『援助する』ということ
2013.11.20
ブログ
エドガー・シャインという人がいる。
アメリカの学者である。
専門領域は、組織の変革や
人のキャリア開発である。
シャインの本に出会ったのは
もう２０年も前だろうか？
『プロセス・コンサルテーション』
という本であった。
これが衝撃的な内容だった。
その後のわたしの考え方や行動に
深い影響を与えた。
内容のコンサルティングではなく
プロセスをコンサルティングする
ことの重要性についてだった。
わたしが、ファシリテーションという
ものに深くかかわる発端となった。
ファシリテーションとは
ものごとの進め方
とくに組織という集団に
外部者として関わる際の
関わり方をいう。
さて今回そのシャインの
『HELPING』
（『人を助けるとはどういうことか』）
という本を読んだ。
ページを追うごとに
引き込まれていった。
なかなか含蓄に富んだ本である。
しかし、これを経営者が
読んだらとてもよいだろう。
といってもむずかしいかも。
でも、読んでほしい本だ。
これは質問を主体とした
人との関わり方と
リーダーシップのあり方
リーダーの自省の本である。
コンサルタントにせよ、
夫婦関係にせよ、
上下関係にせよ、
あらゆる人間関係で
相談や援助、依頼や応対ということがある。
その場合、相談・依頼された方には
３つの対応姿勢があるという。
・専門家スタイル
・医者スタイル
・プロセス・コンサルタントスタイルである。
専門家スタイルとは、
いきなり自分の得意の
解決法に持ち込む方法である。
医者スタイルとは
診断を下し
処方箋を書くスタイルである。
プロセス・コンサルタントスタイルとは
注意深く、状況などを
いっしょに考えていく
スタイルである。
得てして援助関係では
依頼者が、人間関係において
必然的に、一歩低い立場に
なりがちである。
その瞬間に
さまざまな葛藤が生じて
うまく人間関係が行かない
ということが起こるという。
プロセス・コンサルタントスタイルが
それを解決するスタンスだとする。
そのスタイルでは
質問でかかわりが進み
相談が進行し、解決が図られる。
質問には４つのスタイルがあり
それを状況に応じて
うまく使い分けることが
ポイントである。
その４つとは
・純粋な質問
・問診の質問
・対案の質問
・メタ質問
の４つである。
純粋な質問とは、邪気のない
事実を知るための質問であり
相手にいやな思いをさせない。
問診の質問は、一歩踏み込み
その人の感情や反応
その原因や動機
やってみたこと、やろうとしていること
内容の全容についての関連質問である。
それにより全容を共有し
解決に向けて考えることができる。
対案の質問とは
こちらの考えをぶつけてみる質問で
これはリスクが多い。
だから慎重にすべきである。
最後がメタ質問である。
それは、援助者と依頼者の
関係についての質問である。
関係を構築・改善・強化するのに
よい違う切り口の質問である。
要は、よき関係を築き、
有効な援助をする、
つまりアイデアを見つける
（助言であろうと、相手が自分で
発見するのであろうと）、
解決策を決定する、
あるいはすっきりするためには
こうしたコーチング的
関わり方が大切だということだ。
なぜなら、
依頼者が卑下せずに
援助者と対等な信頼関係で
相談にあたるということが
有効な解決のための
適切な人間関係だから、
こうした関係性を築くということは
すべての人間関係で
とても大切だというわけだ。
だから
リーダーにはとりわけ求められる。
しかし、ありがちなことだが
社長は、自分はよくできていて
相談に来た相手
（社員であろうと、仕入先であろうと
友人であろうと、家族であろうと）は、
問題を抱える欠陥のある人ということになる。
たとえば、
部下の幹部社員とその部下の関係性で
うまくいかないとかの問題がある場合などだ。
社長は、自分の存在が
組織の雰囲気や社員間の関係性などに
どのような影響を与えているかは
まったく思いをいたらせず
第三者的に批評する。
ところが、相手や第三者からすると、
「あんたがいちばん問題やねんけど」
となることが多い。
「？？？？？？」という感じだ。
シャインはいう。
「支援とはありふれているが、複雑なプロセスだ。
それは態度であり、行動であり、スキルであり、
社会生活に不可欠な要素でもある。
また、われわれがチームワークとして
考えているものの核であり、
組織の有効性を欠かせない要素でもある。
そして、リーダーが行なうべき
最も重要なものの一つであり、
変革のプロセスの今回でもあるのだ。」と。
これがこの本のすべてを語っている。
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御堂筋税理士法人＆
経営エンジン研究所
大阪 税理士 小笠原 でした。
