御堂筋税理士法人創業者ブログ

中国の武経七書の一書『三略』を拝読。
(ちなみに七書とは、孫子、呉子、司馬法、蔚繚子、六韜、李衛公問対、三略だそうです)
 文王・武王が起し聖代と言われた周がしだいに衰え、無数の小国家が乱立し、やがて七雄が勝ち残って行った春秋戦国時代。儒家を始め百家争鳴の時代ですが、武経書が数多書かれたのも考えてみれば当然ですねえ。この三略は戦争行為の本ではなく、為政者の心がまえが書かれていました。
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 なるほどと思ったところを抜粋します。

「上略は礼賞を設け、奸雄を別ち、成敗を著わす。中略は徳行を差し、権変を審かにす。下略は道徳を陳(の)べ、安危を察し、賢を賊(そこな)うの咎を明かにす。故に人主、深く上略を暁れば、則ち能く賢を任じて敵を擒にす。深く中略を暁れば、則ち能く将を御して衆を統ぶ。深く下略を暁れば、則ち能く盛衰の源を明かにして、治国の紀を審かにす。」

上略→礼と賞を以て賢人を迎える
中略→古の聖人の徳行を明らかにし将軍を統率する
下略→道徳の重要性を明らかにし栄枯盛衰の因をわきまえる

「賢人の政は、人に降(くだ)るに体を以てす。聖人の政は、人に降るに心を以てす。体もて降るは以て始めを図るべく、心もて降るは以て終りを保つべし。体を降すに礼を以てし、心を降すに楽を以てす。所謂楽なる者は、金石糸竹に非ざるなり。人の其の家を楽しむを謂い、人の其の族を楽しむを謂う。…此の如くにして人に君たる者は、乃ち楽を作りて以て之を節し、その和を失わざらしむ。故に有德の君は、楽を以て人を楽しましめ、無徳の君は、楽を以て身を楽しましむ。人を楽しましむる者は、久しくして長し、身を楽しましむる者は、久しからずして亡ぶ。」

骨身を惜しまずに働き、知能の限りを尽くして、民に奉仕する。
働くのは礼法に従い、知恵を尽すのは楽法に従う。
礼楽とは、音楽なのではなく、人びとが家族を愛し、故郷を愛し、道徳に則って暮らすこと。上に立つものは、自分だけが楽しむのではなく、人をたのしませるものだ。

「地を広めんと務むる者は荒み、徳を広めんと務むる者は強し。…己を舎(す)てて人を教うる者は逆にして、己を正して人を化す者は順なり。」

拡大よりも充実が大事である。
(ドラッカーもいうように経営もそうでしょう)
当たり前だが、自分のことを棚に上げてはならない。まず自分が襟を正せば人はそのようになる。

「君より出でて臣に下るを、名づけて命と曰う。竹帛に施すを、名づけて令と曰う。奉じて之を行うを、名づけて政と曰う。夫れ命失えば、則ち令は行われず。令行われざれば、則ち政は立たず。政立たざれば、則ち道は通ぜず。道通ぜざれば、則ち邪臣は勝つ。邪臣勝てば、則ち主の威は傷(やぶ)る。」

上が言葉に出したものが命であり、それを文書にしたものが令であり、それを施行するのが政である。つまり命→令→政。経営においては、文書化やその実行は大事だ。

「夫れ人の道に在るは、魚の水に在るが若し。水を得て生き、水を失いて死す。故に君子は常に懼れて、道を失うことを敢てせず。」

解説不要ですね。

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