御堂筋税理士法人創業者ブログ

帝国データバンクさん会報誌(関西版)のドラッカー経営の連載第2回分の転載です。ご参考になれば。

要約
1 中小企業は経営資源に乏しいがゆえにニッチNo1となる戦略をもたなければならない
2 ニッチNo1になると4つの理由から必然的に高業績化する
3 そのためにニッチNo1になるための各部門の取り組むべき課題を経営計画で明確化することが必要である

1 プロローグ
 皆さんこんにちは。御堂筋税理士法人の小笠原です。第1回でお話ししたように、中小企業の経営では、①ニッチNo1戦略、②数字による経営の見える化、③経営者・幹部がマネジメントの仕事をする、という3つがポイントでした。そこで、今回はポイントの一つ目『ニッチNo1戦略』についてお話をしたいと思います。

2 ニッチNo1戦略とは
 ドラッカーは、「小企業は戦略をもたなければならない。際立った存在となるための戦略をもたなければならない。有利に戦うことのできるニッチを見つけなければならない。」と述べています。でなければ、たちまち力負けして消し去られてしまうというのです。それはそのとおりだと思います。

 そして、『リーダーシップのある存在』をめざせといっています。それは、ある市場、顧客、技術、用途において卓越しており、それゆえに顧客からNo1で指名してもらえる存在です。あなたの会社がターゲットとする領域で人気No1の会社になる、それはつまりあなたの会社をブランド化するということです。

 ブランド化というとたいそうで、大企業の手法のように感じるかもしれません。しかし中小企業でもしっかりと目標意識をもって全員で取り組んでいけばブランド化はできます。

 わたしはそのために、全部門が参加して『ブランディング委員会』を組織し、ブランド化の重要活動を定め、全社員を巻き込んでブランディング活動を目標管理していくことをお勧めしています。

3 ニッチNo1になると高業績になる
 ニッチNo1になると、必然的に高業績企業になっていきます。わが社の売上高に対する利益率(売上高経常利益率)が、業界平均の倍以上であれば、わが社は高業績企業と言ってよいでしょう。ドラッカーは、「企業の目的は顧客の創造である。」といっていますが、それはあくまで経済的な要件を満たしてのことだといっています。つまり儲けないと話にならないというわけです。さらに「必要な利益は、しばしば経営者がめざす利益の水準を超える」ともいっています。つまり要求される利益水準は相当高いのです。

 では、ニッチNo1になると、なぜ高業績企業になるのでしょうか?そのメカニズムを理解しておくことは的を射た実践活動を進めるために大事です。私は次の4つの要因を想定しています。

➀あまり営業活動が必要でなくなる
 知名度が高くなるので、顧客の方からやってくるというわけです。そのために営業コストが助かることになります。

②稼働率が圧倒的に高くなる
 それによって設備や人の効率が上がり、生産性が高まります。これが収益性を高める大きな要因となるのです。

➂比較的価格を高くすることができるようになる
 これも収益性を高める大きな要因となります。

④調達面での優位性ができるようになる

 以上の要因から、粗利益率高くなり、また効率が上がるため売上に対する経費の率が下がり、その結果、売上高経常利益率が高まるわけです。なぜなら、経常利益率というのは、粗利益率-経費率だからです。

 ところで、私が粗利益率という場合には、特別の断わりがないかぎり、卸売業や小売業などでは、売上から仕入を引いたものを、製造業や建設業などでは、売上から材料費と外注費を引いた限界利益率を意味します。ちなみに限界利益率というのはRate of Marginal Profitの訳です。MarginalというのはMarginの形容詞です。よく日本語でもマージンといいますが、これは利ザヤのことです。取っつきにくい言葉ですが、翻訳としてすでに定着していますので、がまんして慣れてください。

 この限界利益というのは、一国の経済でいいますとGDPに相当します。経済がよければ政治家は安泰ですから、GDPは政権がもっとも重要視する指標です。経営でも同じであり、私は、すべての経営のものさしの中で、1人当り限界利益がもっとも重要なものだと考えています。

 話が脱線しましたが、ドラッカーは大した特長のない会社を限界事業者と呼び、競争力に乏しいため不況になるとまっ先に淘汰される不安定な存在だと言っています。ですから、ニッチNo1となって景気に左右されない体質の会社にすることが、企業の永続のために不可欠だとアドバイスしているのです。

4 ニッチNo1戦略の立て方
 では、実際にニッチNo1になる戦略はどのように立てたらよいのでしょうか?そのためには2つの質問に真剣に答えなければなりません。

第1の質問 「あなたにとってのニッチとはどのようなものか?」
 ニッチはターゲット顧客とも、ドメイン(生存領域)ともいいます。それを考えようとするならば、日ごろからことのほか、愛顧をいただいている顧客(群)を想起し、それはどのような顧客なのかを言葉にしてみることです。

第2の質問 「あなたがNo1で選ばれるためにもつべき卓越性とは何か?」
 次は、顧客はあなたの会社の製品・サービスのどのような点に惹かれているのかを言葉にしてみることです。

 品質や価格が重要であるのは当然ですね。品質が保てなければそもそも信頼関係の構築は無理ですし、多くの場合優れたコストパフォーマンスも重要でしょう。しかし、それだけで顧客の好みは決まるのでしょうか?ある顧客はクイックレスポンスを重視するかもしれません。また他の顧客は、臨機応変な対応力をよしとするかもしれません。その他、仕入力、品揃え、社員の対応、アフターサービスの充実、技術力、コンサルティングサービスなどさまざまな強みが考えられます。

 しかし、それを決めるのはあくまで顧客です。そのポイントを的確に掴まなければなりません。その唯一の方法は、顧客に訊くことです。人はとかく自己中心主義で、よほど注意していないと顧客の立場からものをみれないからです。ドラッカーもそのことを強調しています。

 ニッチNo1戦略、つまりどのようなターゲットに対してどのような卓越性を築き人気No1になるかをきっちりと言葉にできれば、それに沿って社内の各部門が連携を取りつつ、製品とサービスの質を研ぎ澄ましていきます。これが経営計画を中心とした経営の軸になるのではないでしょうか。

 そのためにわたしは経営計画において、バリューチェーン分析というものをすることをお奨めしています。これは図のようなフォーマットで、横にマーケティング、開発、営業、調達、生産、商流、物流、アフターサービスなどわが社の機能を並べ、縦に顧客の期待、わが社のあるべき姿と現状、両者のギャップ、そして戦略課題をあげていきます。これを幹部みんなで考えまとめていくことにより、全員がニッチNo1をめざすために取り組むべき課題を共有することができます。そして経営の実践の中でそれらの課題を実行管理していくのです。

 戦略とは、「トロトロ煮込むシチューだ」と、戦略論の大家バーニーはたとえています。なによりしつこく取り組んでいくことが重要なのですね。

会計事務所と経営コンサルティングの融合

御堂筋税理士法人&組織デザイン研究所

小笠原 でした。

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