御堂筋税理士法人創業者ブログ

あるクライアント企業に、M&Aによる企業買収のお話が舞い込んだ。
その会社の社長が、わたしに候補企業の企業概要を送ってきた。
企業の収益力、必要と思われる買収資金を見積もってくれというわけである。

日本のどの業種も似たような状況にあるが
ご他聞にもれず、その業界でも既存事業の市場は縮んでいくことは必定だ。
それを補完して、企業が成長するには
新たな事業分野を開拓していかなければならない。
候補企業は、クライアント企業の隣接業界の企業である。
それは、予てクライアント企業が進出を狙っている業界である。

さて、記載されている内容から察するところ、
多少悩ましい点もあるが、その企業はそれなりの収益力と可能性のある企業だと感じた。
それだけに買収資金も必要であり、
また現在その候補企業が負っている負債も引き継ぐ必要があり、
綿密が検討と、腹をくくった意思決定、さらに不退転の事業運営の覚悟が求められる。
そうは軽々に発言もできない内容だ。

わたしはこのM&A案件についていくつかの可能性とそのための成功条件を見ている。

可能性とは、候補企業のビジネスプロセスでのノウハウと
それに基づく収益力の可能性だ。

成功条件とは、もちろん経営人材である。
不確定な話だが、ひとつは手放そうとしていらっしゃる
創業社長のしばらくの協力体制が不可欠だという点である。
そして、それを引き継いで経営にあたる、見識のある人材が必須だということである。
さらにいうと、その後継となるべき若き人材もつけなければなるまいということである。
なかなか、困難な条件だが可能性を追求しなければならない。

そこで数日前、かねてその社長とわたしとが
ぜひとも招へいしたいと熱望しているとある候補者とお会いした。
生々しい話であるので、夕刻から大阪市内の割烹店で気の置けない雰囲気でお会いした。

よもやま話で、小一時間和んだあと、
話を切り替えさせて、社長に口火を切ってもらった。
社長は、けれん味なく今回の案件の経緯を説明していった。
ここらあたりの淀みなさ、明晰さは、さすがにこの人の理解力、思考力の高さを表す。
横で拝聴していて、わたしもさすがだと思った。

話が経営人材にいたり、
社長がやんわりと話をご当人にお願いしたい旨を切り出しかけた。
そのタイミングを見計らって
わたしは、彼に誠心誠意お願いした。

本事業は、わが社にとって将来を掛けたものであること
したがって絶対に成功させ、未来の事業の基盤としたいこと、
それには、あなたのような絶大な信頼を寄せることができる
力量をお持ちの方に来ていただきたいことだ。

・・・候補者は快諾してくださった。
わたしは、胸と眼に熱いものを感じた。
ここしばらく、胸につかえていたものが降りた気がした。
お酒が、これほどおいしく、頭をゆらゆら心地よくさせるものだと
あらためて、あらためて感じた一瞬だった。

まだまだ、これからが本番で
候補企業との面談が待っている。
ライバル企業もあるようだ。
よく見極めて、検討して、勝算ありとの手ごたえが出たら、
わたしも、社長とごいっしょして、
候補企業の社長さんにお会いし、
わが社の姿勢、その社長さんのご協力の必要性を訴え、
お願いをしにいくつもりである。
ふだんから、ひとかたならぬお世話になっている
お客様へできるささやかな貢献だと考えている。

しかし、それは大変な決断である。
大きな投下資金、その調達と返済のための利益をあげる必要性・・・
今の会社を守り、社員の生活を守る、
一方で、業績を挙げていなけばならない。
よく観察し調べ、慮り、思考力を駆使し、胆力をもって決断しなければならない。
身ぶるいがするほどの覚悟が必要である。

コンサルティングに強い経営エンジン研究所 税理士法人小笠原事務所
大阪 小笠原 でした。

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