「先生、わしがおらん方がいいでしょ」〜幹部に考えてもらうわが社の成長戦略
2014.08.06
経営幹部の育成
S社は数字に強いS社長が
率いる高業績企業である。
S社長に乞われて
若手幹部を束ねて
経営戦略を作る
取組みをしている。
昨日はその指導会だった。
消費税が再増税され
新築着工戸数も
かなり減少すると
いわれている5年後
S社の経営目標は
売上高を現在の1.7倍にする
というものだ。
並大抵の浅智恵では
戦略アイデアが浮かばない。
当のS社長すら
わからないというくらいだ。
だからこそ
私にはおもしろいし楽しい。
メンバーの方々に
アイデア、計画を出してもらい
社長にびっくりしてもらいたいからだ。
現場で日々
ビジネスに取り組んでいる彼らなら
必ずできる!
それを引き出すのは
私のしごとだ。
前回からの宿題で
5年後、売上高を
1.7倍にするマスタープランを
考えておいてもらった。
今日はそれをレビューし
そこから戦略を具体化するのだ。
しかし、予期されたことだが
有望かつ現実的なアイデアは
でてきていない。
当然といえば当然である。
まず現状の戦略を復習した。
ドメインと競争優位性の確認だ。
次に、
製品/市場マトリクスで
アイデア出しと分類整理を試みた
1.シェアアップ
2.市場開発
3.製品・サービス開発
4.多角化
である。
そしてもうひとつ
私のオリジナルアイデア
それは
わが社の事業領域を
地域・顧客・商品の拡がりと
商品と顧客のライフサイクル
という時間軸の中で
位置づける試みだ。
実際、そうした
事業の可能性の平面上で
わが社の事業領域を
位置づけると
あまりに微小なものだ。
そこでいえることは
打つ手は無限ということだ。
そして既存事業における
今後の事業環境での
需要のシミュレーションを
データと意思に基づき
数値化していった。
需要と計画の試算の基になる
すべての数字は
信頼すべきデータと論理から
導き出さねばならない。
それでこそ
数字に超明るい
S社長になるほど!と
いっていただけるからだ。
そのためには
私自身がS社長の
シビアさですべてを
吟味し指導して
いかなければならない。
「それでは社長を説得できないぞ!」
とげきを飛ばす。
「すべては方程式で
数字を説明せよ!」
しかしメンバーの皆さんは
疲れも見せず
取り組んでくれる。
すなおで、熱心な生徒さん方だ。
「わけのわからない数字をはじき出す
これをフェルミ推定というんんだ。
ビジネス思考に必要な
4つの思考法のひとつです。」
皆さん、乾いた土地が
水を吸い取るように
興味を示し吸収してくださる。
既存ビジネスと
その延長線上のビジネスで
なんとか数字を見える化した。
だがまだ足りない数字が残る。
これを新規事業で
補わなければならない。
その成果目標は10億だ。
だがそのための作戦が
10億きっちりだとすれば
それはゴルフでいえば
100そこそこのプレーヤーが
パーであがる算段をしているのと同じだ。
少なくとも
その3倍くらいのアイデアは必要だ。
夕方になって
今日の取組みは終わりの時刻になった。
リーダーの専務が
このあとみんなで居残りで
まとめてしまおうといった。
いいことだ。
後を託して会社を辞去した。
数時間して彼からまとめが
メールされてきた。
相変わらずすばやい。
それを見た。
「うーむ、まだまだ」だ。
翌朝、データの
エクセルのフォーマットに
相当手を入れて
彼にコメントを入れてバックした。
やっていただきたいことを
いくつかサジェスチョンして
それに対して
返ってくるのが楽しみだ。
こうしたキャッチボールをしながら
彼らが、S社のビジネスと未来を
自分たちの問題として
本当にとらえてもらい
自分たち以外に
わが社の未来を
考え構築する人間はいないと
腹をくくってもらえれば
最高である。
それが私にご依頼いただいた
S社長への恩返し
私のタスクと責任である。
会計事務所の可能性を追求する
御堂筋税理士法人&組織デザイン研究所
大阪 税理士 小笠原 でした。