二宮尊徳翁の思想
2015.06.09
高業績企業づくり
さて昨日につづいて
尊徳翁のお話です。
では尊徳翁の
体得された実践変革と指導の思想とはなにか?
ここでは5つにまとめてみました。
①実学・実践重視
②至誠
③勤労
④分度
⑤推譲
です。
①実学・実践重視
尊徳翁は、学者、僧侶を好まなかった。
実践を重視した考え方をしていたためである。
尊徳翁の目的は実現である。
そのために必要なことは、
なんでも活用すればよい、
とさえ考えていた節がある。
自分の考え方は、
神道・儒教・仏教の三つを
混ぜ合わせて作った思想、
すなわち、飲み薬を連想させる
「神儒仏一粒丸」と言っている。
その中でも、神道のウェイトが高く、
天の徳、地の徳、人の徳に報いる
気持ちを常に持ちながら
勤労することを基本精神としている。
②『至誠』
まことの道とは世を救い、
世を益することをいう。
それは個人として、
理屈をこねることなく、
まことを尽くし実行する所にある。
③『勤労』
二宮尊徳翁は、
天道・人道ということを考えている。
天道とは春夏秋冬、
夜昼、晴天・雨天等、自然の現象を指す。
植物は土によって発芽し、
日光と水の力で生育する。
そして、この植物を
動物が食べ物とし生きてゆく。
こうした循環が天道である。
天道はエントロピーの原理に従う。
(つまり放置しておくと荒れるということ)
人道とは、この自然循環の中で、
人類は種である米、栄養を貯蔵した大根など、
人間の役に立つものをより分け、
水、肥料を与え、雑草を除去し、
防除し、収穫を多く得ようとするが、
このように人が手を加え
自分達の利益のために行うことをいう。
人道は、人間の意志がなければわれない。
この意志を継続して保持し
行為していくことが勤労でである。
それはある種、エントロピーへの
反重力的努力による。
④『分度』
二宮尊徳翁は、農村の復興を計画する時、
その農村の生産量を過去にさかのぼって
調査している。
そして、その地域の生産量を数値で把握し、
この現状認識から、
生産者、領主の取り分を契約している。
個人についても、
それぞれの分限を守り、
相応の生活をするということで、
収支のバランスをとった生活を勧めている。
こうした数値で支出を定めることを
分度という。
まず至誠と勤労をもって収入を増やし、
これに見合った支出をするという順番で、
計画の策定を重視しているところが、
近代の経営を思わせるところである。
⑤『推譲』
分度を確立した上で、
それ以上の収入があれば、
余剰が出る。
この余剰の一部を将来のために
あるいは人のために
譲ることを推譲という。
推譲には、未来への推譲、
他人への推譲がある。
自分の子孫のために譲ることは
比較的容易だが、
他人のために譲ることはなかなか難しい。
二宮尊徳は、これを推進した。
そうしたことができるためには、
心の田「心田」の開発が必要といっているが、
尊徳の周辺にはこうした人物が多く育った。
そして、こうした推譲金を
灌漑事業に充てた結果、
干ばつ・洪水の心配もなくなり
自己の作物の収穫量も増え、
村や社会が豊かになって
自分に還元されるという
成功サイクルが実現していった。
その後、尊徳の継承者たちは、
尊徳の思想を「報徳運動」として実践し、
広めていった。
今も各地にある報徳運動は、
尊徳の教えが現代まで続いている
実際活動である。
ではわたしたちはそこから何を学ぶべきか?
それが尊徳翁に学ぶ意義なのである。
これはまた明日でもお話しましょう。
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御堂筋税理士法人&
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税理士コンサルタント 小笠原 でした。