御堂筋税理士法人創業者ブログ

要約

1 決算書分析とは、決算書から経営の良し悪しを分析するものである

2 経営の経済的要件は、儲けてお金を残すこと、つまり利益を出して自己資本を充実することである

3 そしてその源は、人の生産性と、お金の効率にある

プロローグ

 さて、決算書の構成要素である損益計算書(PL)と貸借対照表(BS)の見方がわかったら、それらを総合して、決算書から見た会社の経営分析を行ないます。決算書とは、金銭的な数字でみた経営の通信簿です。したがって年に一回、しっかりとレビューしてもらいたいものです。その際には、ぜひ最低5年から10年、できれば創業以来の業績と財務内容の推移も見てください。

1 分析の視点-儲けてお金を残す

 企業の目的は顧客の創造ですが、経済的成果は経営の不可欠な要件です。なぜなら業績を挙げることが、企業の社会的使命たる永続を保証するからです。それを簡潔にいえば、儲けてお金を残すことになります。

 したがって、決算書による経営分析の骨子は、儲けてお金が残っているかを診ることです。儲けとは利益であり、お金とは自己資本です。儲けすなわち利益の多さを見るものさしは、代表的には売上に対する利益の割合(売上高経常利益率)でしょう。そして、お金すなわち自己資本の充実を見るものさしは、事業につぎ込んでいる総資金量(貸借対照表の総資産額)に対する自己資本の割合(自己資本比率)で診ます。

 売上高経常利益率は、いわゆる利の厚さを示します。その基準は業種によって異なります。製造業ではおおよそ5%、卸売業では2%となります。一方、自己資本比率は業種に関わりなく40%程度が目安となるでしょう。

 しかし、儲けの指標として売上高経常利益率には多少視点の欠けるところがあります。それは売上高に対する利益しか示さないことです。オーナー経営者のようなお金を出す立場で考えると、儲けるとは出したお金に対してどれくらい利益が出るかということではないでしょうか。そこで、より本質的なものさしとしては事業につぎ込んでいるお金に対する利益の割合(総資産利益率)を診る方が適確だといえます。総資産利益率の目安は6%と考えてください。

2 儲けの源は人とお金の生産性である

 儲けの源とは結局のところ何でしょうか?それは事業の2大経営資源、人とお金の生産性です。中でも人の生産性(労働生産性)がもっとも重要です。それは人間の智慧こそが価値を生み出しているからです。労働生産性は限界利益を従事員数で割った1人当り限界利益で表わします。

限界利益とは、売上から仕入・材料費・外注費を差し引いた会社のマージンをいい、それこそが企業の真の売上だといえます。労働生産性は経済でいう1人当りGDPにあたります。1人当たりGDPの高い国ほど豊かだと言えます。わが国の場合中小企業ではそれはまだ年間1,000万円程度にとどまっています。

一方お金の生産性は、売上高を事業につぎ込んでいるお金で割って表わします。これを総資産回転率といい、資金の効率性を表わします。総資産回転率は、設備投資などお金がたくさん要る業種ほど低くなります。その基準は、製造業で通常1回転、卸売業で1.5回転程度となります。

さて、決算書分析の全体像は次の図を参照してください。

【決算書分析の全体像】

(赤書きは本分説明の指標、黒書きはそれ以外の指標)

3 各指標の細かな分析をする

 以上のように、決算書分析では、儲け度→お金の蓄積度→儲けの源泉という順序で診ていきますが、それぞれの数値が基準に比べて高いのか低いのかを理解し、手を打っていくことが大事です。

自己資本比率は、お金の使い方の上手い下手にも影響されますが、基本的には長期の利益蓄積で決ります。したがって、まず利益の出方、生産性を問わなければなりません。

利益はその企業のマネジメントの良否、事業の特性(環境・顧客構造・差別化など)によって決まります。その要因をあたり、人の生産性とお金の効率を分析し、必要な対策を決めることが大切です。収益性は事業別、製品別、顧客別、地域別などで細分化して考えます。お金の効率は、売掛金、在庫、設備、資金の多寡とその理由を細分化して調べ、スリムにする手を打っていきます。

4 時系列の決算書分析

 決算書とは、ある年の利益、ある年度末のお金の状態を示します。それはそれで意味がありますが、しかし決算書を時系列で視ることはそれにも増す多くのヒントがあります。ぜひ長期で、できれば創業以来の数字を示し、よく見ていただきたいものです。

【時系列分析の事例】

次回は、ふだん会社の数字を見る場合にぜひとも持っておきたい視点を説明いたします。楽しみにしてください。

以上

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