御堂筋税理士法人創業者ブログ

 『1兆ドルコーチ』の要約のご紹介。今日はその2で、マネジメントのあり方についてのビル・キャンベルの語録をまとめました。マネジメント、コミュニケーション、リーダーシップ、意思決定についてです。目からうろこのことも多く、シンプルで正統的ですね。そして耳が痛く、行なうに勇気が要ることも多々あるように思いました。では、ご紹介

マネジメントスキルを細部まで正しく実践する
人がすべてという原則―マネジャーは肩書がつくる。リーダーは人がつくる

1 マネジメント

 あらゆるマネジャーの最優先課題は、部下のしあわせと成功だ。
□ マネジャーを置くこと(当たり前だが、シリコンバレーの創業者たちはそうした経験がない)
□ 会社がしっかり運営されているか、マネジャーが成長しているかどうか
□ マネジメントすなわちオペレーション・エクセレンスの実現を第一に考える

□ 人がすべてである。
  どんな会社の成功を支えるのも人だ。マネジャーのいちばん大事な仕事は、部下が仕事で実力を発揮し、成長し、発展できるように手を貸すことだ。われわれには成功を望み、大きなことをなし遂げる力を持ち、やる気に満ちて仕事に来る、とびきり優秀な人材がいる。優秀な人材は、 持てるエネルギーを解放し、増幅できる環境でこそ成功する。マネジャーは「支援」「敬意」「信頼」を通じて、その環境を生み出すべきだ。
 「支援」とは、彼らが成功するために必要なツールや情報、トレーニング、コーチングを提供することだ。彼らのスキルを開発するために努力し続けることだ。すぐれたマネジャーは彼らが実力を発揮し、成長できるように手助けをする。
 「敬意」とは、一人ひとりのキャリア目標を理解し、彼らの選択を尊重することだ。会社のニーズに沿う方法で、彼らがキャリア目標を達成できるよう手助けをする。
 「信頼」とは、彼らに自由に仕事に取り組ませ、決定を下させることだ。彼らが成功を望んでいることを理解し、必ず成功できると信じることだ。

 そのとおりですね。私も最近、企業の長期的な発展は、一にかかって人材の育成にかかっているとお話しをしています。それは、なんといっても、戦略やオペレーションを実行していくのは、人材ですからね。

□ メールはトップから直接全員に送るようにする。
□ 傲慢なスターについては、ほかの人と力を合わせられるようにする。彼らがパフォーマンスを発揮できるようにサポートし、彼らとの争いに費やす時間を最小減に減らす。その分のエネルギーを彼らが問題行動を押さえられるようにコーチする。天才性を引き出しつつ、傲慢さを抑えることはできる。ただし、倫理の一線を越える者を許してはならない。むずかしいのは一線を越えない場合だが、変化が見られない場合は、目をつぶってはいけない。
□ 報酬は、経済的価値だけでなく、感情的価値の問題でもある。報酬は会社が承認、敬意、地位を示すための手段であり、人々を会社の目標に強く結びつける効果がある。
□ 辞める人を手厚く扱うことは、会社に残るチームの士気と精神的安定を保つためにも大切だ。誰かを辞めさせなくてはならないときは、手当をはずみ、手厚く扱い、功績に感謝せよ
□ 会社の存在意義は、その提供する製品・サービスのビジョンに命を吹き込むことだ。それ以外のすべての部門は、製品・サービスのためにある
□ つねに冷静で前向きな姿勢を保ち、何が起こったかでも、誰が悪いのかでもなく、それについてどうするかに集中する

□ ちょっとさすっただけで直せるような組織内の小さなひびに気づく。耳を傾け、目をこらし、理解やコミュニケーションのギャップを埋め、人びとの「小さなすきま」を埋める
□ 緊張や、問題から立ち上がる「煙」に目を光らせる。話し手を見るだけでなく、部屋全体の様子を目に入れ、もの言わぬ人たちに反応や意図まで判断する

 マネジャーには、こうした細やかな感受性が要りますね。

□ ミーティングの出席者は、自分の部署に直接関係のない問題であっても、意見やアイデアを自由にシェアするよう求められる
□ 小さな「声かけ」が大きな効果を持つ
  ある人に不本意な決定がなされたとき、その人の傍らに来て、「いいか、今回は〇〇だと決めたんだ。残念だし、君たちが大変なのもわかるが、がまんして何とかやってくれ、わかったな?」

2 コミュニケーション

□ コミュニケーションが会社の命運を握っている
□ ミーティングを行なう方法をしっかりと考える
 ・ 業務レビューのしかた
 ・ One on Oneで部下を評価し、正しい軌道に戻してやる方法
 ・ スタッフ・ミーティングは週一回
  週末の旅の報告からスタート
  目的→①チーム・メンバーが私的な人間としてお互いを知りあえるようにする、②メンバーが最初から楽しんでミーティングに参加できるようにする
  楽しい職場環境が高いパフォーマンスと相関している

□ だれに何を伝え共有すべきかを知ることが、マネジャーの重要な仕事である
□ 知識の共有化は、正しくやればチームのパフォーマンスを高める効果があり、時間をかける価値がある
□ 優れたプロセスをもち、部下に説明責任を持たせる
□ 経営は結果ありきのゲームであることを周知徹底する
□ モニタリング、ターゲッティング、インセンティブなどの業績志向の管理手法を取り入れると業績がぐんと高くなる。管理手法は、研究開発、IT投資、労働者のスキルと同じくらい重要である
□ ミーティング中にスマホやCPを見ない(気をつけないと)

One to One(個人面談)/スタッフ・ミーティング

 One on Oneは、部下が実力を発揮し、成長できるように手助けできる最良の手段だ、そこで話し合うことはじっくりと考え、時間をかけて準備せよ。
  スタッフ・ミーティングは、チーム・メンバーの連帯感を生みだし、高めるために、旅の報告など仕事以外のプライベートな話題から始めよ。

□ One on Oneと業績評価のためのフレームワーク

 1 職務に対するパフォーマンス
  ・ 売上数値など
  ・ 製品の発売予定日、または開発の進捗状況など
  ・ 顧客からのフィードバック、または製品の品質
  ・ 予算数値
 2 他部署との関係(会社の一体性と結束を保つカギである
  ・ 主要な各部門同士の関係はどうか?
 3 マネジメントとリーダーシップ
  ・ 部下を指導、コーチできているか?
  ・ 出来の悪い社員を取り除いているか?
  ・ 採用に全力を尽くしているか?
  ・ 勇気ある行動を取るよう部下を駆り立てているか?
 4 イノベーション
  ・ つねに前進しているか、向上し続ける方法を考えているか?
  ・ 新しいテクノロジー、プロダクト、手法をつねに検討しているか?
  ・ 自分と業界トップや世界トップの人材を比較しているか?

3 取締役会

□ 取締役会は社長が取り仕切るのであって、その逆ではない。社長が自分の議題を持たないか、持っているのにそれに沿って会議を進めないと取締役会は失敗する
□ 最初の議題は業務報告である。そのための資料の大部分は、事前にメンバーに送っておく
□ 業務報告には詳細なハイライト(うまくいったことや満足できること)とローライト(あまりうまくいかなかったこと)を含めること
□ 敬意と信頼、率直さの好循環、透明性が高く誠実な雰囲気の醸成、がすぐれた取締役会を有効に機能させる
□ 会社のことを心から気にかけ、聡明で、事業に関する専門的知見を持ち、社長に協力し支援したいと本心から思っている人が取締役にふさわしい

4 リーダーとリーダーシップ

□ あなたがすぐれたマネジャーなら、部下があなたをリーダーにしてくれる。リーダーをつくるのはあなたではない。部下なのである。
□ コーチングを通じて、部下やチームをコーチする方法を示し、彼らがさらに有能なマネジャーやリーダーを作ることができるようにする
□ 有能なマネジャーやリーダーになるためには、有能なコーチにならなければならない
□ マネジャーは、管理・監督・評価・賞罰を中心とした伝統的なマネジメントの概念を超えて、コミュニケーション・敬意・フィードバック・信頼をもとにした文化を醸成しなくてはならない
□ リーダーシップというのは自分だけの問題ではない、会社とチームという自分よりも大きなものに献身することである。そしてコーチャブルな人こそが、自分より大きなものの一部になれる
□ 従業員の話を聴く、声をかけるといった、「ありきたりのなんでもないこと」が、すぐれたリーダーシップの重要な側面をなす。それが、相手の有能感、関係性、自律性を高める、それらは『モチベーションの自己決定理論』の3要素とも一致する。
□ すぐれたボスになるために必要なことは、相手を大切に思っていることをわかってもらえるようなかたちで本音を伝えることである
□ マネジャーはこうしろああしろと頭ごなしに言うものではない。なぜそれをやるべきかという物語を語る。自分に起こったことを、説教ではなくただ自然体で話す。そして最適解を考えさせる
□ 勝利をめざす。だが献身、チームワーク、誠実さをもって、つねに正しく勝利せよ
□ 物事がうまくいかないときこそ、前に出てリーダーは先陣に立つ。いつにも増して「誠意」「献身」「決断力」がリーダーに求められる

5 意思決定

 マネジャーの仕事は、すべての意見を吸い上げ、すべての見解を検討するための意思決定のプロセスを実行し、必要な場合にはみずから議論に決着をつけ、決定を下すことだ。
  その状況における『第一原理』、すなわち会社やプロダクトを支えている不変の真理を明らかにし、その原理をもとに決定を下すこと。

□ 対立などが起こったら、その当事者たちで意思決定させる
□ すべての意見とアイデアを俎上に載せ、グループ全体で話し合い、とりわけ不満が出ているような場合には、率直な意見を述べる機会を全員に与え、最適解を得るようにする(コンセンサスはグループ・シンク(集団浅慮)に陥り、意思決定の質が低下しがちとなる)
□ 議論に対するリーダーのスタンスは、白熱した議論を、意見の衝突(食い違い)ではなく、討論ととらえ、反論に寛容な雰囲気が生まれるようにし、情報共有を促す
□ 問題を話し合う場合には、リーダーは最後にはなすようにする
□ 最適解が生まれない場合、マネジャーは決定を促すか、みずから決定をする
□ まちがってもいいから、行動を起こす。決定を導くための適切なプロセスがあることは、決定そのものと同じくらい重要である(誠実な意思決定)
□ これらの意思決定方法は、『アーサー王の円卓』型意思決定モデルという。円卓には上座はないが、その背後に玉座がなければならない。
□ むずかしい問題に対しては、あらゆる意見が飛び出すが、それらを一刀両断して問題の核心に迫ること。どんな状況にも、誰もが納得できる不変の心理が存在する=第一原理

会計事務所と経営コンサルティングの融合

御堂筋税理士法人&組織デザイン研究所

小笠原 でした。

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