御堂筋税理士法人創業者ブログ

「思考についての思考」の続きです。ちょっとむずかしげなことも書いてますが、ご寛容のほどを。

 そもそも思考つまり考えるということは何か? Wikipediaを参考にすると次のようになる。
「思考とは、考えや思いをめぐらし、何らかの結論を導き出すなど一定の精神と客体の関係状態を実現するために、その過程ですじ道や方法を模索する精神活動である。」なるほど。

 どうもここでは、日常ぼわーんともの思いに遊んでいる?のは思考から除外されているようだ。フッサールが現象学で「意識には志向性がある」といったところのものである。

 思考の基本的プロセスについて考えると、次のようにいくつかのフレームワークに整理される。
1 分析 → 総合 → 比較 → 抽象 → 概括(要約)
2 概念 → 判断(命題)→ 推論
3 ネーミング → グルーピング → 比較 → 関係性 → 因果関係
 これは、愚考する思考の基本形。ご参考までに。
4 暗示 → 知性的整理 → 仮説(指導的観念)→ 推理作用 → 仮説の検証
 これは、アメリカの哲学者、ジョン・デューイの考えで問題解決の考え方の元になったもの。
 実際、ドラッカーはそれを受けて、意思決定のプロセスを
5 問題の定義 → 解決策が満たすべき条件 → 複数の代替案の算出 → 最適案の選択 → 実行結果の検証、としている。
 私もよく使わせていただくフレームワークである。
6 仮説立て → 実験 → 帰納的結論づけ → 数値化・方程式化 → 新たな仮説立てあるいはパラダイムによる革新
 これは、フランシス・ベーコンから、カール・ポパー、トマス・クーンなど、科学的思考とその発展のあり方を追求した西欧の碩学たちの出したもので、私もおおむね賛成である。

 少し話がお固くなり無味乾燥化したので、話を実際次元に戻したい。

 そこで、ビジネスマン(に限らずどんな仕事の人でもいいのだが)に必要な思考の種類について考えると、それは、① アイデアの創造いいかえると問題発見と、② 問題解決に必要なものであり、
 わたし的には、① アイデア発想力、② 論理思考、③ エッセシャル思考(クリティカル・シンキング)が挙げられる。

 クリティカル・シンキングは批判思考とも訳し得るが、私はエッセンシャル思考の内に含めたい。
 なぜなら、clitique=批判とした先人たちの訳し方に少し問題があるように思うからだ。
 私の感覚では、批判には非難といった語感があるが、Weblioを見ると「Clitiqueとは、ある事物の是非・善悪・美醜などを指摘して、その価値を判断し、論じることをいう。」とある。だからそれは批判ではなく批評なのだ。

 それゆえ、カントの著書 “Kritik der reinen Vernunft” は『純粋理性批判』ではなくて『純粋理性批評』であってほしい。

 わたし的には、エッセンシャル思考は、論理思考のチェック役・いましめ役として大事だと思うのである。

 それは、一つ前のブログで述べた、道具的知に対する価値的知=物語的知の役目をエッセンシャル思考が担っていると思うからだ。

 さて、それぞれの思考法がどのようなものであり、どのようにして学ぶかは、紙幅の関係もありここでは言及しないことにする。

 しかし、私はさらにもう一つ別の思考のあり方を加えたい。上記3つとは全く異質の、価値的で人間成長的で重要な思考活動である。

 それは「ふりかえり(Reflexion)」である。だいぶ昔に、「反省する猿」というのが流行ったが、猿が反省することはないだろう。経験から学習はするが。おそらく猿の学習とは、条件反射とふりかえりの中間なのだろう。

 さて日ごろ主にビジネスで多くの人に接していて、反省能力のない人には、成果はほとんど期待できないと感じている。反省は人間を向上させる唯一の方法である。それゆえ、人生で極めて大事な思考活動である。西洋哲学でふりかえりが重要とされるゆえんである。

 ふりかえり力を強化するには、やはり日々反省を習慣とすることだろう。反省しただけでは意味がなく、次回の対処方法をシミュレーションして準備しておく必要がある。

 このふりかえり思考を加えて、思考の循環回路が完成する。これで、成長発展に向けて好循環を形づくる正常な思考回路ができたのである。これがシステム的で有機体的な思考というものであると思うのである。

 ではこれら思考力を鍛えるにはどうしたらよいだろうか。これが本ブログを書いた目的であるが。

 人間の活動を、① 情報のインプット → ② 思考 → ③ 行動のアウトプット → ④ ふりかえり、とプロセス分解すると、それぞれのプロセスで必要な思考力は、
① 情報のインプット段階では、観察力、傾聴力、質問力が
② 思考段階では、概念化能力、抽象化能力、分析力、判断力、推論力が、
③ 行動のアウトプット段階では、総合力、要約力が、
④ ふりかえり段階では、フィードバックをもらう許容力、虚心坦懐の受容性、相手の視点から自分の言動を考えること、常に人や本に当ってすなおに学ぶこと、などが必要だろう。具体的には、本を読んで勉強し、日常生活(行住坐臥という)で一つひとつのことを意識して行なうことである。
 

 ごちゃごちゃと書いてきたが、私としてはこれらのことをさらに考えて、よりまとめていきたいと思っている。

最後までお読みいただいてありがとうございました。

以上

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