御堂筋税理士法人創業者ブログ

 皆さん、こんにちは。さて、しばらく前から信用調査情報の会社、帝国データバンクさんのお客様向けの情報誌に、小生のドラッカー思想に関する記事が連載されています。少し月おくれになりますが、ブログにも掲載させていただきたいと思います。ご興味があればご覧ください。

 第1回は、中小企業経営の3つのポイントと題して、ドラッカーが『マネジメント』の中で述べている、小企業の経営の要諦についてまとめてみました。

「小企業は大企業以上に組織的かつ体系的なマネジメントをもたなければならない」
(『マネジメント』下巻P66)
これは私にとっては非常に大事な言葉です。

さて今日のお話は次のようになります。
1 経営の教科書はドラッカーに尽きる
2 本の中身は大企業向けで難しいが、小企業の経営のくだりは中小企業経営者の経営のバイブルである
3 小企業の経営ではマネジメントのしくみを確立させること、そしてニッチNo1戦略、数字による経営の見える化、経営者・管理者がマネジメントの仕事をすることの3つに注力をすることが大事である

1 プロローグ
 皆さんはじめまして。私は大阪の淀屋橋で会計事務所と経営コンサルティング会社をしている小笠原と申します。このたびご縁をいただき、私が信奉してやまない経営学の巨星、ピーター・ドラッカーさんの考え方、とりわけ中小企業の経営への活かし方のお話を、本紙上毎月させていただくことになりました。
 さて、ドラッカーさんの魅力は、何といっても経営全般を網羅したその思考の範囲の広さと、そして現在までも通用する思考の本質性と高さにあります。すばらしい経営思想家はたくさんいらっしゃいますが、ドラッカーさんはその中でも富士山のような群を抜く存在の方だと思います。いつになってもその内容はかぐわしく、これこそ古典という名にふさわしい著作だと思うのです。
 ところで、「お前にドラッカーさんを語る資格があるのかね?」と訝られる向きもおありかと存じます。そこで本論に入る前に、少しそのことについて話をしておきたいと思います。私は昭和27年(1952年)大阪の上本町(近鉄電車のターミナル)にある飲み屋街のすし屋の小倅として生を受けました。店と奥が一体という商売人の雰囲気の中で育ち、不況期の真っただ中、久保田鉄工(現クボタ)に就職し、その後会計事務所業界に転じ、現在に至っております。零細企業、大企業での勤務、家業、勤め人、創業者の経験を経、今は経営もバトンタッチし、一介のコンサルタントに戻りお客様の経営に関わらせていただいております。
その際、ものを考える基軸として常にドラッカーさんの教えを読み解きながら、自分なりにそれらをどう実践に落とし込んでいけばよいかを、実験台である自社とお客様の会社で試してきました。その中から私が体験的に確信していることを皆さんにお話ししたいと思います。では自称、『なにわのドラッカー』になりたかった男の話を始めましょう。

2 マネジメントのだいじさ
 ドラッカーさんの代表作はなんといっても『マネジメント』でしょう。今はダイヤモンド社からドラッカー全集の中で上中下3巻として、読みやすい翻訳で出されています。これを機会にひも解いていただければと思います。この本は広く経営全般のあり方を述べたものです。ドラッカーさんの本は一般に大企業の話が中心になっており、また問題意識と洞察力がとてつもなく高いので、私たち凡人は、内容の意味をどう捉え、どう実践に落とし込めばよいか困ることが多いのです。
その中で中小企業の経営について述べられているのが、第54章の「小企業の経営」という一章です。 ドラッカーさんは、大企業と中小企業は補完関係にあり、小企業がなくなることは決してないとしたうえで、小企業の経営の要諦について、「小企業は大企業以上に組織的かつ体系的なマネジメントをもたなければならない」と言っておられます。それはどういう意味でしょう。ふつうに考えると話が逆立ちしているように思われます。そこにはドラッカーさん一流の逆説による警告があると思うのです。しかし、中小企業の経営に深く関わっている私にとってこの言葉は実感を伴って耳に響きます。ほとんどの中小企業はオーナー経営者が起業したものです。昭和的な感覚では、ご主人が起業し、奥さんが経理や事務でサポートするかたちが一般的でしょう。もちろん二人は大企業のような確立したマネジメントのしくみの中で働いたことなどあまりないでしょう。ですから、起こした会社では経営のしくみもあまり整備されていないのが常です。二人がまじめに仕事に取組み、製品やサービスが世間に認められるにつれ、経営の規模は大きくなっていき人も増えていきますが、マネジメントのしくみは元のままです。
 経営では、仕事の内容と同じくらい、経営のしくみがだいじです。それがないとしだいに経営は機能不全に陥り、効率が落ちていきます。ところで、マネジメントという言葉には2つの意味があります。経営の進め方・しくみという意味とマネジメントの人間という意味です。ですからドラッカーさんの上の言葉には、経営のしくみと共にしっかりとした幹部の存在が不可欠だという意味もあります。

3 中小企業におけるマネジメントの要諦
 では、マネジメントのしくみとは具体的にどのようなことをいうのでしょうか?それは、例えば組織のあり方、意思決定の権限のあり方、経営のコミュニケーションのあり方、しごとの標準化、人の処遇のしくみ、人材育成のしくみなどです。一般に中小企業で、こうしたことはほとんど整備されていません。そのために、経営におけるエネルギーが無駄に使われています。これは惜しいことです。
 その上で、中小企業が高業績企業になるためにぜひともしなければならないこととして、ドラッカーさんは次の3つを挙げています。①ニッチNo1戦略をもつこと、②経営を数字で見える化すること、③経営者・幹部がマネジメントの仕事をすることです。
①はターゲット市場、お客様、用途、技術を特化させて、そこにおいて人気No1になることを言います。中小企業は人とお金という経営資源が限られているためです。ですから中小企業において戦略とは常にニッチNo1になる方策をいいます。②は経営をしていくには、戦いと同じように情報が必要であり、スポーツなどと同じように成果を挙げるためには数値管理をしていく必要があるということです。これを経営の要諦として2つ目に挙げているところが、ドラッカーさんの炯眼さです。③は中小企業では経営者や幹部がえてして営業や生産などオペレーションにかまけてしまう状況に鑑み、本来の仕事、マネジメントを①と②を用いて行っていくようにとのアドバイスです。
30代の頃、私はこれを読んでいたく感激しました。お客様の経営を見たときに、まさしくこの3つが必要だと感じたからです。以後、私はこの教えを基軸にお客様の高業績化に取り組んできました。実際の取組みでは、1 戦略計画を立てる→2 経営を数字で見える化する(経営のコックピットづくり)→3 会議で検証と仮説立てをくり返す→4 マネジメントのしくみをつくり人を育てる(自ら育つのですが)という手順を踏んでいきます。個々の局面での取組みの考え方は、ドラッカーさんの著作の中に王冠に飾られている数多の宝石の如く散りばめられています。これから、それらについていっしょに考えていきたいと思います。しばらくのお付き合いとなりますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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