充実の経営計画発表会
2009.06.06
ブログ
大阪のコンサルティング税理士 小笠原 です。
今日は、お客様のK社の中期経営計画の発表会でした。
K社は、電気関係の専門商社で従業員は20名強
業界ではしだいに名前が浸透しつつある会社です。
場所は、西区のウェルシティ大阪(旧大阪厚生年金会館)
事務所主催の経営計画の策定セミナーに
K社長と若手リーダーのMさんが、半年間来られて
まとめていかれたものを、全社員に展開されて作られたものです。
社長は、中期経営計画の全面切り替えとなる
毎3年ごとに、こうしてセミナーに参加されて
じっくりと経営計画を練られるのです。
K社長は、私のJC時代のお知り合いで
もうかれこれ20年近くも経営計画を作り
毎年発表会を続けてこられています。
ここ2年ほど日程が合わず、参加できなかったのですが
今年は久しぶりに出席させていただきました。
私も含め、全員が集まったので
定刻よりもかなり早く、発表会をスタートしました。
はじめに、経営理念と社員信条を全員で唱和
私もいっしょに読み上げさせていただきました。
そして社長から、中期経営計画、昨年度の年度経営計画の反省
本年度年度経営計画の発表と1時間半ばかり
端折ることなく、念入りに内容の説明がなされました。
K社長は、思考を端折ることなく、しかも粘り強いのが持ち味で
その辺は、面目躍如たるものがありますね。
渡された経営計画は、全130ページ
中期経営計画、前年度実績振り返り、本年度経営計画
各社員の目標管理シートなど、以前に比べ
質量ともにとても充実してきています。
戦略の概要としては
1.成長戦略
市場のチャンスと環境製品をてこに3年で売上を25%伸長させる。
2.お客様に対するナンバー1アドバイザー戦略
各自がナンバー1アドバイザーになる!
差別化の側面から成長戦略を裏付ける
3.仕入先とのパートナー戦略
仕入先とのコミュニケーションを密にして、新たな扱い商品を開拓して
仕入という側面から、成長戦略を裏付ける。
4.社員満足度向上戦略
顧客満足度アップの源は、社員満足度のアップにあり!
プロジェクト・チームにより、若手主導で社員満足を追求していく
というもので、前3ヶ年計画で推進されて成果が出ている
ナンバー1アドバイザー戦略に、
新たな切り口として、仕入先パートナー戦略(これはいい!)が加わり
さらに、社員の満足度まで踏み込んで会社のパブリック化が進んでいるのは
すごい、考え方の進歩、展開だと感心しました。
そのあと休憩をはさんで、全社員の方々が順々に
リーダーは部門とご自分の、担当者はご自分の
戦略に沿った課題の具体的な目標を発表されました。
皆さん、落ち着いて、ユーモアを交えて発表され
皆さんのお仕事の内容や課題がよくわかり
さすが回を重ね、慣れてこられているなと感心しました。
特に最後に発表されたお三人の発表が
ユーモアや気づきの点でとても感心したり、感動したりしました。
配送の植松さんは、しめくくりに
あいづちの「さしすせそ」をご披露
さ・・・「さすがでんなぁ!」
し・・・「知らんかった!」
す・・・「すごいでんな!」(この部分たぶん記憶違い)
せ・・・「正解でっせ!」
そ・・・「そら、そうや!」
さすがでんなあ!
相変わらずのユーモア振りにいつもどおり大受けでした
経理の奥村さん(女性)は、
11月以降の世間の景気の激変ぶりを
得意先との関係では
・請求書のボリュームが薄くなってきた
・今まで振込料を引いてこなかったところが引きだした
・入金期日が1、2日伸びてきているところがある。
仕入先との関係では
・支払先からの支払いに関する確認電話が増えてきた
・小切手で支払っている先の先方が銀行に持ち込むスピードが速まった
といった例を挙げられながら
自分の仕事の中で、皮膚感覚として景気の悪化を感じるとした上で、
社長がいつもおっしゃっておられる、
・支払に関して遅れるなどといったことがないように抜かりないようにすること
・今までは経理処理について営業にいろいろプレッシャーをかけてきたが
営業が少しでも時間をとって、営業活動ができるように、
当面は経理でサポートできることはしていこう
と自分の目標を発表されました。
私は、なるほどなあと思わず聞き入り
じーんとするものを感じました。
また在庫管理の平川さん(女性)は
仕入入荷業務の正確化のテーマの具体的な推進方法で
まず自分の仕事の時間を内容別に分析して
不要な仕事をしないようにし、合理化した上で
こうした課題にしっかり取り組めるようにしたいとおっしゃり
私としては、そのとおりと膝を叩いて感心しました。
社員の方々が、こうした意識のレベルでお仕事をしていただけたら
きっと、わが社の経営計画は確実に実行されるものと期待を抱かせます。
最後に私から、少しお時間をいただいて
感想やら、お願いやらをお話ししました。
1.発表会の印象
1.1 継続して経営計画に取り組まれてきたことの成果を強く感じる。
(売上に対する利益率などからも)
1.2 計画の内容が具体的で、推進方法の裏付けがあり、
また社員のキャリアアップや満足度向上の内容も盛り込まれ
すばらしいできである。
1.3 数字のデータがしっかりしている。
(得意先、商品別、グループ別の売り上げや業務の質についての
データが充実しており、これは社長が主導でシステム化して
こられた成果である)
1.4 これはお願いであるが
昨年度の実績を、行動計画の達成度、数値の達成度を総合し
100点満点で評価しておいてほしい。
(60点以上だと手ごたえがあるはず)
2.3ヶ年の成長戦略の数字達成の割り付けは正しいか?
昨年度の実績値から、3ヶ年で25%売上を上げようという計画
しかし需要収縮という全体的な傾向の中で
今想定されている、各年度の売上の伸長計画は妥当なのか
また、伸長計画は現状得意先との関係強化、新商品の寄与度
新規得意先開発の各個別での推進スピードと整合性があるのか
これは、もし?なら、再検討を依頼しました。
3.確実な実行管理のためにお願いしたいこと
3.1 月次のしくみは次のようにされることをお勧めする
・ふり返り・・・自己対話により気づき、そして実行への決意をすること
・上司・部下面談・・・対話により、さらに気づきと決意を深めたり
アイデアをもらったり、フィードバックをもらったりする。
・会議・・・アイデアをどんどん出して、的確な意思決定をする。
・フォロー・・・具体化し、活動の実践を担保するためのダメ押し
この4サイクルで確実な実現が期される。
3.2 会議での検討に必要な情報を整備してほしい
会議での情報として価値あるものの特性は
1.未来予測、2.原因細分化、3.活動内容 であり
特に、ナンバー1アドバイザー戦略の検証には、活動内容の
データが有効である。
4.経営計画の中に書かれた、「なくてはならない会社」になるためには?
・圧倒的に顧客の立場に立った、業務水準の追求
そのためには、アイデアがボンボン社員から出て、自由に意見を
話せる、「学習組織」の風土が必要なこと
・自分がお客さんだったらそうしてほしいように、してさしあげる
そういうことができるようになるための「ものの見方・考え方」を
身に付けることが必要なこと
をお話ししました。
5.最後に、計画を実行していただく際の5つの心構えをお話ししました。
5.1 学習組織の風土を創ることが長期の差別化・成長のエンジンとなる
5.2 実行の振り返り→気づき→決意と宣言→取組みフォローが
実行力を身につける条件である。
5.3 このような経営管理スキルを身につけることが
社員の皆さんを未来に向けて自己価値を高めていくことになり
会社の成長・発展・存続に致命的に重要な
経営人材を作ることである
5.4 できれば、月に1冊、課題図書で読書してください。
こうした講評は
実は、来月から事務所のスタッフの才木が
営業会議のファシリテートをさせていただき
学習組織の実現に協力させていただくことになっていて
そのための前ふりの意味もあったわけです。
そして、才木とは午後別の場所で会うことになっていたので
経営計画書と私がまとめた講評のメモを共有して
K社に対する、私たちのサポートの内容を
より高めて、ご満足をいただけるように相談をしたのでした。
いずれにせよ、発表会の内容はすばらしい充実度でした。
K社長に、そのことをお伝えすると
どちらかというと、自分にきびしいタイプの社長も
「いやあ、かなり充実してきたでしょ。
いつもなら、間際ギリギリにできていたものが
今回は1ヶ月前に、みんなに発表して
各自、準備を進めることができたしね。
M君(計画のまとめをお手伝いいただけたリーダー)も
よくやってくれましたよ。」
と満足げ。
私のいう
「予約で満席の行列のできる会社」作りを通して
大阪の雇用と、皆さんのこころを高めるという
希いの実現を目の当たりに見る思いでした。
計画作りとは、常に長期の種まき
「子曰く、人遠き慮りなければ、必ず近きより危うし」
本当に盤石の経営をしたければ、
しっかりした経営計画を立て、本質的な課題に取り組み以外ないですよね。
口ではあれこれいっても、実際には目先のことしかしない人には、
永遠に実現しない世界ですが。
コンサルティングに強い税理士小笠原/河原事務所 大阪 小笠原でした。