ドラッカー経営を中小企業で実践する 第28回「経営に必要なスキル ビジネス数字を分析する4つの視点」
2026.02.11
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要 約
1 売上や限界利益などビジネス数字を分析する視点は主に4つある
2 それらは、① 利益方程式と損益分岐点思考、② 80:20の法則、③ 生産性思考、④ PQ思考である
3 ①は採算意識の基であり、②により重要なものにフォーカスでき、③により儲かっているものと損をしているものを明別し、④で問題が単価なのか数量なのかを特定する
プロローグ
経営を進めて行く上で分析は不可欠です。分析には数字が必要です。古代ギリシアの偉大な哲学者プラトンは、自身の塾アカデミアの門に「幾何学を解せざる者、この門に入るべからず」と掲げました。
前回まで3回にわたり決算書の見方を話してきましたが、今回はビジネス数字を見る場合に必要な視点について話をします。
ビジネスで必要な数字を見る視点
会計的に数字を見る視点は2つあります。ひとつは決算書の見方です。もうひとつは損益計算書を管理会計的に見るということです。管理会計とは、損益計算書を、売上高―変動費=限界利益、限界利益-固定費=利益で見る考え方です。
さらにもう一歩進めて数字を分析する場合には次の4つの視点が必要になります。① 利益方程式と損益分岐点思考、② 80:20の法則、③ 生産性思考、④ PQ思考です。では、順を追って説明して行きましょう。
1 利益方程式と損益分岐点思考
第一の視点は、管理会計方式で損益を見ることです。その場合利益計算は、利益=売上高×限界利益率(=限界利益)-固定費で表わされます。これを利益方程式といいます。こうすると利益の計算がいとも簡単になります。
このような式が頭にあると、売上高、限界利益率、固定費をどう変化させれば、利益がどう変化するか、どうすればねらいの利益を出せるかを容易にシミュレーションすることができます。したがってこれは、採算意識の出発点となる大事な式なのです。
さらにここから、いくら売上があればトントンとなるか、いわゆる損益分岐点が判ります。
例えば、売上高が50,000千円、限界利益率が40%、固定費が18,000千円だとします。損益分岐点とは稼ぎ出す限界利益が固定費と同じになる地点ですから、この場合限界利益が固定費と同じ18,000千円になればよいわけです。そこで限界利益18,000千円を40%で割り戻しますと45,000千円となります。これが必要な売上高、つまり損益分岐点売上高となります。
損益分岐点の考え方は経営現場での採算管理のものさしとなります。これを1日当り、1時間当りと細かく分けていくと、リアルタイムの管理がよりしやすくなるのです。
2 80:20の法則
次にものごとを細分化するという視点があります。例えば売上高であれば顧客別や製品別に細かくわけるのです。そしてそれらを多いもの順に並べます。そうすると実に多くのケースで、上位20%程度の顧客や製品で、売上全体の80%をも占めるという偏りが見受けられます。
さらにそこで売上の多いものに焦点をしぼって改善策を考えていきます。えてしてものごとは少数の要素で大半の結果を招いていますので、重要なものに的を絞ることはとても効果的な問題解決の姿勢になるのです。こうした分析法をABC分析といいます。Aランクが重要な要素、Bランクがその次、そしてCランクがその他となります。そのために一覧表では常に多いもの順に並べるという視点がだいじになります。
3 生産性思考
生産性とは、人・お金といった経営資源が、どのように価値を生み出しているかの効率を言います。一般に、生産性は、限界利益÷人数、限界利益÷時間、で表わします。
例えばある機械で製品を加工しているとします。Aという製品は1時間加工すると30千円加工賃がもらえ、Bという製品は100千円もらえるとします。もしこの機械を1時間使うと50千円経費がかかるとすると、Aを作っていたら損になり、Bを作っていたら儲かります。このように時間当り限界利益を調べると、製品ごとの儲かり具合がはっきりと解ります。それゆえこの技法はとても切れ味のいい分析ツールです。
4 PQ思考
Pとは単価、Qとは数量のことです。売上にせよ仕入にせよ、その額は単価×数量に分解できます。ものごとは細分化し、分解するほどに鋭く分析できるようになります。例えば売上が下がったときに、その原因は単価によるのか数量によるのかなどです。このようにあるものごとを2つ以上の要素に分けると、原因が掴みやすくなり、また対策が打ちやすくなるのです。
以上の視点は、次に表にしてまとめておきます。ぜひ参考にしていください。
【ビジネス数字を分析する4つの視点】

まとめ
今回は私が日ごろ使っている簡単な数字を見る視点を紹介しました。私も皆さんと同じように日々皆さんの会社の数字を分析してもっと儲かるように指導をするのですが、この4つの視点で考えることがほとんどです。とても重宝しているので、ぜひ使ってしてみてください。
以上