便利な世の中
2024.06.18
読書と修養
過日必要があって英語の本を買うた。“Talks to Teachers”という本である。著者ウィリアム・ジェームズは20世紀初頭の著名なアメリカの心理学者、哲学者である。本はアマゾンで注文して1,2週間待って手許に届いた。
私は訳本がないかあるいはユーズドで高価なときはしかたなくときどき英語の本を読む。英語のエクササイズにもなるという理由からでもあるが。
この本は別の本で紹介されていて興味をもった。さて楽しみにして本を読み始めたが、存外むずかしくよく意味が掴めない。
同書は学校の教師や学生たちにおこなった心理学の講義を本にしたもので、分厚いジェームズの心理学の要約版でもあるらしく、内容が理論的、抽象的だし、何しろ1世紀以上前の優雅な英文である。こらむずかしいなあ😅と思って何かヒントがないかとGoogleを探ってみた。するとGutenberg Projectというページに行き当たった。察するに古い本の内容を提供するサイトらしい。
何気なく見てみると全文が掲載されているではないか。しかもタダである。はてと思って翻訳に掛けたらあっという間に日本語で文章が表示された。あれまあと、すぐにコピペしてワードに貼りつけた。
そしてさっそく読み始めた。また私の携帯はソニーのアンドロイドでテキストの読み上げ機能もあってトカティヴだからそれで聞いたりもした。
おかげで全文100ページの小冊子はあっという間に読めた。ただし内容は日本語で読んでもむずかしく、なんじゃらほい?という感じであまり意味もつかめ心には響かなかったが…
そのときふと思った。数千円も出して、1,2週間も待って本を買うた行為は何だったのかと。これからはまずgutenbergを調べようと行動パターンを修正するようにわが脳みそに指令を出した。
それにしても便利な世の中である。翻訳ソフトの文章もかなりこなれていて、これだと何の違和感もない。技術もえらい進んだものだ。ありがたい。
そこでまた思った。この調子だと、そのうち世界中の人とのおしゃべりもリアルタイムで翻訳して意思疎通できるのだろうなあと。そうなったらもはや外国語を勉強するという必要もなくなるのではないか。
ムーアの法則のように加速していく今の技術の発展に従えば、私の生きているうちにそんなことも実現が期待できる気がする。それにしてもすごい世の中である。もっともっと生きてそれをこの目で見たいものだと思った。