御堂筋税理士法人創業者ブログ

実のところ、わたしももう少しで齢60歳を迎える。
まったく実感のないところである。
くやしまぎれにいうのでもなく、
まださほど体力の衰えなどの実感はない。
まして、思考力をやである。

そんななかで老年の生き方について
考えさせるエッセーに出会った。
ヒルティの『幸福論』第三巻の
「より高みをめざして」と題された小論である。

余談だが、エッセーとは、日本では随筆などといわれる。
16世紀の著述家、モンテーユの著書の題名『エセー』に由来するとのこと。
最近、教養書といわれるそうした本をそぞろ読むことに
楽しみを覚えたところである。

話は戻って、さて、その小論でなるほどと考えさせるところが
随所に出てきているので皆さんにご紹介したい。

キリスト者のねがいは
神への信仰の意志を持ち
それを体現した思想をし、生活を送り
神の恩寵を受け、手本キリストのごとくなることだ。

したがって、人が人生の真の目的と内容を持とうとすれば
ぜひとも神の意志の完全な勝利をもって終わる必要がある。

「それをまっとうするには、いやなことはつきものである。
そこでの処世術は、
いやなことが実際に訪れた場合、それを避けようとはせず、
道理にそうてそれを活用し、克服しなければならない。
神はそれをあなたに送らざるをえなかったのだ。
そうしなければ、神は、精神的により高い人をそだてることができないからである。」

「したがって、苦しみに出会ったら、まず感謝するがよい。
それから、その苦しみが何のために役立つかをたずね給え。
あなたがそれをただ避けようとせず、
その苦しみの意味を理解しようと真剣に願うならば、
やがて必ずそれを発見するであろう。
そうしたら、あまり言い訳したりこぼしたりせずに、
この道を踏んで進み給え。
それは、あらゆる他の研究や修養にもまして、
あなたをずっと先へ、しかもずっと早く導くにちがいない。」

「意志がその目的に完全に到達して、
そこに十分な満足を感ずること、
これがすなわち幸福なのである。」

「それゆえ、人生のあらゆる英知の達しうる最後の段階は、
神とともにあるか、神から離れているかが、
人生における唯一の大切な問題だということを、
完全に洞察できる境地である。
これによって、善と悪、よき報いと罰、時と永遠など、
普通ではほとんど解決できない諸問題が正しく解明される。」

「老年になる前に、「より高みをめざす」境地に達することは、
少なくとも極めて大多数の人々にとっては、
ちょっとできそうにも思われない。
それはむしろ、本来、白髪をいただく人たちの特権である。」

「まぎれもない老年の実感が訪れたならば、
これまでの多くの事柄から訣別して、
その代わりに、この人生最後の時期にただ一つふさわしい、
新しい偉大な目標にしっかりと目を注ぐべき時である。
(さもなくば、怒りっぽくなるか、厭世主義に陥るか、
それとも最後に残った生命力をなおも生の享楽に費やしつくそうとする
卑しむべき試みのとりことなって救いがたい有り様となる)」

「・・・ただ一つの方法は、むしろ何かよい行いをすることであり
・・・いちばん良いものは、いつでも手近にあるような手段である。
なぜなら、善き行ないをする機会はいつも十分に存しており、
また誰でも自分のごく身近な周囲にそれを持っているからである。」

「しかしその上は、絶えず前方を見るように心掛けて、
後ろをふり返ってはいけない。
年をとって過去をふり返ることは、
ただ、他人にとって煩わしく、
自分自身にとっては悲しみのたねとなるだけである。」

「最後の息をひきとるまで精神的に溌剌として活動を続け、
ついには神の完成された器となって「仕事のさなかに」
倒れること、これこそ正常な老年の正しい経過であり、
また、およそ人生の望ましい終結である。」

そうありたいものである。
もちろん現役の諸君への貢献になるとも、
決してじゃまにならないように・・・
その方法は、思想、思考の深堀りと
より深い洞察、認識への到達だろう。

「滅びるものでなく、滅びないものに目を注ぐ人にとって、
肉体はしだいに朽ちても、
精神は日ごとに新しくされてゆく・・・」

「自分の肉に播く者は、(最後に)肉から滅びを刈り取り、
霊に播く者は、霊から永遠の命を刈り取るであろう。」

「二十年は若い勉強の時期、次の二十年は人生の地歩を確立するための戦い、
さらに次の二十年は職業的活動と家族の育成の時代である。
そのあとの時期は、生活が正しく行なわれる場合には、
まったく別の、より高い人生観に属する時代であり、
そしてこれが別の新しい存在への過渡期とならなければならない。
そうでなければ、まちがいなく滅びに到る。」

「もし人生全体がある意味を持たなければならぬとすれば、
われわれの地上生活の最後の時期は、
およそ下り道ではなくて、
はるかに高い存在の可能をねざすのぼり道でなければならない。」

「老年期が始まるに当たっては、
理にかなったただ一つの思想、人間にふさわしいただ一つの決意、
幸福に到るただ一つの道が在るのみである。
それは、「より高きをめざして」奨め、である。」

『くろがねの鎧は、天の翼の衣とかわる。
苦しみは短く、喜びはとこしえなり』
(シラー「オルレアンの少女」)

同感である。

コンサルティングに強い 経営エンジン研究所 税理士法人小笠原事務所
大阪 小笠原 でした。


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スイスの銀行から毎月来るレターを見ながらつれづれ書いてます。