波文庫に収められているが現在は絶版中
  アマゾンの中古本では7,500円と高い。
 滋賀県高島市の藤樹書院から1,000円で販売しています。

コンサルティングに強い税理士小笠原/河原事務所 大阪 小笠原
でした。

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