ESがあってCSができる
2018.12.28
ブログ
最近読んだ本のなかで
印象に残ったのは
『カスタマー・ロイヤルティの経営』
『サービスプロフィットチェーンによる
競争優位の構築』
という二冊の経営書
同じチャールス・へスケットという
ハーバード・ビジネススクールの教授が
書いた本である。
「顧客のロイヤルティを得ることが
高業績企業を創る要件であり、
そのためには、
まず従業員のロイヤルティを
得ることが前提となる
そして、それらは
ロイヤルティの究極のかたちである
オーナーシップにまで高められる」
ということが語られている。
なかなかハードルが高い話だが
とても興味をそそられるし
そのとおりだなあと思う。
そして、その構築のためには
従業員満足 ES と
顧客満足 CS を
両者のオーナーシップ
にまで高めることを意図した
サービス・プロフィット・チェーンの
デザインが有効だとして
いくつかのデザイン図表が示されている。
これまでにも
ビジネスモデルを考えるための
デザイン技法として、たとえば
戦略キャンパスなどを知っていたが、
それにくらべるとこの技法は
やることと効果の因果関係を
ひも付きで考えていくので
なかなか具体的でいいと思った。
ぜひ、弊社の経営計画でも
いちどテストしてみたいと思っている。
「サービス・プロフィット・チェーン」
で画像検索されると
いろいろな事例が出てくるので
参考にされるとよいだろう。
著者が、本のなかで
こうしたオーナーシップ文化を
構築していくうえでの教訓を
10項目にまとめてあるが
とても興味深いので
ご紹介しておきたい。
しかし、これを読むにつけても
あくまでも、ES→CS という
因果関係であることがわかる
――――――――――――――――
オーナーシップ文化の構築10の教訓
――――――――――――――――
1.リーダーシップは、組織の目的、
価値およびビジョンの体系化と維持
において、重大な意味をもつ。
リーダーは、価値、行動、規範および
行為といった、文化を構成する要素に
従って生きることによって、
手本を示さなければならない。
2.価値あるものが
どれもそうであるように、文化は、
それに対して投資すべきものである。
組織の規範と価値は、
スピーチをとおしてではなく、
行為とチーム学習によって形作られる。
それは、スローガンや空虚な約束よりも
はるかに大きなものである。
3.組織内のどのレベルの従業員も
文化を構成する諸要素に注意を払い、
それらを正しいと認識している。
彼らはオーナーとして、
従業員の採用、報酬、昇進、
そして同僚の解雇に関する
すべての経営判断を審査する。
彼らの反応は、
しばしば「上司の公正さ」といった
題名のついたコメントとして伝えられる。
しかし、このような対話の
基礎をなすテーマは、
組織の文化の強靭さと適切さである。
4.明確に体系化された文化をもつ組織は、
以下の理由から人件費に優位性がある。
・これらの組織は、
しばしば魅力的な職場となる。
・将来の潜在的な従業員に
よく認知されるようになる。
・オーナーシップ・レベルが
しばしば引きあげられ、
既存の従業員からの
推薦率が高くなり、
彼らから業務 改善へのアイデアが
多く出されるようになる。
・従業員が彼らと同じように行動する
知人を紹介するために採用候補者の
選別プロセスが簡便化される。
・将来の潜在的な従業員の蓄積が増える。
・多数の求職者を選別するコストは、
将来の潜在的な従業員が
その仕事に適合するかどうかを
自分で選別することによる
コスト削減分によって埋め合わされる。
・自己選別のプロセスがあることにより、
新規採用者のミスマッチは減少する。
(この項目は6とともに
とりわけ重要であると思う)
5.明確に体系化され強化された文化を
もつ組織は、効果のない行動の修正や、
価値に反する従業員の切り離しを
適時に行なうことを主な要因として、
従業員と顧客の
すばらしいロイヤルティを享受する。
6.強靭で効果的な文化に基づく
オペレーション戦略は、
潜在顧客を選別する。
そして、定期的な顧客の「解雇」を
行なうことも必要である。
この戦略は、顧客が従業員を
「乱用」したり、彼らが不当な要求を
行なったりするときには、
とくに重要である。
7.これらすべての結果は、
「最高の者が最高の者に
サービスを提供する」ということである。
8.自己増強する
オペレーション・レバレッジの源泉は、
変化への適応能力に乏しい
独善的なカルトを作り出さないように
注意深く管理しなければならない。
高い業績を維持する組織は、
彼らのコアとなる価値と、
それに結びついた行動に
定期的に立ち返り、再確認を行なう。
さらに、これらの組織は
組織内外にかかわらず
常にベンチマークとなる
ベスト・プラクティスを
探求するような、
ある種のイニシアティブを
打ち出すこともある。
9.強力で適応力のある文化をもつ組織は、
リーダーシップの水準を落とすことなく
効果的にそれを継承していく。
これは、組織の文化が継承者を
育てるとともに、
リーダーシップの移行そのものも
容易にしていることに
よるところが大きい。
10.文化は腐敗することもある。
その理由の中でもとくに重要なのは、
成功そのもの、変化に対する好奇心と
興味の欠如、パフォーマンスを無視した
文化の優勢、望ましい行動を補強する
ことの失敗、
継続的なコミュニケーションの途絶、
そして、リーダーが
自らの重要性の意識に負けることである。
いかがだろうか?
従業員の選別
→ES→顧客の選別→CS
これで高業績のビジネス・チェーンが
かたち作られていく。
それをあなたのビジネスで
どう取り組んでいくかである。
10年はかかる仕事であろう。
経営コンサルティングと
会計事務所の融合
組織デザイン研究所&
御堂筋税理士法人
小笠原 でした。