御堂筋税理士法人創業者ブログ

 先月、大阪中小企業投資育成さんで、非同族事業承継研究会という会が催され、はからずも私がファシリテーターをさせていただいた。この会の開催目的は、ますます増えつつあり同族以外による事業の承継について、どのような課題がありどのように進めていけばよいかを明らかにしていくことである。

 さて、その中で明らかになったことは、問題意識の第一に後継者の育成という課題があるということであった。私にとってこれは大いに気づかされることであった。そのために改めて人材育成とくに経営者の育成という課題が私の中でクローズアップされた。

 そうなるとこれに関連する課題が日頃のお客様との活動の中で多くあがっていることを再確認させられることとなった。たとえば今も数社のお客様と幹部人材の育成の取り組みを行なっているほか、後継者へのバトンタッチが喫緊の課題であるにも関わらずなかなかうまくいっていないという悩みを抱える先もある。

 そんなわけで、経営人材の育成についてなにか有益な本がないか探してみた。ところが私の求めているような本はなかなか見当たらない。そんな中で『ウォー・フォー・タレント マッキンゼー式人材獲得・育成競争』という本を見つけた。

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 この本は、アメリカの大企業へのアンケート結果をまとめたものである。内容が大企業のことではたして中小企業の参考になるのか、また2002年の出版で主張が古くないかなど疑問もあったが、でもいくつかの点、それも経営者がもつべき根源的な姿勢についてとても参考になる記述があった。

 本書では経営人材の獲得と育成に熱心な企業のあり方ついて、次の5つの特徴を挙げている。
1 経営人材の獲得と育成を経営の主要課題と位置づけている
2 経営人材を惹きつける魅力を創出する努力をしている
3 経営人材をリクルートする工夫と努力をしている
4 経営人材が育つ組織にする工夫をしている
5 人材育成にメリハリをつけておこなっている

 これらはすべて経営者の考え方を反映したものである。ここが重要である。
 それらは考えてみれば当然の話ばかりであるが、しかしあらためて納得する話である。というのも私が関わっているほとんどの中堅中小企業において、このような意識だった活動はなされていないからである。コンサルタントである私にとってはうかつな話であった。お客様に対して申し訳ない気がする。

 そのようなアドバイスはいろいろしてきたし、もっとつっこんで人材獲得の世話もずいぶんやいてきた。それが大いにお客様の支援となった事例もあると自負もしている。

 もちろん企業の規模や収益力の限界からできることが限られることが多いのも事実であろう。上の5つの施策のうち、特に2の企業の魅力のアピールについては、高収益体質やブランディングの結果である。なかなか取り組みとしてはハードルが高いかもしれない。

 私がやっぱりなあと感じたのは特に1、3、4の経営者自身が次のあるいは明日の経営人材の獲得、発掘、育成が経営の主要課題だと考えているか、そして実際の育成にあたり自らがその役割を意識して重点的におこなっているかということである。

 私から見た現実は、残念ながらそうではない。私が忸怩たる思いを持ったのはこの点であり、さらに私がそれをきちんと指摘し指導しきれていないということだ。

 たとえば、経営計画において経営人材の育成が戦略課題の一つとして取り上げられているか?そうしたフラッグを挙げている会社は皆無に等しい。また、経営人材育成において経営者自身がどれだけ時間とエネルギーをかけ候補者と向き合い取り組んでいるか?これもほとんど人任せというのが実情である。ちなみに本書では、経営人材の育成について、経営者自らがハードルの高い仕事を課し、それに対してコーチングを行ない、また同行同席カバン持ちをさせて見本を見せ、さらにメンタリングを行なうことがもっとも効果的な育成方法だと述べられている。また360°フィードバックの必要性も述べられている。経営者に問われることは自らがこうしたコミットメントをもって活動をしているかである。

 ところが特に親子の場合には、経営者の性格、親子間の関係性から、『ビジネスマンの父親から息子への30通の手紙』にあるように自然にあるいは意図した育成がなされていることもあれば、お互いにそうした取り組みが避けられていることもままある。後者のような経営者に限って、経営者の育成をいたずらに待望し、いつまでも子が眼鏡に叶わないと嘆く。なんともやるせないことである。とはいえ昔から、子供の教育においては親が師として直指導するのか、親が十全の信頼をおいている師に子を預けるのか方法はふたつある。それはどちらでもよいと思うし、両方が必要だろう。

 いずれにせよ、これからは経営者の皆さんにこれらのことの重要性を訴え、啓蒙し、意識してもらうようにしなければならない、獅子吼していかなければならないとあらためて決意したしだいである。
 経営者の皆さん!経営人材の育成は自分の重要業務であると意識して、おおやけに宣言してください!!!

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