ドラッカー経営を中小企業で実践する 第46回小笠原の実践ドラッカー経営 - MIPQのM(マーケティング)
2026.07.06
お客様の支援
要約
1 マーケティングは、企業の目的『顧客の創造』の2つの活動の一つであり、それは「販売を不要にする」
2 マーケティングには、狭義のマーケティングとブランディングが含まれる
3 マーケティングは、ねらいの顧客の問題解決でいちばんに選ばれるための活動である
4 ブランディングは、自社、製品・サービスの魅力を伝え、指名買いしてもらうための活動であり、それは会社内、リクルートでもなされなければならない
5 マーケティング・ブランディングでは、何より責任者を定め、毎月、会議を開催して前に進めることが大事である
1 マーケティングの意義と基本姿勢
マーケティングの意義は『販売を不要にする』ことだとドラッカーは述べている。マーケティングの重要性は改めて強調するまでもなく、それは企業の目的である顧客創造の主たる活動である。
マーケティングの本質は、仏教的にいえば『自利とは利他をいう』の精神であり、西洋的にいえば人間関係のプラチナ・ルール「相手のしてほしいようにしてあげることである」の体現である。
マーケティングの大家はP・コトラーだが、彼は活動を2つのフェーズに分け、第一のフェーズをSTP、第二のフェーズを4P・4Cと整理しました。STPはねらいの顧客を定めその市場でリーダー的な存在になる方策を立てることであり、4P・4Cは製品・サービスライン、価格決定、販売チャネル整備、販売促進実行の4つを立案し実行するものである。
中小企業では、何よりマーケティングの重要性を肝に銘じ、何たるかを学び、責任者を任命し(致命的に重要)、やることを決め、毎月全員でふりかえりをして、高速でPDCAを回し、成功の道すじを探り続けることが大事である。これをコトラーは、『マーケティング・マネジメント』と言っている。
2 あなたの会社のマーケティング実践度チェックリスト(5点以上OK)
① 企業の目的は顧客の創造であり、そのためにマーケティングが最重要だと腑に落としているか
② マーケティングとはどのようなことをすることか、知っているか、学んだか
③ マーケティングの責任者がいるか(100人規模の会社であれば営業企画部門がなければならない)
④ どのような顧客の、どのような問題を解決し、いちばんに選ばれる存在になるか、明確に言葉になっているか
⑤ 製品・サービスのライン、価格政策、販売チャネル、販売促進の方法、営業方針の指針があるか
⑥ BtoB企業の場合、顧客を観察し、話を傾聴し、理解に努め、長期の関係性を深める努力をしているか
⑦ BtoC企業の場合、生活者と製品・サービスの使われ方を観察し、マスメディアとデジタル(SNS等)の統合、購買の一瞬の勝負と継続的な商品へのエンゲージメント追求
⑧ マーケティングに必要な顧客や販売の情報がデータベース化されいつでも必要な情報を取り出せるか
⑨ 全部門参加のマーケティングの会議があり、高速のPDCAを回しているか
⑩ デジタル、SNSを融合させた取組みをしているか
3 ブランディングの意義と基本姿勢
ブランディングとは、企業や商品・サービスの独自の「価値」や「イメージ」を顧客に伝え、他社と差別化して、「指名買い」される状態を作り出す長期的な活動である。
ロゴやデザインの統一だけでなく、理念、顧客体験、ストーリーを浸透させ、信頼やブランドファン(ロイヤルユーザー)を獲得することをめざすものである。
そして、顧客に自社の独自の「ブランド価値」を認識させ、感情移入を促し、そこから価格競争から脱却し、安定的な売上・利益率向上に繋げていく。
ブランディングは、もちろん顧客などに、自社と製品・サービスの魅力を伝え、ファンを増やすもさることながら、インナー・ブランディングと言って、社内へメッセージを浸透させ、社員のモチベーションや忠誠心を高めること、そして、リクルート・ブランディングにより、企業の理念や魅力を伝え、ねらいの人材を引き寄せる活動もとても重要である。
そのねらいと効果としては、① 価格や機能以外の「ブランドの力」で選ばれる(指名買い)こと、② 顧客との長期的な関係構築を築き、ロイヤカスタマー化すること、③ マーケティングの効果の最大化、広告費の削減、④ 競合との明確な差別化がある。
そういう意味で、マーケティングとブランディングは車の両輪である。
4 あなたの会社のブランディング実行度チェックリスト(5点以上OK)
① 会社の差別化、ファン化、指名買い、高業績化にブランディングが超重要だと腑に落としているか
② ブランディングとはどのようなことをするのか、知っているか、学んだか
③ ブランディングの責任者がいるか
④ 外部のデザイナーなどセンスにあった専門家とつながりを持っているか
⑤ ネーミング、コピー、ロゴ、提供物デザイン、カラー、フォント、キャラクターと一貫性など決めているか
⑥ 顧客エクスペリエンス(購買体験)で、体験>期待となる設計を考え、フェイルポイントの撲滅をめざしているか
⑦ HP、販促物、取説、SNS、プレスリリース、展示会で語り続ける活動を続けているか
⑧ 顧客事例、創業・沿革・理念、ものがたりテリングをSNS、マスメディア、HPなどで発信し続けているか
⑨ 全部門参加のマーケティングの会議があり、高速のPDCAを回しているか
⑩ 品質の改善と人材の訓練が最重要であり、不断の品質改善と人材育成に組織的に取り組んでいるか
まとめ
かように、マーケティングとブランディングは企業の本質活動であり、そのような意識もない経営者、実践もしていない会社など、登記上は存在するとしても、世の中においては存在しないも同然である。なにも難しいことを要求するのではない、ただ愚直に取り組めばよい。「天網恢恢疎にして漏らさず」である。
以上