御堂筋税理士法人創業者ブログ

大阪のコンサルティング税理士 小笠原です。

少しまえ、著名なアメリカの経営著述家が、
リーダーシップの本では、『サーバント・リーダーシップ』が嚆矢であると
ある本の中で書いておられました。

それで、サーバント・リーダーシップについての本を求めました。
ロバート・グリンリーフの原書は翻訳され出版されていますが、
神戸大学の金井教授と資生堂の前社長、池田守男さん共著の
サーバント・リーダーシップ入門』もわかりやすい本です。

サーバント・リーダーシップとは、
使命感を持ちながら、相手に奉仕する精神でリーダーシップを発揮する
スタイルのことをいいます。

さて、その本のあとがきで、
池田さんが書かれていることが印象に残ったので少しご紹介しましょう。

「生命(いのち)とは、人間それぞれに与えられた時間です。その時間を
どう使うかは、人それぞれです。自分のために使うだけでなく、お父さん、
お母さんのために使うのもすばらしいことだと思います。ましてや、お友
だちや近隣の人、広く社会のために使うのであれば、もっとすばらしい。
みなさんも与えられた時間をどう使うか、一人ひとりが考えて、できれば
自分以外の多くの人のために使ってください。」
 これは、私が理事長兼院長を務めている東洋英和女学院の小学部の
子どもたちに、 「いのちの授業」と題して日野原重明先生がしてくださった
話である。1年生から6年生までの子どもたち全員が、真剣に聴き入って
いた。私も話をうかがっていて深い感銘を覚えた。
日野原先生の、子どもたちを瞬時に惹きつける話のたくみさもさること
ながら、「いのちの授業」には、生命の尊さを思う気持ちと、父親、母親を
はじめとする自分の周りの人々への感謝の気持ちが溢れていた。子ども
たちの心に強く響いたことだろう。
 私は、つねづね、人は世の中や自然から「与えられ」「生かされている」
と考えている。だから、われわれが生きるということは、日野原先生が
言われるように、すべてのものにお返しをすることだと思う。自分ができる
ことで返せばよいのである。
「各々の賜物をもって、お互いに仕え合う」
これは聖書の言葉だが、人間本来の姿であると思うし、サーバント・リー
ダーシップの根底にある精神でもある。
 最近、私は人前で話す機会が与えられると、「隣人愛」について話を
する。病む者、苦しむ者に対し、愛の手を差し延べる。知人のみならず、
まだ出会ったことのない人にも愛情を注ぐ。これは実際難しいことである。
しかし、まず自分ができることで周りの人を支える。周りの人に思いやり
の気持ちを注ぐ。それが広がっていくと郷土愛、そして祖国を愛する心に
なり、さらには地球を愛する心につながる。このような話をさせていただく
のは、今日の世相をみると、隣人愛の精神が失われつつあるように
思われてならないからだ。
 周りに気を配り、思いやることは、お互いの立場を察し合う想像力と、
相手にわかりやすく伝える表現力がなければできない。地域コミュニティ
における関係性が希薄になっているのは、人々のなかでそうした力が
弱まっているからではないか。大人たちの姿を子どもたちは見ているのだ。
私たち大人こそ、襟を正さなければならない。
 2007年5月、東洋英和女学院の院長就任式で、私は「サーバントと
して、子どもたちを支える」という話をした。列席いただいた保護者の
みなさんや学校関係者にも、「ビジョンを持って子どもたちを支えてほしい」
と訴えた。
 「サーバントとして子どもたちを支える」ということは、子どもにおもねっ
たり、子どものいうことを何でも聞くということではない。成長への期待と
愛情を基盤にして、善いことは善い、悪いことは悪いときちんと教えること、
そして子どもたちに、「こうなってほしい」というビジョンをもって、他者を
思いやれる想像力を持ち、個と公のバランスのとれた人間に育つよう、
後押しすることである。
 子どもたちにしてみれば、理念とビジョンを持った親、先生方に支え
られえいると感じることが、大きな安心に結びつき、成長への原動力に
なるのではないだろうか。
 昔の親は、子どもたちに「お天道様がみてるよ」「世間様に申し訳ない」
と言って、目に見えない大きな存在を教えたものだ。残念ながら、最近
ではこういうことばを聞くことが少なくなった。親のこういう言葉から、子ども
たちは公を重んじる心とともに、目に見えないものに対する畏敬の念を
教わっていたのである。今思えば、昔の親は、ごく自然にサーバント・
リーダーの役割を果たしていたように思う。こうした良き伝統を今一度
思い起こし、親や教師がサーバント・リーダーとして子どものしつけや教育
にかかわることがますます求められていると思う。
 こうした精神が必要なのは、子どものしつけや教育の問題だけではない。
企業も同じだ。「お天道様が見ているよ」「世間様に申し訳ない」という
気持ちが社員一人ひとりにあれば、不祥事は起こりえない。にもかかわらず
企業不祥事が後を絶たないのは、企業の、そして企業人のどこかに、
公の精神が欠落しているからではないか。
 企業にとって、「顧客重視」「お客様第一」を標榜するのは、当然のこと
である。しかし果たして本当に顧客に対し、家族や隣人と同じように考え、
思いやりの気持ちをもって接しているだろうか。私自身を含め、そのことを
もう一度みずから、問い直すことから出発しなければならないと思う。
 公の精神、隣人愛の精神を思い起こし、サーバントとして仕え合い、
支え合うことで、21世紀という新しい時代を切り開いていきたい―これが
本書を書き終えて、あらためて強く感じていることである。
 サーバント・リーダーシップを実践していくのは、何も難しいことではない。
家族や隣人を愛するのと同じ気持ちで、一緒に働いている人たちのことを
考え、その役に立つように行動すればよいのである。リーダーシップの
ありかたい悩んでいる人にこそ、ぜひ取り組んでいただければと思う。
(以下略)

『サーバント・リーダーシップ』、もっと考えてみたいテーマです。

コンサルティングに強い税理士小笠原/河原事務所 大阪 小笠原でした。


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