御堂筋税理士法人創業者ブログ

あるお客様でのできごとだ。

社長が

毎週行われている営業会議に

出席してみておどろいたという。

議論が具体化されていない、

何も具体的なことが決まっていない

というのだ。

なんとかしたいとおっしゃる。

そこで皆さんに

お集まりいただき

会議を見直すことにした。

私が使っている

会議の設計用紙を

プロジェクターに映してと、

さー、スタート!

はじめに、皆さんに尋ねた。

「この会議の目的は何ですか?」

「…」「…」

「今月の目標売上を達成することですかね…」

「なるほど」

次に尋ねた。

「目的を実現するために

どのような検討をしているのですか?」

すると、皆さんがもっている

会議のバックデータやら

個人が作っている対策表を持ってこられた。

なるほど、しっかりした資料を

作っておられるなと思った。

まず、基本となる

担当者別の今月、来月、再来月の

売上目標と現在までの

売上高と受注残高が書かれた

管理表がある。

これを見ると、

各自の目標に対する過不足額が

一目でわかる。

議論の基礎となるいい資料である。

Yさんが説明してくれた。

「わたしの場合ですと

今月の目標は1,400万円で、

月初現在の売り上げ予測額は

約1,000万円です。

不足額は400万円になります。

不足額を、

この案件一覧表を見て

その中から受注に結びつける

有力案件をピックアップしたのが

この対策表です。」

「それは明確ですね。

ところでYさん、

実のところ、この案件で

受注できる率は何%くらいですか?」

「80%くらいだと思います。」

「それはすごい!」

こんな感じでお聴きしていき

会議の内容と問題の内容を

教えていってもらった。

「ところで、お客さんが

皆さんに見積りを依頼して

注文を確定させるタイミングって

いつごろなんですかね?」

「それ、どういう意味ですか?」

「つまり、疑問があるのです。

皆さんは、今月の売上を

目標どおり達成しようとして

努力しておられる。

今、努力して今の売上って

あがるのですか?」

「???」

「わが社には主要な商品がふたつあります。

家を建てる構造材の木材と

さまざまな建材ですね。

 売上の割合はどれくらいですか?」

「半半でしょう。」

「了解。構造材をお客さんが

問合せて発注されるのは

どのタイミングですか?」

「それは、上棟の前月か前々月ですね。」

「ということは、今月受注、今月売上

というのはないのですね?」

別のNさんが答えてくれた。

「うーん、ないですね。」

「そうですか?

前月、前々月の割合はどれくらいですか?」

「前月2/3、前々月1/3でしょう。」

「了解、ありがとう」

建材についてもおなじようにお訊きした。

建材の場合はさらに早く

前々月1/2、3ヶ月前1/2とのことである。

「そうすると、今月の売上を

今月追いかけることは

不可能なわけですね。」

「そういうことになりますかね」

「そうすると、今月のはじめには

今月の売上がすべて

受注できていなければならないわけです。」

「そうですね。」

「では前月のはじめには

どれくらいの受注残高があれば

いいのでしょう?」

とお尋ねした。

「・・・?」「・・・?」

ちょっと質問が難しすぎたか。

「その答えはこう考えられませんか?

前月につくれる売上は

 木材の1/3だけですから

 前月初めには、

 翌月必要な売上のうち

 建材のすべて、木材の2/3は

 受注が終っていなければ

 ならないことになりませんか?」

図を書いて説明した。

皆さんそれを眺めていただいて

やがてお判りいただいたようだ。

「そうですね。」

「すると、前月初めの時点で

 売上目標に対して

 66.7%の受注残高

 をもっていなければなりません。」

なぜなら、

木材売上50%×1/3+

建材売上50%=66.7%となる。

どうように計算すると

前々月始めの時点における

必要受注残高は25%になる。

なぜなら

建材売上50%×1/2だから。

となると

各月の受注目標(フロー数字)と

各月始めの受注残目標(ストック数字)は

それぞれ次のようになる。

当月

当月分受注目標   0

月初受注残目標 1,400万円(100%)

前月

来月納入の当月分受注目標 467万円

月初受注残目標   933万円(66.7%)

前々月

再来月納入の当月分受注目標 583万円

月初受注残目標   350万円(25.0%)

3ヶ月前

3ヶ月後納入の

当月分受注目標  350万円

月初充注残目標    0

まずこうした

適切なものさしを設定することが必要だ。

なぜなら人間は

ものさしによって

努力のしどころが変るからだ。

こうして、成果のあがる会議のためには

正しいものさしとなる数字を

設定しなければならない。

だからこの会社の

いまの会議の目的は

決して達成できない目的を

達成しようと追いかけていることになる。

なぜならこの会社の場合

今月の売上の実績は

月初の時点ですでに

勝負あっているからだ。

ではどうするか?

もしどうしても今月の売上を追いかけるなら

(そしてその執念はだいじだが)

お客さんのところにいって

頭をさげて、

前倒しで納材させてもらうか

在庫で買っていただくか

などおねがいしなければならない。

それもむりなら

今月の目標達成はすてなければならない。

そして、行動を切り替えて

追究可能な

来月以降の売上になる

案件の受注に

注力しなければならない。

そして、そのための

行動をフォーカスする資料はある。

要は、もう一段頭を使って、

メカニズムがどうなっているか

明らかにし、

それに見合った合理的な

対策検討と意思決定をし、

毎週その結果を

フィードバックすることだ。

そうすれば必ず成果が出る。

そう思われませんか?

会計事務所の可能性を追求する

御堂筋税理士法人&

組織デザイン研究所

税理士 小笠原 でした。


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