御堂筋税理士法人創業者ブログ

わたしの日常の仕事で多いのは
お客様の会議に参加することである。

わたしも齢六十を超えて
老境に入りつつあるが
参加する会議で
ベテランの経営者のいる会議に
参加することがよくある。

いろいろな問題もあるが、
総じて円熟味を増した人柄と態度で
会議はよくなりつつあるといえる。

いろいろな経営思想家の
書物をひもといて
参考になる経営者のあり方を参考に
わたしなりに、
名伯楽(すぐれた資質を持った人を見抜く力のある人物)
の会議に臨む術を考えてみた。
しばしお付き合いを。

会議では人間同士が話し合う。
広く言うとこれを会話(conversation)という。
会話は対話(dialogue)と議論(disccusion)に分かれる。
その達人になれればよい。

対話の手順はこうである。
傾聴・観察→尊重→保留・熟考→質問・フィードバック・承認
これをサイクリックにしていく。

議論は言葉を変えると
意思決定あるいは問題解決という。
その手順はこうである。
問題定義→代替案案出→決定→実行管理

では、対話に必要なスキルについてである。

まずは、傾聴・観察のしかたである。
傾聴のポイントは、コーチングとNLPから学んだ。
超要約すると私的には次の3点がポイントである。
①自分の気分の管理
 安定にこころがけ、笑顔を基本ベースに
 今舞台の上にいるという役者意識を常にもつことだ。
②話を聴く基本態度は
 相手に好意をもち、話の内容を素直に聴く
 そして話し終わるまで、話を遮らないということだ。
③うなずき、ペースを合わせる。
 よく聴いているちうメッセージを
 相手に伝えること。
 そのためには、あいづち、うなづきが大事である。
 またペーシングといって
 相手のペースに合わせること
 まあ基本はゆったりとした感じを保つことだ。

観察も広い意味では傾聴のひとつである。
これも負けず劣らず重要だ。
経営者が会議でもっとも
しなければならないことが観察である。

なぜなら、様子を見るということが
診断したり、養育をする最初だからである。
観察はファシリテーションやNLPで学んだ。

まず、場の雰囲気の観察をしてほしい
つぎに、各メンバーの様子の観察をしてほしい
そして、場の進行状況の観察をしてほしい
ポイントは、大きく全体的で、流れをつかむということだ。
映画や劇を一歩ひいてみる感じだ。
これができたら、
経営者の会議参加術はOKともいえる。

次に、尊重から保留・熟考のしかたである。
要は、脳みそから批判的態度を
取り除くことである。
人は誰でも、その人なりに
まじめに考えているという
基本信念をもつことだ。
ただ見ている世界がちがうわけだ。

そして、同時に
自分の価値観を点検する。
これは思考のくせとして
身につけるとよい。

最後に何らかの発言となる。
質問・フィードバック・承認などだ。

まず、さらなる対話のための
質問ということがある。
質問は対話の基本をなすものだろう。
古典的(ギリシャの)弁証術の中核でもある。

質問がうまくできれば
人の育成や営業はできるようになる。
特に会議では、問題を考えさせて
自己解決に導き
メンバーを育てることにつながる。

質問でよく使うのは
・掘り下げ
・横展開
・要約させる
などである。

実際に理解しているかは
・説明させる
・実演させる
ことで確認する。

注意しなければならないのは
質問に名を借りた
意見の押しつけや脅迫をしないことだ。
そのため、「なぜ」という
ことばにはとても注意深くする。

次にフィードバックだ。
フィードバックは強烈なツールである。
それだけに慎重に行なう。
だが顧客からのフィードバックで
一発で会社の体質にメスが入ったり
社員が一瞬にして改心するのをみると
フィードバックの力は偉大だと
つくづく思う。

フィードバックをするときの
コツはエドガー・シャインから学んだ。
・会話のマナーを守る(親しき仲にも礼儀ありだ)
・相手の了解を得る
 「ちょっと、いいかな?」
・具体・特定ケースで
 「昨日、お客さんのところに同行したときの
 君の話し方の中で・・・」
・叙述的に話す。
 事実を話し、相手がそれに対して
 自分の意見などを自由に言えるようにする。

3つ目が承認だ
承認には、期待、行為の承認、存在(無条件)承認などがある。
もちろん、至高の承認は存在承認だ。
「君がいてるだけでよい」だ。

次に、議論に必要なスキルについてである。

まず意思決定についてである。
これは、ドラッカーが教えてくれる。
ポイントは
・意見からスタートするということだ。
 結論、ゴール、決定について意見をもつということだ。
・反対意見を助長する(めちゃ重要!)
 これがほとんどできないのではないか?
 特に日本人は。
 なぜなら面子ということにこだわるからだ。
 とくに負けず嫌いの社長は知らずしらずそうなる。
 なぜ反対意見が大事なのか?
 それはイエスマンにさせないためだ。
 それは意思決定の質を上げるからだ。
 ヘーゲルやマルクスの弁証法だ。
 テーゼ→アンチテーゼ→止揚だ。
 反対意見が、その意見を磨くのだ。
・実行に必要なことを組み込む。
 いつするねん、だれがするねん、
 いつチェックするねん・・・

次に資料とその見方だ。
会議に必要な資料は
数字と言葉で表した
何をしたか、どうなったかの資料だ。
数字は『経営のコックピット』で
言葉は『目標管理シート』で行なう。

目標管理シートでは
何をしたか、その結果どんな成果と
気づきがあったか。
次に何をしようとしているのかが
聴きどころだ。
そして、真剣に思考しているかを
判定しなければならない。

コックピットでは
販売プロセスや仕事の流れを
活動と成果の関係から整理して
よくできたかどうかを
チェックする指標を決め、
それを時系列で眺める。

コックピットの内容を
さらに検討する個別資料のだいじだ。
その見せ方だが
・目標や前年との比較
・月別推移と決算予測
・顧客別・製品別・担当別などの細分化
・活動量と決定率
の4つを大切にしている。

活動と成果の関係だ。
その中から
機会、意外なこと
ネック、異常点を見つけ出す。

それを見る目、考え方を論理思考という。
参加者が論理的にものを考えているかを
観察するのが経営者のしごとだ。

そのためにはまず説明させてみるのがよい。
目的・定義・意図→手順の概略
→実行したこと→結果(うまくいったこと・いかなかったこと)
→評価・気づき・反省→これから取り組むべきこと
てな感じで理路整然と話させる。

そして
全体像、目的と手段の関係
プロセス、活動と成果の関係といった
大きな、広い視点をもたせる。

もうひとつは採算意識だ。
利益=売上高×粗利益率-固定費
の算式を覚えさせ、
財務資料を見て、
シミュレーションできるようになればよい。

さらにアドバンスト編は
アイデア出しである。
まず、情報収集しているかどうかである。
現場を見る、顧客に聴くである。
つぎにそれを発散し、収束させる
技法を使えるかどうかである。
そのために、ブレーンストーミングや
KJ法といったわざを使えるようにする。
経営者が注意しなければならないことはただ一つ
心ない言葉を発しないことである。
「それええな」「おもろいな」でよいのである。

そして会議の終わりにあたって
次の3つのことを自問自答する。
・意味ある決定はあったか?
・新たな視点は持てたか?
・メンバーの成長度合いは?

最後に、気づいたことがあれば
関係者にメモを発信すればよい。
ドラッカーが描いた
GMの名物会長、アルフレッド・スローンJr
は常にそうしていたそうである。

さて、長くなった。
では経営者の会議に臨む態度のポイントはなにか?
・めざすムードは、
 活性化=「明るく元気で真剣に」を築くことだ。
・そのためにはまず、
 自分の態度が会議の風土を決めているという、
 原因と結果の法則を知ることだ。
 自分と雰囲気を分離しない。
 あなたの態度が雰囲気を決めているのだ。
・経営者の貢献とは何かを自覚する。
 メンターになることだ
 (「良き指導者」「優れた助言者」「恩師」の意。
  自分自身の仕事
やキャリアの手本となり、
  助言・指導をしてくれる人材)

 それは、
 ①成果への貢献
 ②価値観の浸透
 ③人材の育成
 を通じて行なう。
・会議に出る目的は
 経営者を育てることだ。
 そのために課題の自己解決支援・メンバーの評価を行なうのである。

だがやはりドラッカーの名言に尽きるだろう。
経営者は、 『聞け、話すな』 である。

いかがだろうか?
周りで、頭の堅そうな経営者がいれば
このブログをプリントアウトして
読んでいただいたらいかが?(笑)

コンサルティングに強い
御堂筋税理士法人&
経営エンジン研究所
大阪 税理士 小笠原 でした。


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