御堂筋税理士法人創業者ブログ

今日は、最近行なった経営変革の取組みの事例をご紹介したい。

この会社には、数ヶ月に一度おじゃまして
後継者、社長、奥さんのご相談に乗らせていただいている。
わたしが訪問しない間は、後継者が時々相談や報告の電話やメールをくれる。
わたしの方からも、折に触れ電話を入れる。
だから、だいたいの経営の現状はわかっているつもりだ。

わたしが伺うときは、後継者の方は、両手いっぱいの相談事を準備して
待っていただいているように感じている。

その日もそうだった。
後継者、社長、奥さんとわたしとで、
経営の方向性、重要な意思決定について相談していった。

後継者の問題意識の中心は人の問題である。
簡単に言うと、幹部・社員の世代交代の問題、
頼りになる幹部・社員が少ない、どうすればよいかという問題だ。

彼は、各部署の人材の穴を一覧表にしていた。
それによると相当な数の人を採用していかなければならない。
社長からは、そうすると社員数が何人になるのか?との疑問が呈された。
当然のことである。

そこで、わたしは以前に作っていた、組織図を取りだして検討することにした。
多くの中小企業では、組織の骨格ができていない。
だから、役割に不明確さがあり、それがさまざまな問題を起こしている。
組織図をきちんと作り、役割分担をしっかり考えることも
組織的経営をしていくための基礎となる、不可欠のステップだ。

そして、今からやる作業の前提として、
人材の配置は現状にしばられることなくゼロベースで考えることをお願いした。
さらに、後継者にどの仕事が重要性が高く、優先すべきかを語ってもらった。
それは営業と業務だということである。すると他の仕事はさせてはならないことになる。
これが今後考える前提条件である。

わたしはまず、現状の各部門の責任者を明確にした。
残念ながら、現状では、責任者は
今目の前にいらっしゃる3人の方々が努めなければならない。
そこで、営業部門は専務、工事部門は社長、
 業務部門は専務、別事業部門は奥さんとした。

次に各部門の定員、この時点で当選確実な有為の人材を割り当てていった。
まず営業部門、ここの定員は○人、それだけ必要だという。
すると、その場合期待する粗利益はいくらになるのかをお訊きした。
皆さんはとまどわれた。そのような思考法はとったことがないからだ。
まあいい、とりあえず、強引にでも求める答えを引き出した。

あとは工事部門、業務部門、別事業部門と順々に同じ作業をしていった。
この時点で、かなりの人間を割り振って仮決定していった。

業務部門は、今後ある企業のOBであるその道の達人に
しばらく来ていただき指導していただけることとなっている。
わたしは、その場合技術移転できる受け皿が必要だと指摘した。
また、こうしたルール化は他部門の理解と協力において
強いリーダーシップが必要だから、受け皿はそれ相当の人間が必要だと進言した。
後継者は、そのことは考えていなかったようで、いたく納得された様子だった。
現状では、その受け皿は彼をおいていないのは衆目の一致するところである。
(だが、早晩、彼に代わる人材を配置しなければなるまい)

そして、争点となるリーダークラスの人材の配置の問題となった。
期待しているが、現状パフォーマンスを出し切れていない人材、
今後強化していく機能、チャンスがある分野、
部門間の機能連携やコミュニケーションから考えて
どのように、部門分担をしていけばよいのか?

わたしはいくつかの原則を提示した。
1.すべての部門は営業指向、お客様志向で部門の目的、役割、業務を設計すること
  (全部門が○○営業部としても過言でない、こうした意識付けは大事だ、
   企業内役人をつくらないためにも)
2.とくに幹部となるべき社員の強みを活かせる役割、配置をしてやりたい。

この原則を基に、組織と人材配置を点検、検討していくと
いくつか重要なことに皆さん、わたしも含め気がついていった。
A君は、人なつっこく、お客さまから可愛がられており、営業的な動きをした方が力を発揮する。
B君は、施工の技術をもっており、その方が本人の特長を活かせるのではないか?
 しかも、その分野はいろいろなところからしてもらえないか引き合いがあり有望だ。
C君は、メンテナンスを担当しているが、お客さまからの評価も抜群で
 けっこう生産性もある。しかもその仕事はわが社の別事業とのシナジー効果も高い。 
 この君の所属は、別事業部門に統合した方が、仕事がやりやすく、
 今後の展開の上でも効果的ではないか。
などなど…ほかにもいくつか気づきがあった。

こうして生産性を足していくと、
この組織で期待される粗利益の合計が計算された。
そして、この人員体制による固定費を差し引くと
一応、合格とすべき売上高経常利益率が見込まれた。

その上、できた組織図がなんともすっきりしているではないか。
皆さん、けっこう気に入られたみたいで、とてもすっきりされたお顔にお見受けした。

後継者には、この案を2週間くらい頭の中で発酵させて
最終、これでよいか、決定してほしい、
そして決定は、1ヶ月後として、スピード感をもって根回し、準備を進めていってほしいと
アドバイスしてこの相談を終えた。

コンサルティングに強い経営エンジン研究所/税理士法人小笠原事務所
大阪 小笠原 でした。


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