御堂筋税理士法人創業者ブログ

要約

1 成果をあげるためには、組織への貢献に焦点を合わせなければならない

2 貢献は、業績、価値観、人材育成の3つの領域による

3 専門家には自らの専門性を全体への貢献に関連づけさせる

4 それにより、コミュニケーション、チームワーク、自己開発、人材育成の4つの生産的人間関係が充足される

プロローグ

 『経営者の条件』に書かれている5つの習慣力、今回は2つ目の『組織への貢献から仕事を定義する』についてです。成果の制約条件である時間管理の大事さが分かったら、次はあなたの仕事の定義です。ものごとは目的や意義があやふやだったり、まちがっていたりしたら成果は出ません。ですからドラッカーは仕事の定義を二番目に持ってきているのです。

1 貢献に焦点を合わせる

 私たちはふだん日常の仕事に没頭しています。しかし仕事から目を上げて、目標に目を向けなければなりません。そして「組織の業績に影響を与えるような貢献は何か」と自らに問わなければなりません。自らの責任を中心に据えなければならないのです。

  たとえば経理部長の仕事を貢献から定義すれば、それは「経理部長です」ではなく、「経営管理者が正しい決定をできるように情報を提供しています」ということになります。

 このように貢献に焦点を合せることにより、専門分野だけにではなく、全体の業績に対し注意を向けることができるようになるのです。成果が存在する唯一の場所である外部の世界に対し注意を向け、専門分野や技能や部門と組織全体や組織の目的との関係について徹底的に考え、組織のアウトプットの究極の目的である顧客の観点から、ものを考えざるを得なくなります。その結果、仕事とそのやりかたが変わるのです。

2 貢献の3つの種類

① 業績

 売上・利益の業績です。これは常に重要で栄養のカロリーと同じです。しかし、カロリーは常に最も重要ですが、それだけでは健康は保てません。

② 価値の創造と再確認

 組織が健全な方向性と活動を保つためには、価値へのコミットメントとその再確認が不可欠です。それは人体におけるビタミンやミネラルと同じです。

③ 明日のための人材の育成

 組織は生身の人間の限界を超える手段です。そのために組織は、明日の幹部を今日用意しなければなりません。私の見る限り中小企業ではこの意識と実践が徹底的に弱く、ために発展しないばかりか、多くが廃滅していくのです。

 貢献に対するコミットメントは、責任を持って成果をあげることに対するコミットメントで、それなくしては、人間自らをごまかし、組織を壊し、ともに働く人たちを欺くことになるとドラッカーは述べています。

3 専門家の貢献

 複雑化した現代社会では、中小企業でも財務・マーケティング・情報などの専門家が必要です。専門家は、物サービスは生産せず、アイデア・情報・概念を生産します。専門家の課題は自分目線の克服でしょう。そのためには、自分のユーザーに何を知ってもらい、理解してもらわなければならないかをしっかりと考えなければなりません。専門分野と組織全体との関係を考え、専門用語を使わず理解してもらうことがとてもだいじです。

4 人間関係のあるべき姿

 経営者・幹部は、自分の仕事や他者との関係で貢献に焦点をあわせることでのみよい人間関係(生産的な関係)をもつことができます。そのための要件は次の4つです。

① コミュニケーション

   まず、部下が自分に期待されている貢献を十分考えなければなりません。その上で上司は部下の考えの妥当性を判断しなければなりません。

② チームワーク

 貢献に焦点をあわせることで、横のコミュニケーションが生まれチームワークが生まれます。私の仕事が成果に結びつくには、だれがそれを利用してくれなければならないか?です。仕事は多様な知識・スキルをもつ人たちのチームで行なわれます。共通の目標がなければチームワークは成り立たたないのです。

③ 自己開発

 業績への貢献を自らに問うことは、いかなる自己開発が必要かを問うことです。いかなる知識・スキル、強み、基準が求められるかを考えなければなりません。

④ 人材育成

  貢献に焦点を合わせるならば、部下の自己開発を触発することが不可欠です。そのためには仕事の基準を設定し、卓越性を要求する必要があります。強い意欲、野心的な目標、大きな影響のある仕事の要求です。人は課される要求に応じて成長し、自分が業績や達成とみなすものに従って成長します。多くを要求すれば、やがて達人にまで成長できるのです。

以上

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