御堂筋税理士法人創業者ブログ

「Kさん、このコックピットから

あなたはわが社の業績について

どのような見解をもったか

教えてくれへんか?」

なかなかむずかしい質問だと思う。

コックピットというのは、

会社の業績と主な経営評価の指標

を一覧表にしたものだ。

この会社は卸売業で

コックピットは(3枚中の1枚目)

・実績+予測P/L(カーナビ)

・計画と前年実績のP/L

・売上年計推移

・売上先行指標

→向こう3ヶ月の受注残

  +未受注の情報残

・既存顧客の売上動向

→前年比+20%超過の件数

→前年比-20%未満の件数

・新規開発の状況

→前々年、前年、当年開発先の

   売上高と全売上に対する割合

・重点商品の販売動向

・在庫の状況

・売掛金の回収の状況

・生産性

という構成で作られている。

(これらの詳細資料は

資料の後ろについている)

最近、ようやくこの会議での

コックピットを使った数字の確認に

本腰が入り始めたといえる。

そうなると、

必然的に情報の質が

真剣に議論されるようになった。

とてもいいことであると思っている。

なぜなら情報が信頼すべきものだ

との確信がなければ、

そもそもまともに議論しようという

気持ちにはなれないからだ。

残念ながら、

わたしが携わっている企業で

そのような現象がまだみられる。

まともな数字が

出るようになるまでには

多少時間がかかる。

それは、そもそも参加者が

数字が大事だという意識が

めばえてくる必要があり、

そして、正しい数字をとらえようという

真剣な取り組みを

必要とするからだ。

この会社でも

例えば、売上の予測は

まだ入れられていない。

代わりに計画値が入れられている。

だから決算予測は出ていない。

なので業績の評価は限定的だ。

過去の数字に限られる。

これではバックミラーを見ながらの

運転を強いられる。

なぜ予測を入れていないかというと

各営業担当者が

きちんと予測を入れていないからだ。

また、入れていても

予測している数字の尺度が

バラバラだからだ。

今、幹部の皆さんは

トップからの指示を受けて

大急ぎでその啓蒙と徹底に

務めいる最中なのである。

しかしようやくきざしは見えてきたと思う。

なぜなら先行指標の数字が

体をなしてきたように思うからだ。

この会社、ここ2、3ヶ月

業績はほぼ計画どおりとなっている。

その理由は、

既存重点顧客の販売計画が

ほぼ目標どおりであることが一つ

新規顧客の開発売上も

ほぼ目標どおりであることがその次

過去3年以内の開発先の

販売シェアが21.2%と

計画どおりなのである。

問題はなにか?

こういう場合、売掛金の回収に出てくる。

債権管理の現場でのありようを

しっかりと検証し

モラルハザードや手抜きが

なされているところに

確たる手を打つことだ。

実際、そういうふうに

議論は進んだ。

さて冒頭のKさんの答えは

「大規模な顧客の開発が

進んでいないこと

 まあ、それは来月1件あがりますが…

それと、〇〇商品の販売が

はかばかしくないことですねえ」

ということだった。

彼は、自分の責任のある数字に

眼が行っていることがわかる。

もちろんそれはそれで大事だが

全社的な見方を語ってほしかった。

(もちろんそれはフィードバックしたが)

ほかの幹部にも訊いてみたが

おおむね的確な見方を

してくれていることがわかった。

この資料で

もっとも着目したい数字は

実は、売上年計推移なのである。

それが順調に伸びて

年度末までに

当初計画の年間売上に到達すれば

OKなのである。

売上年計推移のトレンドを確認して

その異常原因の割り出しと

対策を決定することが

第一の論議内容となるだろう。

幹部の皆さんの

資料を読む力を確認して

わたしも資料の見方を

しっかりと解説して

いかなければならないと思った。

それは

売上年計推移→既存・新規分析

→営業活動のあり方

という思考のフレームワークである。

さて、次回は

経営のコックピットで

まともな数字を情報として出す

ために何をしていかなければ

ならないかを考えてみたい。

― 御堂筋コンサルティンググループ ―

会計事務所の可能性を追求する

御堂筋税理士法人&組織デザイン研究所

税理士コンサルタント 小笠原 でした。


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