センスを高めるには本物を体験することだ。
2013.10.26
ブログ
前回、デザインの重要性をお話した。
経営者は、そのセンスを磨く必要があるということだ。
なぜか、『見ば』が八割だからだ。
お店も、品物も、人物も、会社も。
だから、皆さん『見ば』を気にする。
品物を美しく見せる、
おしゃれする、
会社をきれいにするわけである。
そのためには、センスを磨かなければならない。
センスを身につけなければならない。
では、どうしてするか?
それが、今回のテーマだ。
まず、教えてもらうことだ。
そういう人をもつことだ。
服を買うときなど、よく勉強しておられる
お店の方にアドバイザーになってもらうことだ。
それから、スタイリストやカラー・コーディネーターの方に
いっしょに買い物をお願いするのだ。
もちろん費用は要る。
だが、それ以上の成果はある。
基本がわかれば
あとは、自分で経験を積んで
あるいは、本を読んで、インターネットで検索して
センスは磨いていける。
旅行や日常の生活で
『美』に触れることだ。
自然も美だが、この場合人工の美が主である。
芸術である。
主なものは、絵、建築、音楽、映画、料理などだ。
絵画、版画、彫刻、陶磁器、ガラス工芸、
染織、服飾、タペストリー、
家具、置物、建築、施設、商業店舗、内装
ファッション、宝飾、アクセサリー
デザイン、パッケージ、看板、
本、雑誌、印刷物、カタログ
音楽、声楽、オペラ、ミュージカル
ダンス、舞踊、邦楽、歌舞伎、
演劇、映画、漫画、写真
料理、お酒、ワイン
レストラン、ホテル、リゾート、
サービス、人物・・・
それも最高のものに触れることだ。
そのためにはお金が要る。
だから、ふだんは質素にする。
茶色のご飯を食べておく。
しかし、いざというときはバーン!とお金を使うことだ。
自分への投資である。
使う対象物は
最高のものであることが条件だ。
世界で一番がわかれば、
こわいものはなくなる。
あとは、それと比べると・・・となるからだ。
つまり、ものさしができるというわけだ。
いろいろな道の達人や識者に
「どうすれば見る目が養えるか?」と訊くと
一応に、
「本物を数多く見ることです。」と答えられる。
だが、いくら体験しても
こちらの感受性がなければ意味がない。
『猫に小判』となるからだ。
そのためには、
すなおな心が必要だ。
それさえあればよいのではないか。
それと、
よいものは高い、高いものはよいという
単純な法則を認めることだ。
そういう意味で、昨今の
わけのわからぬ激安ブームには
眉をひそめる。
よいものは、材料も高いし、
それを作る人も一流の人だから高いのだ。
何でもみさかいなく値切る人には
よいものを賞味する出発点に至っていない。
また、よく質問するということだ。
そうすれば、いろんなことを教えてくださるものだ。
遠慮なしに訊けばいい。
その方が、コスパが高い。
美とは何か?
アリストテレスなど、かつては自然の模写といった。
もうひとつ、心象の表現ということもある。
まあ、両方だろう。
孔子は、詩と音楽を大変重要視しておられる。
音楽は礼に深くかかわるのだという。
礼とは、社会生活の上での流儀をいう。
徳が内面的なものだとすれば
礼は外的なもので、義のもとだ。
ふたつして徳義が備わる。
また詩は感興を引き起こす。
適切な感情を引き起こすということで
これもまたとても大切にされた。
「詩三百、一言もってこれを蔽う、
いわく『思い邪(よこしま)なし』」
「詩経の意義をひとことでいうと、
まっすぐな気持ちである」というのである。
(詩経=中国の古代の詩歌を集めた書物で
儒教の最重要経典、五経のひとつ)
名言である。
奮い立つ。
歌舞伎の心とは何か?
いわく、「悲しい恋の物語」だと。
そうだなあ、
義理と人情のはざまでもてあそばれる
人々の、理不尽な人生に泣けてくるもの。
アリストテレスは、美学の中で
演劇では悲劇を最高のものだとした。
疑似体験から興る憐憫と心の浄化(カタストロフィ)が
その理由である。
ホメーロスを源として
ギリシャの演劇は大輪の花を咲かせた。
その伝統は、ルネッサンスで再興され
オペラが生まれた。シェークスピアが生まれた。
それは近代演劇に引き継がれ、
映画が生まれた。
だから、映画は、
古代ギリシャのパターンの
膨大なリメイク、引用だ。
ヨーロッパの文化を理解するためには
ギリシャ(+ヘブライとキリスト教)を
頭に入れておくことが不可欠だ。
余談が過ぎた。
なにを言いたいか?
よき経営は、経営者の価値観の高さから生まれる。
そして、右脳を鍛え、人柄を高め、
価値観を身につけていくためには
美に触れるということが大切だということだ。
そのために、
多少の時間とお金を投資しようというわけだ。
いかがだろうか?
コンサルティングに強い御堂筋税理士法人&経営エンジン研究所
大阪 税理士 小笠原 でした。