御堂筋税理士法人創業者ブログ

ゲーテの自伝

『詩と真実』を読書中

なんでも世界の三大自伝と

言われているようだ。

(ちなみに後の二冊は

 聖アウグスチヌスとルソーのものとか…)

 

 

文庫本で全4巻でその第1巻

まだまだ出だしのところだが

あのグレートヒェンという名の

少女との出会いのところに来た。

 

あのというのは

グレートヒェンという名は

つとに有名だからだ。

 

ゲーテの代表作

『ファウスト』の中で

悲劇的な死をむかえ、

また最後にファウストの救済をなす

悲劇のヒロインの名である。

 

ゲーテとグレートヒェンとの

出会いのエピソード、

みずみずしい筆致で描かれた

その情景は

平易な訳の力も与かって

忘れていた切ない青春の甘美さを

私の胸によみがえらせた。

 

話の筋は次のよう

 

ゲーテは悪友にそそのかされて

その友人の恋を

相手からの手紙をでっちあげて

からかうという

ありがちな悪戯に一役買わされる。

なぜならゲーテは

たぐいまれな文才があったからである。

 

彼は、悪友の家で

偶然に出会った美しき少女

グレートヒェンに一目で魅せられ

徹頭徹尾、彼女を念頭において

女性からの手紙をしたためた。

 

さて次の文章は

それを

悪友と彼女のいるところで読み上げて

そのあと

彼女と二人きりになったときに

たしなめられた直後の場面の描写である。

 

「彼女は詩で書いた手紙の原稿を

 手もとにひきよせて、

 小声で、いかにも愛らしく

 また好ましく読んだ。

 

 『ほんとうによく書けていますわ』

 と彼女は、真情のあふれた

 山のようなところにくると、

 読むのをやめていった。

 

 『だけど、これがもっといい、

 本当のことに使われないのは残念なことね』

 『もちろんぼくだって

 そうあってほしいと思います。』

 と私は叫んだ。

 

 『このうえもなく愛している女の人から、

 こういう愛の保証をもらえる人は

 どんなに仕合せなことでしょう』

 『もちろん、そうなるのは大変なことね』

 と彼女は答えた。

 

 『だけど、いろんなことが起こるものですわ』

 『たとえば』と私はつづけた。

 

 『あなたを知っていて、

 あたなを大切に思い、尊敬し、

 崇拝している人が、

 あなたにこういう手紙を送って、

 ほんとうに心から、やさしく、真心をこめて

 あなたにお願いしたら、

 あなたはどうなさいますか』

 

 彼女がまた私に押しもどすようにしていた手紙を、

 私は彼女のほうに押しやった。

 彼女はほほえみ、ちょっと考えてから、

 ペンをとって署名した。

 

 私はうれしさのあまり

 われを忘れて、おどりあがり、

 彼女に抱こうとした。

 『キスはだめよ。キスなんて月並みだわ。

 だけど、もしできたら愛し合いましょうね。』

 

 私は手紙をとりかえしてポケットにしまった。

 『もう誰にも渡しはしないぞ』と私はいった。」

  (山崎章甫訳 岩波文庫)

 

過不足ない情景と気持ちの描写に

ただただ私は息をのんだ。

魂がゆすぶられ

甘美な気持ちに満たされ、

そして、もう一度読み返した。

 

会計事務所と

経営コンサルティングの融合

 

御堂筋税理士法人&

組織デザイン研究所

 

小笠原 でした。


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