差別化の武器、コミュニケーションの勉強
2024.06.15
コンサルティング
私どもの仕事は、中小・中堅企業と個人の相続・資産活用に関しての、会計事務所を主体とした問題解決サービスの提供です。そしてその姿勢として”Solution&Accompany”ということをめざしています。最近社内での主だったメンバーの共通認識は、IT技術などではとても巨大企業には太刀打ちできないということです。しかしAccompany、つまりお客様に寄り添う姿勢で他所を圧倒できることは可能ではないかと思うのです。そこで私たちのメンバーのコミュニケーション能力を磨きに磨くことがだいじだなあと思いだしているのです。
ということで、ものを考え探求する役割の私は、思い立ってあれこれとお客様とのコミュニケーションにまつわる本を読みあさっているところなのです。NLP(神経言語プログラミング)といってセラピーの達人の魔法の技をだれにでもできるようにした技法をとっかかりとして、その達人たちの著書や、その根底にある理論やコーチングの技法や考え方、さらにそこから自律訓練法や自己修練法にいたるまであれこれと学んでいるのです。さらに先日は実際に催眠療法も体験してみました。まだまだ読むべき本や体験すべきプログラムもありますが、いままでのところで感じていることをお話しておきたいと思います。
心理学の研究は19世紀から本格化したと思いますが、こころの病のセラピー的治療はフロイトに始まると思います。そして様々な研究者や療法家が様々な考え方を展開していますが、NLPでその理論的基礎として取り上げられているのは、催眠療法のミルトン・エリクソン、ゲシュタルト療法のフリッツ・パールズ、家族療法のヴァージニア・サティア、そして来談者中心面談法のカール・ロジャーズの4人です。彼らの著書には録音技術で可能になった実際の施術の臨場感あふれる記録がたくさん載せられていてとても参考になります。
またコーチングやNLPの技法をまとめた本のたくさんあり、それぞれの著名な実践者がなーるほどというような理屈や技法を教えてくれます。またその前提となる人間の表象(つまり意識)の構造やあり方、言語の表現の構造、意識や考えていることの五感(目の動き・聴覚・体感覚など)への現われ方、それを通じて私たちは相手の真意や感情をどう的確に洞察できるか、またどのように考え方を変えれるか、動機づけできるかなど、それは深遠な理論が展開されます。
さらにどのような心がまえ、技法でコミュニケーションを進めて行けば、創造的で建設的な対話ができるか、そして相談者に深い自己理解に至らせることができ、自らが望むことを実行、実現していけるか、それをどう援助できるかについて、催眠療法(ヒプノセラピー)の体験からの気づきも含め、多くの学びを得ることができました。
特にカール・ロジャーズの著書から、説諭や説得などではなく、傾聴(精聴)と非指示的コミュニケーションを通じて、相手がどのように成長していけるかの論には心底影響を受けました。これは認知発達心理学の大家、ジャン・ピアジェの考え方にも共通ですが、人は常に成長のプロセスにある存在であるという考え方には心から同感します。
こうした人間の言語構造と五感から読み取れる深層心理の理解、もう一人の私という思考のメタ構造、共感的で非指示的なコミュニケーションのあり方などをしっかりと理解し、それらの考え方を基に面談や対話ができれば、およそ本能のままにコミュニケーションをしている他社とは、一味も二味もちがう価値を生み出すことができるのではないかと秘かに考えているところなのです。
特に『メタ』という概念はとても重要なものだと今考えるようになっています。メタとは「その次元を超える一つ上の次元」というような感じの言葉です。たとえば『メタ意識』といえば、意識を意識している意識、『メタ思考』といえば、思考を思考している思考といったようにです。これはとてもReflexional(ふり返り的・自省的・反省的)な姿勢でものごとをより深くとらえ、よりたくさん気づきを得られる思考のフレームではないでしょうか。
「問題はその問題を捉えるのと同じ次元からは解決策は出てこない。」これはバートランド・ラッセルがプリンピキア・マテマティカで打ち出した論理階梯理論の説だそうです。階梯とははしご段のようなものだと思いますが、この理論が、思考の階梯としてアルフレード・コージプスキーの一般意味論に取り込まれ、また別な形ではグレゴリー・ベイトソンの学習レベルの理論にも反映されているとのことです。
私は、かつてクリス・アージリスからピーター・センゲ、エドガー・シャインなどの著作家から、『ダブルループ学習』といういことを教えてもらい、こうしたメタ学習の重要性を意識してましたので、メタ的な考え方には強く触発されているのです。
またこれは副次的な効果かもしれませんが、自己催眠により自律訓練法を行なっていくと、自己解放、自己観照、自己啓発、自己統制が進み、感情の乱れがなくなり、よく言えば四六時中トランス状態になり、集中力が増し、どんどん気づきが増すように思われます。さらに心身相関の関係から感官の統制が整い、体調が大変に整ってくるように思われるのです。これはとてもすばらしい。ぜひ皆さんも試されることをお奨めします。
こうしたことをベースに今後どのようなメンバーのコミュニケーション力深化のトレーニングをすべきか社内で検討し、秋ごろには実施していきたいと思っています。そしてもちろんそこには希望者がいらっしゃればわが社のお客様にもご参加していただけたらと考えているのです。
〈参考図書 Bibliography〉
・新装版ミルトン・エリクソンの催眠療法入門
・ミルトン・エリクソンの催眠テクニックⅠ言語パターン篇
・ミルトン・エリクソンの催眠テクニックⅡ知覚パターン篇
・アンコモンセラピー(ヘイリー)
・リフレーミング(R・バンドラー/J・グリンダー)
・The Structure of MAGIC(魔術の構造)(R・バンドラー/J・グリンダー)
・The Structure of MAGICⅡ(R・バンドラー/J・グリンダー)
・一般意味論(ラポポート)
・コアトランスフォーメーション(アンドレアス他)
・NLPハンドブック(ホール)
・NLPコーチング(ディルツ)
・メタコーチング(ホール)
・ゲシュタルトセラピー療法その理論と実際(F・パールズ)
・Satir Step by Step(V・サティア)
・ロジャーズ選集(上・下)(C・ロジャーズ)
・サイコシンセシス 統合的な人間観と実践のマニュアル(アサジョーリ)
・ピアジェに学ぶ認知発達の科学(J・ピアジェ)
・自己催眠(自律訓練法)(シュルツ)
・Drive Yourself Sane(コディッシュ他)
・Beliefs(ディルツ)
・NVC人と人との関係にいのちを吹き込む方法(非暴力コミュニケーション)(ローゼンバーグ)
・ユーモアは最大の武器である(アーカー)
・The Use of the Self(アレクサンダー・テクニーク)