社長からお預かりして社員の方々を訓練する
2010.01.13
ブログ
大阪のコンサルティング税理士 小笠原 です。
ある社長さんから、
「小笠原さん、頼むわ。」と言われて
社員さん方を鍛えている会社があります。
なんとか自立して考える力を身につけ
自分たちで生き残ってもらえるように
なってほしいというのが社長さんのねがいです。
そのお会社は
メーカーからの仕入力、メーカーへの交渉力に強みをもち
ある商品の品ぞろえ、在庫では
業界でわが社ありと名の知れた会社です。
メーカー→商社→問屋→小売店→使用者→需要家
という流通チャネルの中では、商社&問屋の位置にいます。
お客様との対話力、需要創造力に欠けるとして
その辺を訓練したいなあというのが
社長のねがいだと受け止めています。
ということもあって、
重点顧客上位10社(で売上の65%を占める)についてまとめたり
有望な拡販可能先10社についてまとめたり
有望な新規開発先20社をピックアップしてもらったり
してまずは顧客に訊いて、顧客を知るということをしてもらいました。
さて今日は、これらのお客様を2×2の表の上に位置づけて
なるほどそうなっているのかという気づきを得ようと思います。
まず模造紙を3枚用紙して、
『田の字』型に縦横真ん中で線で区切りました。
なぜ3枚かというと、問屋、小売店、使用者の
流通各段階ごとにお客様があり
それぞれを別々に区分けして考える必要があるからです。
縦はインストアシェアで、横は相手先の需要量をめもりにします。
縦のインストアシェアの上下をわける基準は30%
つまり30%より上回ると『シェアが高い』と考えるわけです。
横の需要量をわける基準は、流通段階ごとにわけました。
さて、そのうえで、この3者ごとに
ピックアップした、有力顧客、拡販先、新規候補40社を
表上に位置づけていきました。
はじめはどこに位置づけるべきか
みなさんの考えがまとまらず戸惑いました。
やっと一枚完成して、2、3枚目は超スムーズにできました。
これを見ると3枚の紙のそれぞれについて
われわれの顧客やねらいとしている顧客のいるポジションが
驚くほど似ていることにびっくりしました。
相手の需要量が多く、インストアシェアが高いのを『A』(表の右上)
相手の需要量が多く、インストアシェアが低いのを『B』(表の右下)
※その中でも特に需要量が多く、ぜひ売上を高めたい先は『S』
相手の需要量が少なく、インストアシェアが高いのを『C』
相手の需要量が少なく、インストアシェアが低いのを『D』
として、
わが社の有力得意先はほとんどが『C』に位置し、
開発しようとしているところはほとんど『D』に位置します。
これを見て一同「ううーん・・・」
つまり既存顧客にはあまり潜在的な拡販余地がなく、
開発していこうとする先は魅力が少ないということです。
みなさんの話し合いの内容をお聴きしていくと
われわれが圧倒的な商品力をもっている分野では
デリバリーの関係や市場におけるライバルの数などから
けっこう成熟された市場で
なかなか拡販余地も限られることがわかります。
「実際に、最近の成功事例としてはどんな開発事例があるの?」
と尋ねていきますと、
「うちの仕入先がたまたまある材料を仕入れていて
たまたまわが社と縁ある人からその情報を聞きまして
それをあるメーカーがもっと安く供給できることがわかったので
メーカーとその仕入先をつないだら拡販につながりました。」
というのです。
「いままでの話をまとめて考えてみると、
既存の主力商品の拡販にはあまり余地が残っていなさそうですね。
今の成功例を、事例から一般化できないですか?」
と問いかけたところ、一同「うーーん!?」
この辺が、訓練のしどころである。
「そういうことを再現するためには、
どういうような手順をとって調べればよいのだろうか?」
そこで考え出した方法論は
1.わが社の潜在的な消費力のある顧客を20社ピックアップする。
2.その顧客が、どのようなものを扱っていて、
それがどのメーカーのもので、
どこを経由して仕入れているか調べる。
3.わが社が懇意にしている、あるいは仕入れることができる
メーカーがそれに対して対抗して立てられるものが
ないか検討する。
そして、その中からいくつかでもトライしてみるものを見つけ出すという
アプローチ法です。
紆余曲折、わたしの聞きとり力と構想力が稚拙なため
みなさんには、右往左往させています。
(この辺、コンサルティング力が低くて反省しなければなりません)
ある意味、経営の気づきは試行錯誤にあります。
これと目星をつけて調べてみて
それが的を射たものか、的外れなのか?
今回はどうも的外れのようでした。
それが的外れだと分かった?のは
みなさんの分析したことを、大きな眼でとらえ
まとめてみたからではないでしょうか?
「こうした表はどのようにして作成したのですか?」
「この表を作って何に気づきましたか?」
いくつかの質問をみなさんに投げかけてみました。
その結果、まだまだ調べ方が
今までの知識、インターネット、印刷物
に頼っていて、相手に訊くということがよわいことがわかります。
さらに表を作るということが目的になってしまっているようで
何のためにこれをしているかというところから
目が離れがちであることも感じます。
少し印象をお話しして、表を作る目的、
そこから何を得たらよしとすべきかをアドバイスしました。
わたしは、リーダー格のTさんにいいました。
「わが社の社長は、アイデアマンです。
みなさんからは飛び抜けた能力を備えた方です。
社長なら、100通りと100通りの組み合わせの中から
これはという3つの方法を直感でえりすぐることができます。
皆さんはアイデアマンではない。
じゃ、アイデアマンでなきゃ、アイデアは湧かないのか?
そんなことはない。
100通りと100通りを組み合わせて、10000通りをひとつづつ
当たればよいわけである。
みなさんはエジソンを見習わなければならない。
彼は天才という評価に対して
天才とは1%のアイデアと99%の努力の結果であるといっておられる。
ありとあらゆる組み合わせの実験を何千回も重ねて
その中からよい方法を見つけていったのですよ。」と
次回は2月中旬と定めて
一度、得意先の扱い商品についてもっと深く調べることを
課題にして今日の取組みを終えました。
しかし、こうした調べ物をする場合に
共通して、お客様に訊くということが苦手なようです。
その前に、一度インタビューのストーリー
インタビューのロープレをしておかなければならないなあと
感じています。
時間を取ってトレーニングするつもりです。
コンサルティングに強い税理士小笠原/河原事務所 大阪 小笠原
でした。