御堂筋税理士法人創業者ブログ

「5つの習慣力の第一 時間の管理」

要約
1 時間は最も根源的な成果の制約条件であり、生産性を高める基礎である
2 時間管理は、時間の分析→時間の管理→まとまった時間の確保の手順でおこなう
3 成果の条件はまとまった時間の確保によるから、時間に対する非生産的要求を排除する

プロローグ
 前回、ビジネスで成果を挙げるための5つの習慣力について話をしました。今回よりその5つそれぞれの意義、内容、取り組み方の話をしていきたいと思います。まず今回は『時間管理』についてです。ドラッカーは成果を挙げるために最初に取り組む課題として時間管理を挙げています。では内容を詳しく見ていきましょう。

1 時間は成果の第一の制約条件である
 時間もまた経営資源のひとつです。時間にはひと・もの・金という経営資源にはない特殊な性質があります。それは、時間はストックできず、また一定のスピードで流れ去るという点です。
 時間は不思議なものです。ヘラクレイトスは「万物は変化する」と言い、アウグスチヌスは「わかっているつもりだが、問われてみるとわからなくなる」と述べ、道元は「今この瞬間だけが時間である」と諭し、そして琵琶法師は「祇園精舎の鐘の声、諸行無常のひびきあり」と謡いました。
 かくして、人は、すべての人間に平等に与えられたこの時間、つまり瞬間々々において、いかに大事なことに集中するかが、人生や仕事の成果を決定するといえるでしょう。その大切さを悟った人は、古来時間を大切にしてきました。
 ドラッカーはビジネスの分析視点をいくつも教えてくれていますが、中でも活動と成果の関係は常にアンバランスであると指摘しています。少数の要素が成果の大半を生み出しており、大半の活動はほとんど成果を生まない作業に浪費されているというのです。ですから活動のしかたを工夫すれば成果は大きく向上するわけです。
 では、その時間を効果的に使うための工夫とはどのようなものでしょうか。

2 時間管理の手順
 ドラッカーは、時間管理の基本を次の3つとしています。
1 時間の使い方を記録する
2 時間の使い方を管理する
3 ばらばらの時間をまとめる
それを受けて私は時間の管理法を次のように5つのステップで体系化しています。

1 仕事のたな卸し
自分のしていること、なすべきことを重要性・緊急性の点から4区分して整理します。
 重要かつ緊急なしごと    本来業務
 重要だが緊急でないしごと  戦略業務
 緊急だが重要でないしごと  日常業務
 緊急でも重要でもないしごと  雑用
 一度、皆さんもご自分の仕事をたな卸ししてみてください。

2 自分の時間の集計と分析
 1で整理した項目に従って、自らの1ヶ月の時間を集計し、実際にどのように時間を使っているかを調べます。本来業務と戦略業務で全体の80%以上、日常業務は20%未満、雑用は0だと合格です。そうなっていないとすれば、自分の時間の使い方を改善するための目標と方策を考えてください。

3 毎月の時間の計画と管理
 その上で、図のような時間管理のフォーマットを使って、月々の時間の計画を立て、日々時間を管理していきます。このプロセスがあなたの仕事のパフォーマンスを決めます。
 マネジメントの仕事では、短期的な課題と長期的な課題への取組みのバランスを取ることがポイントです。たとえば戦略計画で定めた長期課題への取組みや、自己啓発と部下育成などは、意識しなければ、日々の業務のプレッシャーの故に忘れさられてしまいます。時間管理の要諦はまさにここにあるのです。

【時間管理のフォーマット】

4 非生産的時間の排除
 ミンツバーグという経営学者は『マネジャーの仕事』の中で、マネジャーは5分と同じ仕事をしていないと書いています。他者からのリクエストで時間がどんどん浸食されるのです。
 そのためには、ドラッカーのいう『時間に対する非生産的要求』を退けなければなりません。私がまとめた排除法は次の表のとおりです。

【時間の排除法】

  方 法            内   容
仕事や権限の移譲
(意思決定自動化)
決裁権限をルール化する→決裁権限規定 自分でしないことを決める=部下の仕事を広げる(成長の観点) 他人にさせる⇒仕入先、得意先、他部門など
計画と準備 仕事は計画6割。事前準備が本番の生産性を上げる。
後始末と継続改善 まとまり仕事の後には必ず次回へ向けた改善策を考える。
仕事の合理化 仕事の工夫・標準化、合理化等を進め、時間の短縮、品質の向上による業務の効率化
整理整頓・清掃 探す時間撲滅→時間順が有効検索キー(来た順保管、定置、コード化、整理整頓状態維持) 郵便物や資料は通常二度と見ないものがほとんどだから、見たら即座にすてる。
集中して仕事する 業務処理の時間を決めて集中処理する。 日常のルーティーン業務、部下からの「ちょっといいですか?」時間
重要な順にする 大事な順に処理する。
完結させる 仕事を先延ばしせず、その場で完了させる(仕掛で仕事を再開すると段取り時間がムダになる)。
正確な指示・受命 指示・受命のコミュニケーション・ギャップからのミス業務遂行。紙で共有、復命が最もよい防止策
トラブルの予防 同じことの繰り返しによる時間のむだの排除。トラブルが予想される場合の事前の根回し
ノーという ことわり下手を克服して、なすべきでない雑用を排除する。
不意来客・電話に出ない 取り次がせない。他人から侵食される時間を減らす。こうした時間を決めるのもひとつの方法
メールを活用する メールは時空を超えて仕事のやり取りができる。 お互いに空いた時間に仕事を充当できる。
会議時間の削減 開催時間帯の集中、メール活用、ファシリテーションによる進行
移動時間の削減、活用 テレワーク、有料交通機関利用により時間を活用

5 まとまった時間を作る
 最後の仕上げはまとままった時間(2時間以上)を作ることです。私は、時間帯でいえば朝の時間、よい環境といえば別室、新幹線の中、スタバ、自宅、風光明媚なところがよいと思います。

3 まとめ
 私は、若い時から時間の集計をさせられてきました。会計事務所の業績は、顧客の時間当り生産性が決め手となるからでした。私はその教えを40年以上実践してきました。そしてそれは、私の生産性の本であり、経営の根本指標なのです。
 私も多くのお客様の経営に携わってきましたが、日本の経営者、管理者の中で、時間に対してこうした見識をもって仕事をしている人は、ほとんどいないように思います。ぜひ皆さんも一度時間管理にトライしてみてください。なお時間管理のフォーマットは、弊社のHPのフォーマットのところから自由にダウンロードしてお使いいただけます。

以上

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