(..) 大好きだったお蕎麦屋さんが閉店してしまった…
2019.06.04
雑談
『起進堂』が閉店してしまった…
もう、あの、えもいえない
色気を湛えた、魅力のあるおそばが
食べられない。
茫然自失・・・
なんのために、
函館くんだりまで来たのだろう・・・
起進堂は、
函館は湯の川の近くにある
おそば屋さんである。
（なつかしい、起進堂、
11時半開店だが、
10分前には並んだものだ）
ほとんど奥に隠れて
姿をお見せにならないご主人と
おもてまわりを取りしきる
いつも明るい奥様
お二人でしておられた
おそば屋さんである。
私たち夫婦が、
函館に来るようになって10年ほど
毎回、おじゃましてきた
愛してやまない名店だった。
その更科そばは
あくまでも白く透明感をもち
とっても甘さを感じる味わい、
食感、のど越しともに抜群であった。
（私が大好きな更科そば）
また、それを引き立てるそばつゆは、
これも甘さを湛え、
こよなく、おそばとのハーモニーを
醸しだしていた。
その感覚は、
いつでも、正確に
あたまと舌に
再現することができるほどだ。
永遠の、
知的で、かわいい
美少女でいらっしゃる、
少し舌ったらずな函館ことばも
好ましい奥様に
お会いできるのも、
実は、ひそかな私の愉しみであった。
味の創造というものは
すぐれて、個人の力によるものだから
いずれ、廃業される日がくるのも
しかたがないと
覚悟はしているものの
いざそうなると、この上なく寂しい…
数年前にも、一度
休業されていたころがあって
再開されたときには
無上の喜びを感じたものだが
今回は、そうはいくまいと
直観的に感じた。
行きつけのすし屋の大将にも
「あそこの親父はね、
一度、言ったらダメ
もうやならいね」
とダメを押された。
すこし、話は逸れるが
今回は、それ以外にも、
ラーメン屋さんの
『えびす軒』の代が代った。
1929年創業、
ミシュラン・プレートの名店である。
私はラーメンには
ほとんど執着はないが
たまに酔いの〆におじゃましていた。
ご高齢だが
ハンサムなご主人と
これも知性を感じさせる奥様
上品なご夫婦が営まれていた。
（函館で私が行くお店は
ふしぎと美男美女で
知性感あふれるご主人が多い
函館そのものがそうなのだろうか）
今回、久しぶりにいただこうと
タクシーでお店の前に乗りつけた。
中で調理する人は、若い人で
風貌から見て
どうも、ご子息のようでもない。
家内が、入店をためらった。
やはり、あのご夫婦でないと…と言う。
ネットで調べると
縁があって引き継いだという。
それはいいことではないか。
その少し前にも、
これもミシュラン掲載店であった
近くの『星龍軒』が閉店した。
「万物は流転する」（ヘラクレイトス）
…世の定である。
さて、話は戻ってと、
函館の『起進堂』
大阪の『蔵』
神田の『砂場』
私が好きな
三軒のそば屋さんである。
（実は、もう一軒
『家族亭』の生一本おろしそばがあるが）
中でも、『蔵』と『起進堂』が
双璧であった。
『蔵』さんはまだまだ大丈夫だろう。
（そういえば、
しばらくおじゃましていないなあ。）
途方に暮れて、
函館では有名な『Ｋ』という
おそば屋さんを再訪したが
心の間隙は埋められなかった。
レストランの『バスク』さん
（函館のみでなく全国的にも
有名なシェフである）
におじゃましたおり、
マダムに
「どこかお奨めの
そば屋さんあれば教えてください。」
とお訊きしたところ、
「小笠原さんだったら、
『蕎麦蔵』がいいのではないですか？
わたしの名前を出してもらっても
いいですよ。」
とおっしゃってくださった。
自信のこもったお声で
励まされた気がした。
ぜひ、次の折、
おじゃまさせていただきたい。
惜しくも、姿を消すお店があるなら、
それに代わる
新しいお店を見つけなければ。
今回も、いくつか
そんなお店に巡りあった気がする。
経営コンサルティングと
会計事務所の融合
組織デザイン研究所＆
御堂筋税理士法人
小笠原 でした。
