御堂筋税理士法人創業者ブログ

魚のホネがのどに刺さった。

 

先日、嫁はんが留守で

思いきりヒマだったので、

夕刻、会社に電話して、

飲みに付き合うてくれる奴らを

狩りだした。

簡単に云えばパワハラである。

 

さて、そこで

酔っぱらってなにげに

ホッケの塩焼きに箸をつけ

ほうばったのが運の尽きだった。

 

ふだんなら気をつけるのに

うかつにも骨ごと

のどに流し込んだのだ。

 

そして…

不運にもホネがのどにひっかかった。

当然の生理反応として

ガーッとしたり、箸でのどを探ったりしたが

引っかかり感は消えない。

 

あまりの痛さではなかったのと

よっぱらっていたので

そのまま、家に帰って

いつものように爆睡した。

 

朝起きて、ごっくんして

のどの違和感を思い出した。

 

午前中、机に向かって

あれこれ、作業をしながら、

どうしたものかと考えて

あれこれ、何度も、

解決策を試してみた。

 

しかし、どうにも違和感はとれない。

鯛のホネは溶けないので

医者に行かなければだめだと

聞きかじりでインプットされていたが、

果たしてホッケはどうなのか?

 

勝手にそのうち、唾液で消化されるのか?

なんてぼんやり考えた。

 

昼時になったので、

ソーメンと豆ごはんをかき込んだ。

もちろん、のどを通すたびに

違和感は感じた。

しかし、重篤な痛さはないため

あれこれ逡巡した。

 

洗面所に行って、

歯ブラシでのどをこすってもみた。

すると血がでてきた。

のどの粘膜は繊細なものだと知った。

 

まっええかと

本でも読もうと、ヨコになったとき

ふと、どうすればよいか

インターネットで調べてみようと思い立った。

 

「sakananohone nodonisasaru・・・」

と入力すると、たちどころに

あれこれ記事が目に飛び込んできだ。

 

「魚の骨がのどに刺さった場合の

 6つの直し方」

 

ふむふむ、どれどれ…

そこには、いくつかの自家療法と

耳鼻咽喉科にいったら

カンタンにピンセットで抜いてくれるから

とのお奨めが

書かれてあった。

そして、ときに重篤なこともあるからと

脅しも書いてあった。

 

さあて、こまった。どうしよう・・・

今、午後1時である。

4時にある人と待ち合わせ、

6時半から家内と観劇

多少の時間が今ならある。

 

この時間を逃すと

そのあと来週まで

医者にいく時間はとれない。

 

行きつけの、池澤クリニックさんに電話した。

「はい、受付のトクシゲです。」

いつも電話を取られる女性の声がした。

 

「あのう、魚のホネがささりまして

 見てもらえるでしょうか?」

「はい、来院ください。」

多少ほっとした。

「じゃ2時にまいります。」

 

至急、シャワーを浴びて

よそ行きに着替えて、

ややおっとり刀で

医院の靴棚に靴を放り込んだ。

 

治療に割けられる時間は小一時間

ここは、予約優先だから

間にあうだろうか?

 

やや不安で

少しやきもきしながら待つこと30分

「小笠原さん」

名前を呼ばれた。

ほっとして診療室に入る。

 

若き先生が

あわただしく診察室に入ってこられた。

 

あれこれ質疑があって、

「すでに抜けてる場合が多いんやが」

とか

「普通は、モノ食べられへんけどね」

とかおっしゃる。

 

「ごはんはたべてきたのか?」

「鼻から胃カメラしたことあるか?」

など聞かれ、???

 

「小笠原さん、何時まで時間あるの?」

「3時です」

「3時かあ?きびしいなあ」

 

「それやったら先生、様子見て

また別の日にきましょか?」

と尋ねてみた。

 

「うーん、でもやっぱり気になるなあ」

「よし、麻酔して、のど調べよ」

 

この先生の頼りになるところは

決断、迅速、実務処理力である。

 

さっそく看護婦さんに

寝転がされて、右の鼻の穴に

麻酔薬を注がれた。

 

あのお、私、右の穴の奥

せまいんですけど

と頭で思ったが、言わなかった。

 

約5分、胃カメラの処置室に

連れていかれる。

 

さっそく胃カメラを鼻から入れようと

先生がかかった。

ところが、鼻腔が狭く通らない。

やっぱり、いうといたらよかった

と内心思ったがあとのまつり。

「狭いなあ」

 

すぐに先生が左の鼻孔に

麻酔薬を垂らした。

今度はなんとか奥に入った。

 

いつもながら

身体にファイバーを入れられるのは

なんともいやなものである。

 

あああ、はよ終らんかなあ

胃カメラはしだいにのどの奥に入っていく。

マヒしたのどの一部が

それでも胃カメラの通過を

私に知らせてくれる。

 

そのとき

「ああっ、これホネちゃうかあ?」

先生の叫びが聞こえた。

「ホネやホネ、よし取るでえ、

 鉗子通して」

と看護師さんとの会話が耳に入る。

 

鉗子の先がホネをつまんだと思ったら

ひゅるひゅるひゅる、と

あっというまにファイバーが

鼻から戻ってきた。

 

暗い部屋、まぶしいファイバー光のさきに

なにやら針金のようなものが

シャーペンの先から出た

長すぎる芯のように見えた。

 

「太いですよこれ」

うれしそうに言った

ように思った。

ご自分の決断が正しかったことに

多少喜びを感じられたのであろうか?

 

確かにそうだと思った。

長さ、約2センチ

素人ながら本能的に

これは勝手には抜けへんやろなと感じた。

 

「先生、これどの辺に刺さってました?」

と尋ねると

「だいぶ奥やね、

 食道のちょっと上」

 

私は奇異に感じた。

なぜなら、違和感があったのは

のどのちょっと奥だったからである。

そんなもんなのだろうか?

ふしぎに感じた。

 

それにしても、すっきりした。

ホネが刺さってから、18時間

ずっと引っかかっていた人生から

やっと解放された。

 

私は、マヒしまくりののどと

血交じりの鼻汁が

ひっきりなしに出てくる

不愉快さにもかかわらず

久しぶりに娑婆に出てきた

牢獄衆のように

晴れやか気分だった。

 

先生と看護師さんがたに

感謝のことばが自然に口から出て

4時の約束に向かった。

空と空気と光が

私を祝福してくれた。

 

のどの違和感は

先生がいったように

約1時間で解消した。

 

考えてみれば

ホネがのどに刺さったのは

何十年ぶりかであった。

あのときは

結局どうして抜けたのであろうか?

思い出そうとしても思い出せない。

 

別に思い出したのは

4歳くらいのころ

10円玉を飲み込んで

父が慌てふためいたときのことだ。

 

結局、近くの女医さんの

玉田先生のところに行った。

思い出すだに、ぞっとする想い出だ。

 

何十年も

川であまごやいわなを釣って

相手ののどに針を刺してきたから

その報いかなとも思った。

 

きっと、彼らも

私と同じような思いだったのかも。

ちがうのは私には頼りになる

先生がいて

かれらにはいなかったことだ。

 

そういえば、

医術が発達してなかった昔は

どうだったのだろうか?

私につられた魚のように

その重みを背負っていったのだろうか?

ふとつまらん妄想をした。

 

さて、その夜おそく

観劇のあと

家内と食事をした。

 

言わんでもいいのに

そのことを報告したら、

「それで朝からげーげー、

 がーがーいうてたんか。」

「あんた、前にもそんなことあったな」

 

と期待してなく、恐怖だった記憶力を

期待通りもちだして

わたしを萎えさせた。

 

やっぱり、

言わへんかったらよかった。

 

でも、

それをわかってても言うほど

気分がよかったのだ。

 

もう二度と、

大胆に魚をのどに送らんとこ!

神明にかたく誓った。

 

経営コンサルティングと

会計事務所の融合

 

組織デザイン研究所&

御堂筋税理士法人

 

小笠原 でした。

 

 


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