御堂筋税理士法人創業者ブログ

「つれづれなるままに、

 日くらし硯にむかひて、

 心にうつりゆくよしなし事を、

 そこはかとなく書きつくれば、

 あやしうこそものぐるほしけれ。」

 

兼好法師の『徒然草』の冒頭です。

 

(岩波文庫版です)

 

法師は、下級官吏だったそうですが、

有職故実にも詳しく

貴族・武士間の政治では

けっこう助言・伝達・調整で

役に立ったようです。

それゆえ、あれこれ

見たり聞いたりしたことも

多かったのでしょう。

 

出家して庵を編んだのですが

ぼんやりと物思いにふけって

書いた書き置きが『徒然草』です。

 

そこには、世俗のむなしさ、

大切なもの、自然の美しさ、

男女のきび、美学が

おおいに展開されていました。

 

私にとっては

かなりむずかしかったですが

いつものように

テキトウに読み進めました。

 

そこには

日本人の心象風景の

ある種のパートを

形成した原風景が

あるような気がしました。

 

仏教思想特有の

諦念、現世否定、また

自然をめでる心など…

 

世間では、

ここは名文、深い!という

評価が定着している段も

いくつもあるようですが、

 

それはそれとして、

わたしの感性で

全243段から

いくつか心に響いた段を

選んでみました。

 

「人はかたちありさまのすぐれたらんこそ、

 あらまほしかるべけれ、

 物うち言ひたる、聞きにくからず、

 愛嬌ありて、言葉多からぬこそ、

 飽かず向はまほしけれ。

 

 -べらべらしゃべらんと、

  聞き上手がええですねえ-

 

 …品かたちこそ生まれつきたらめ、

 心はなどか賢きより

 賢きにも移さば移さざらん。…

 

 -見目麗しいのは生まれつきで

  しゃあないけど、

  勉強、修養しだいで

  人間力は高められますなあ-

  

 ありたきことは、まことしき文の道、

 作文・和歌・管絃の道、

 また有職の公事の方、

 人の鏡ならんこそいじみかるべけれ。

 

 -それにつけても、やっぱり

  勉強とキョウヨウを

  身につけることは不可欠

  世の東西を問わずです。

  文才、スポーツ、音楽です-

 

 手などつたなからず走り書き、

 声をかしくて拍子とり、

 いたましうするものから

 下戸ならずならぬこそをのこはよけれ。」

 

 -いざとなれば、意外に達筆、

  歌も、スポーツもそこそこ

  それに、いやあ下戸ですねん

  といいながら、けっこう飲めるやん-

  ええなあ。

 (第一段)
 
「折節の移り変るこそ、

 ものごとにあはれなれ。
 『もののあはれは秋こそまされ』

 と人ごとに言ふめれど、

 

 それもさるものにて、

 今一際心も浮き立つものは、

 春のけしきにこそあめれ。

 鳥の声なども

 ことの外に春めきにこそあめれ

 …(以下長文につき省略)」

 

 -同感です。秋もええけど、

  春の期待感、うららかさは格別、

  時間が止まってほしいと

  思うくらい。

  それにつけても、“花”ですねえ-

(第一九段)
 

「よろづのことは、

 月見るにこそ慰むものなれ、

 ある人の

 『月ばかり面白きものはあらじ』

    と言ひしに、

 またひとり、

 『露こそなほあはれなれ』

 と争ひしこそをかしけれ。

 折にふれば、何かはあはれならざらん。
 

 月・花はさらなり、

 風のみこそ人に心はつくめれ。

 

 岩にくだけて清く流るる水のけしきこそ、

 時をも分かずめでたけれ。

 『沅・湘 日夜東に流れ去る。

 愁人のためにとどまること

 少時(しばらく)もせず』

 といへる詩を見侍りしこそ、

 あはればりしか。

 

 -川の水の流れは

  古来、時の去りゆきて

  戻らずの感慨を

  もよおします-

 

 嵆康(けいこう)も、

 『山沢に遊びて、魚鳥を見れば、

 心楽しぶ』と言へり。

 人遠く、水草清き所に

 さまよひありきたるばかり、

 心慰むことはあらじ。」

 

 -最同感!!

  渓流の水音を聞いていれば

  一日中あきないです。

  あくまでピュアな水の色!

  黒滝かどこかの渓のねきに

  小屋でもほしいです-

(第二一段)
 

「よくわきまへたる道には、

 必ず口重く、問はぬ限りは

 言わぬこといみじけれ。」

 

 -そのとおり!

  人に嫌われず

  付き合う術の極意-

(第七九段)

「『亢龍の悔あり』(易経)

 とかやいふこと侍るなり。

 月満ちては欠け、

 物盛りにしては衰ふ。

 よろづのこと、さきのつまりたるは、

 破れに近き道なり。」

 

 -そういうことやな

  道長も清盛もえらそうなこと

  いうとったなあぁ-

(第八三段)

「北の屋かげに消え残りたる雪の、

 いたう凍りたるに、

 さし寄せたる車の轅(ながえ)も、

 霜いたくきらめきて、

 有明の月さやかなれども、

 くまなくはあらぬに、

 人離れたる御堂の廊に、

 なみなみにはあらずと見ゆる男、

 女と長押に尻懸けて

 物語するさまこそ、

 なにごとにかあらん、

 尽きすまじけれ。

 かぶし、かたちなど、いとよしと見えて、

 えもいはぬ匂ひの、

 さと薫りたるこそ、をかしけれ。

 けはひなど、はつれはつれ

 聞こえたるもゆかし。」

 

 -まだ寒さの残る夜半の逢引き

  大人ですねえ、

  ロマンチックですねえ。

  はつれはつれ、なんて

  最高の表現ちゃいます?-

(第一〇五段)

「無益のことをなして時を移すを、

 愚かなる人とも、

 僻事する人とも言ふべし。

 国のため君のために、

 やむことを得ずしてなすへきこと多し。

 その余りの暇、いくばくならず。

 

 -しごとばっかりしてる場合でっか?

  と問われているよう…-

 

 思ふべし、

 人に身にやむことを得ずしていとなむ所、

 第一に食ふもの、

 第二に着る物、

 第三に居る所なり。

 人間の大事この三つに過ぎず。

 饑ゑず、寒からず、

 風雨に浸されずして、

 閑かに過ぐすを楽しみとなす。

 

 但し、人皆病あり。

 病に冒されぬれば、

 その愁へ忍びがたし。

 医療を忘るべからず。

 薬を加へて四つのこと

 求め得ざるを貧しとす。

 この四つ欠けざるを富めりとす。

 

 この四つのほかに求め

 いとなむを驕りとす。

 四つのこと倹約ならば、

 誰の人か足らずとせん。」

 

 -知足やねえ-

(第一二三段)

「家にありたき木は、

 松・桜。松は五葉もよし。

 花は一重なるよし。

 八重桜は奈良の都にのみありけるを、

 この比(ごろ)ぞ、世に多くなり侍るなる。

 吉野の花、左近の桜、

 皆一重にてこそあれ。

 八重桜は異様(ことよう)の物なり。

 いとかちたくねぢけたり。

 植ゑずともありなん。

 遅桜、又すさまじ。

 虫のつきたるもむつかし。

 

 -やっぱり八重は派手過ぎるなあ-

 

 梅は白き、薄紅梅。

 一重なるが疾く咲きたるも、

 重なりたる紅梅の

 匂ひめでたきも、皆をかし。

 

 遅き梅は、桜に咲きあひて、

 覚えおとり、けおされて、

 枝にしぼみつきたる、心憂し。

 

 『一重なるが、まづ咲きて散りたるは、

 心疾(と)く、をかし』とて、

 京極入道中納言は、

 なほ一重をなん、

 軒近く植ゑられたりける。

 京極の屋の南向きに、

 今も二本侍るめり。

 

 柳、又をかし。

 卯月ばかりの若楓、

 すべて万(よろづ)の花・紅葉にも

 まさりてめでたきものなり。

 橘・桂、いづれも

 木はもの古り、大きなるよし。
 

 草は、山吹・藤・杜若・撫子。

 池には蓮(はちす)。

 秋の草は荻・薄・桔梗・萩・女郎花・

 藤袴・紫苑・吾木香・刈萱・竜胆・

 菊。黄菊も。蔦・葛・朝顔

 いづれもいと高からず、ささやかなる、

 墻(かき)に繁からぬ、よし。

 

 -それにしてもよう知ったはる

  さすが教養人ですね。

  かなり広い庭だったらしいです-

 

 この外の、世に稀なる物、

 唐めきたる名の聞きにくく、

 花も見なれぬなど、

 いとなつかしからず。

 

 -舶来種はあきまへんかあー

 おほかた、なにも

 めづらしくありがたき物は、

 よからぬ人のもて興ずるものなり。

 さやうのもの、なくてありなん。」

 

 -父母の実家の庭がなつかしくて

  共感しましたー

(第一三九段)
 

「人としては

 善にほこらず物と争はざるを徳とす。

 他にまさることのあるは大きなる失なり。

 品の高さにても、

 才藝のすぐれたるにても、

 先祖の誉(ほまれ)にても、

 人にまされりと思へる人は、

 たとひ言葉に出てこそ言はねども、

 内心にそこばくの咎あり。

 慎みてこれを忘るべし。

 

 をこ(愚かしい)にも見え、

 人にも言ひ消たれ(非難され)、

 禍をも招くは、ただこの慢心なり。

 

 一道にもまことに長じぬる人は、

 みづから明らかにその非を知るゆゑに、

 志常に満たずして、

 つひに物にほこることなし。」

 

 -謙虚と修練ですねー

 (第一六七段)

「老いぬる人は、

 …心おのづから静かなれば、

 無益のわざをなさず、

 身を助けて愁えなく、

 人の煩ひなからんことを思ふ。

 

 老いて智の若きときにまされること、

 若くして、

 かたちの老いたるにまされるが如し。」

 

 -森先生のおっしゃる老木の美です-

(第一七二段)

「藝能・所作のみにあらず、

 大方の振舞・心づかひも、

 愚かにして鎮めるは、

 得の本なり。

 巧みにしてほしきままなるは、

 失の本なり。」

 

 -いわずもがな-

(第一八七段)

「身をも人をも頼まざれば、

 是なる時は喜び、

 非なる時は恨みず。

 左右広ければ障らず、

 前後遠ければ塞がらず。

 狭(ば)き時はひしげくだく。

 心を用ゐること

 少しきにしてきびしき時は、

 物に逆ひ争ひて破る。

 緩くしてやはらかなる時は、

 一毛も損せず。

 

 人は天地の霊なり。

 天地は限るところなし。

 人の性、なんぞ異ならん。

 寛大にして極まらざる時は、

 喜怒これに障らずして、

 物のために煩はず。」

 

 -こだわりのないことですね

  なるようになる

  あくせくしない-

(第二一一段)

「よろづの咎あらじと思はば、

 何事にもまことありて、

 人を分かず、うやうやしく、

 言葉少なからんには如かじ。

 

 男女老少、皆さる人こそよけれども、

 ことに若くかたちよき人の、

 言うるはしきは、忘れがたく、

 思ひつかるうものなり。

 

 -若い人は特に

  ことばが上品なのはいい!ー

 

 よろづの咎は、

 慣れたるさまに上手めき、

 所得たる気色して、

 人をないがしろにするにあり。」

 

 -ゴーマンはやっぱりあかん-

(第二三三段)

 

てなわけで、

身につまされること多し

また、自然に順応することを

思い出されました。

野蛮人には必須の教えでした。

 

経営コンサルティングと

会計事務所の統合

 

組織デザイン研究所&

御堂筋税理士法人

 

小笠原 でした。


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