御堂筋税理士法人創業者ブログ

ついに源氏物語を読み終えた。

9月20日過ぎに読みだして、

11月4日17:59に読了である。

実に1ヶ月半、

大げさにいえば

仕事も生活も忘れて?没頭した。

もちろんフェイスブックなど

見る暇も、投稿する暇もない。

この源氏物語、

多くの有名作家が現代語訳しているが

私はなんといっても原文で読みたかった。

原文のものは、

岩波書店から

新日本古典文学大系19~23

の5分冊として出ていて、

それを文庫化したものが

9分冊で出ているが

それはまだ、

6巻までしか刊行されていない。

(文庫版、9巻中6巻まで刊行中、

それにしても各巻分厚い)

(基になる全集、全5巻)

まずは文庫で読み進めたが

文庫未刊行の部分は

刊行を待つわけにはいかず

単行本の2冊で補った。

その分量、おそらく文庫だと、

本文5000ページ位になるだろう。

とてつもない超長編である。

しかも文章たるや

王朝文学独特の文体で

あたまが朦朧としてくる。

注や編がなければ

2行以上は前に進まない。

それだけに読了感は抜群

マラソンランナーの完走後

の満足感に匹敵する。

感想を求められるならば

比類なき文学の金字塔だ

と言うだろう。

時代と階級の特徴はあれ

男と女、世代にわたる因果を

仏教的無常観が全体を包みつつ

豪華絢爛、錦繍のように綾織りながら

大河のような流れで滔々と展開される。

登場人物に対する感情移入

はらはらしたり、なんでやねんなど…

そうした中で、

人情ってせやなあ、人間ってせやなあ、

人生ってせやなあと、共感してしまう。

さて、物語は

桐壺帝とその寵姫、桐壺の更衣の間に

生まれた光の君の誕生から始まる。

帝はこの君をいつくしみ、

将来を思って、臣下にして源氏姓を賜る。

この第一世代は

光源氏と左大臣家の頭の中将

第二世代は彼らの息子の夕霧と柏木

そして第三世代の匂ひの宮と薫

ライバルたちのせめぎ合い、

不倫からもたらされた出生の秘密など

才色兼備のヒーローたち、彼らの行動と

みそめられた女性たちが

もたらす恋の成就と憂愁の想い、

自己規定では、本質は

生真面目でおもしろくもなく

女性の扱いもへたな男の私としては

同様の薫の姿に共感を覚え、

生来女好きの源氏や

とりわけ匂いの宮には

共感できない。

(羨ましくも思うが)

時代は平安王朝の貴族制絶頂期

作者の紫式部は、

藤原道長の娘、彰子中宮に仕えた人、

天皇と貴族、その暮らしと価値観、

労働から解放された

暮らしと趣味とあそび、

一夫多妻制など

現在とは異なる

時代の価値観がある。

それを理解せず

今の道徳観で見れば

特に女性には「気に入らんなあ😡」

という話しにしかならないだろう。

実際、光源氏は嫌いという

女性の感想もあるときく。

男と女の欲望と行動のちがいは

埋め込まれた指令のちがい

のように思う。

歴史は、男のそれを縛るかたちで

進んできた。

でも、そういうことを超えて

人間普遍の習性に戻って

物語を感じると

そこに驚くほど豊かな

感性の世界あると感じた。

本居宣長は、著書『紫文要領』で

源氏物語の本質を

「もののあはれを知る」と捉えたが

ほんとうにそうだと思う。

曰く

「ただ人情の有りのままを書きしるして、

みる人に人の情はかくのごとき物ぞ

といふことをしらする也。

是れ物の哀れをしらする也」

手紙に使う紙の種類や質、

くせや使い分けによる筆跡のちがい

添えられる花や木の梢

言葉の遊びが幾重にも

込められたみそひと文字

恋情、ほのめかし、拒絶、

いやみ、にくしみ、あわれみ、

嘆息、厭世・・・

おどろくほど丹念な

状況描写、風景描写、

綾錦のような色彩感と季節感

決して露骨には表現されない言葉と作法

それらの一つひとつが

人の繊細で微妙な気持ち

その流れ、起伏を

描き出してつきない。

そして、その底にある激しい感情

ほとんど直接に拝しえず、

御簾越しにほのか見る影、

着物の色合い、香の匂ひ、物腰、

それだけで恋におちいる男の心情

われわれのそれとはまったく別の世界

しかしその豊かな感性の魅力は

わたしたちをとらえて離さない。

アーサー・ウェイリーという

天才によって欧米に紹介され、

それに触発されたサイデンステッカーら

によっても翻訳がなされたという。

中世を代表する文学

日本が世界に誇る文化遺産だと思った。

経営コンサルティングと会計事務所の融合

組織デザイン研究所&御堂筋税理士法人

小笠原 でした。

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