御堂筋税理士法人創業者ブログ

第23回 効果的な「意思決定」とは

要約

1.「意思決定」とは、ものを決め、それを実行すること  経営者の仕事とは、究極的に言えば「意思決定」である

2.多忙な経営者においては「意思決定」の数を減らすことが肝要。小さな意思決定は自動化し、下に権限を委譲するべし

3.経営者による「重要な意思決定」が求められるのは、社が初めて直面する問題や、将来にわたって影響が及ぶ、社の価値観に関わる問題

4.意思決定の手順は、①問題の定義→②問題の分析→③複数の解決案→④最適案の選択→⑤最後の検討→⑥実行→⑦結果の確認

プロローグ

ドラッカーの『経営者の条件』で示されだ‘成果を挙げるために求められる考え方”のうち、今回は “効果的な意思決定”についてのお話をさせていただきます。

1. 経営者の仕事は「意思決定」である

成果を挙げるための前段階として「意思決定」は必ずなされるべきものですが、これこそが、経営者に求められる特有の仕事です。経営者の意思決定は、常に明確な要素と手順から構成される体系的プロセスを経て行われなければなりません。あまり馴染みのないテーマですが、一緒に考えていきましょう。

2.  効果的な「意思決定」を実行するための条件整備

人間の精神的なエネルギーには限りがあります。それゆえ経営者は、最も大事なことにエネルギーを集中しなければなりません。そのためには、意思決定についての考え方の原則を心得ておく必要があります。

ずばり経営者は重要な意思決定にのみ集中すべきで、そのためにも、それ以外の意思決定は下の人間に権限を下ろします。其体的には、社内権限の中でも比較的菫要度の高い「決裁権限規程」から「得意先慶弔見舞規定」まで、社内におけるさまざまな権限規定を整備し、その規程(ルール)に沿って経営者以外の者へ自動的に権限を委譲できるようにします。

3.  経営者が行う「重要な意思決定」とは

では、経営者幹部が真剣に考えて決めなければならない意思決定とはどのようなものでしょうか。ドラッカーは次の4つの条件を挙げています。

①将来長きにわたりわが社を拘束する

②金額が大きい

③初めて遭遇することである

④わが社の価値観に関わるものである

これらを現実の事象に当てはめるなら、例えば高額な設備投賓、新たな半業分野への進出といった問題が考えられます。会社法では、取締役会で決めなければならない事柄を例示 列挙していますが、それらも参考になるでしょう。

4.  意思決定の手順

①問題の定義

意思決定の11的、達成すべき11標、満たすべき条件を明らかにします。その場合には事実からスタートするのではなく、意見からスタートします。

②問題の分析

人間の歴史の中でもっとも成功した思考方法は(弊害もたくさんありますが)、科学的思考です。科学的思考ではまず「仮説」からスタートし、それを実験で検証していきます。ここでは、先ほどの問題の定義の段階で梨めた意見を検証し、答えの持つべき基準を考えます。例えば在)車管理について考える場合、国転日数をはじめ、諏要な在朋とそれ以外の在廊のあり方、欠品の許容水準などについて検証します。

③複数の解決案を出す

正しい意思決定は、意見の衝突対立、競合する複数の選択肢についての真剣な検討から生まれます。そのために優れた経営者は、意見の不一致や相違を生みだそうとします。

意見の不一致が必要である理山は、①それが意思決定に関わる者が組織の奴隷になることを防ぐ唯一の手段であり、②反対意見だけが選択肢を与えてくれ、③反対意見は何にもまして想像力を剌激するからです。

ですから、ある一つの行動だけが正しく他は全て間違っているだとか、自分は正しく彼は間違っているだとかいう仮定からスタートしてはなりません。「皆の意見が一致しない原因は必ず突き止めなければならない」ということを念頭に、よっぽどの確証がない限りは、反対者の意見にも真っ当な根拠があると仮定したうえで検討します。自分と違う結論に達している人間は、自分には見えていない現実を見、自分が考えているのとは迎う問題に気付いている。そして何よりも、それらの問題に理解を示し、関心を持つことが璽要なのです。そうすることで、ようやく本来のあるべき答えと、その代替案の両方が浮かんでくるのです。

④最適案の選択

出された複数案の中から最適と考えられる最終案を決定するにあたっては、複数の評価項目と絶対に具備すべき項目を定め、最低3つくらいの案の中から採択します。

⑤妥協の検討、意思決定は本当に必要か?

さらに最後に、「今、本当にこの意思決定が必要なのかどうか」を自問します。大きな意思決定には大きなリスクが伴うため、不要な意思決定はしてはなりません。そこには常に、「何もしない」という案も存在します。今は放置していてもさしたる問題がない場合は、まだ手を付ける時期ではありません。

⑥決定を行動に移す

決定事項を実行する上でのポイントは、あらかじめその決定の中に評価碁準、業務水準、実行手順、期限、担当、チェック方法などのコミットメント(=実効性のある仕組みづくり)の方策を入れておくことです。計画はできても実際に行うとなれば、少なくない時間と労力を要します。ここを苦手とする中小企業は多いので、先に述べたように、体系化  明確化したプロセスを迎しるべに、実行まで乗り切りましょっ。

⑦結果の確認

人間は間違いも起こせば、どんなに最善を尽くしたところで達成できないときもあります。なので、これまでの努力とはまた別に、経堂者はその行動がもたらした結果を確認する必要があります。組織的な情報収集、報告や数字も必要ですが、もっとも信頼できる確認の方法は、口分の眼で確かめることです。

口身の意思決定がもたらしたものを見届けるまでが、経営者に求められる仕事なのです。

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