御堂筋税理士法人創業者ブログ

 ひさしぶりに安岡先生のご本を拝読。ちょっと長いですがご紹介。本書、主としてかの松陰先生も尋ねられた肥前平戸、その英主、松浦静山候の『甲子夜話(かっしやわ)』中に引用された『水雲問答』(安中藩主板倉綽山候と大学頭林述斎の往復書簡)を解説。

まずは-治と乱-
◆英主とは人を蒸化する春風駘蕩の人柄たれ
雲(綽山候)「治国の術は人心を服し候こと急務と存候。人心服さねば良法美意も行われ申さず。施と寛に非ざれば人心服し申さぬなり。人心服し申候肝要の御論伺いたく候。英明の主、とかく人心服さぬ者と。いかがのことに候や伺いたく候。」
水(述斎頭)「施に過ぐることは濫賞の弊あり。寛に過ぐるときはまた縦弛の弊これ有り候。是れ等を以て人心を得候は、最も末なる者に候。我が徳義おのずから人を蒸化候処之れ有り候へば、人心は服し候者と存じ候。英明主に人の服し申さぬは、権略にかたより候より、人其の為(す)る所を詐欺かと思い候ゆえに候。蕩然たる徳意内よりみちて外に顕わるる時、あるもの誰か服せずして有るべきや。施もすまじきには非ず。人君の吝なるは失徳に候。寛も捨つべからず。過酷納瑣の君は下堪え難きものに候」

◆事の次第を把握してこまごま管理せずに部下に任せること
雲「徳義の弊は述情に陥り、英明の弊は叢脞(そうざ=ことこまか)に成り申候。人君は人を知り委任して、名実綜覈(そうかく=あきらかにする)して督責して励ますより外、治世の治術は之れ有るまじく存候。」
水「名実綜覈を知って委任するの論、誠に余蘊なく覚え珍重に存候

◆国を栄させるは公に殉じる志、滅ぼすは私欲による
雲「凡そ国家の敗は私より起り申候。一体の志社稷にあれば、私ありと云うとも亡びず。漢武これなり。一体の志 私にあり、飾るに社稷を以てすれば敗る。唐明皇これなり。私意を去る法いかが心得申すべきや。伺いたく之れ有り候。」
水「去私の術、勉学の外之れ無し。」

◆人格識見は識才学からなるが、識は先天的で凡人は学が肝要
◆それでも凡人には偏些なところがあるからよく自覚注意のこと
雲「凡そ人は才学勝れ申候も、一箇の識無くしては、天下の事は了得申さず候ことにや存候。識の進み方、学問より外之れ有るまじく、いずれ見通し申す識なくして、大事は出来申すまじく候。鑒裁(かんさい=考えて決めること)明断も識中より流出仕候ことと存候。」
水「識は才学より上たること高諭の如し。識天分に得るあり。学に得るあり。一様ならず。天分識ありて学を兼ねる人、大事を預けて断ずべく、百千年のことも議すべし。天分たらず、ようやく学によりて識を得る人、当否に偏なる所あり。」
「いそがずばぬれざらましを旅人のあとより晴るる野路の夕立」(太田道灌)-時世に猪突猛進は禁物-

◆こざかしい部下の使い方と伸ばし方-追いつめは逆効果
雲(綽山候)「小人を御すること、余りその罪を責むる時は害必ず生ず。罪服するには小過ありとも罪の発するを待ちて可なり。易に革面又は不悪而厳とあり。名言と存候。」
水(述斎) 「獣窮なお戦う、況んや人をやと申したる通り、勢に候もの。仰せの如く御尤に存候」
(小人(才あって、徳に欠ける者)を使うには、罪をあまり責めすぎず、自らの罪過を納得するまで待ってやること、易経の革の卦に曰く、順を以て君に従うと。つまりある時期がきて、これはいけないと気がつくと、利にさとい証人は敏感に態度を改め、おとなしく上に従っていく。また、菜根譚に曰く、小人を待つは厳に難からずして、憎まざるに難しとある。追いつめられると獣ですら反撃する、まして人間にあっては当然のことであり、あまりに過酷に罪を責めると弊害を生じる。)

◆経営では理念・志が最重要
「天下の事は、始有りて終り無き者多し。結局を其の始に定むること最も要緊と為す」
(天下のことは、最初はうまく行くが、終わりを全うしないものが多い・何事も初めにどう決着をつけるかを決めておくことが大切である)

◆子供を育てるのは他人に預け、父は範を垂れること(超納得)
教育とは、師につけて師友たらしめ、父自らは厳として手本を示すことである

以上、いかがでしょうか。

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