御堂筋税理士法人創業者ブログ

昨日、ある人から事務所にお電話がかかってきた。
Nさんという名前をお聞きして、一瞬誰だろうといぶかった。
が、すぐに記憶がよみがえってきた。

それは、私が修行の身の頃から
大変お世話になったD社長の妹さんであった。

残念ながら紆余曲折があって
その会社とのご縁は7、8年前に切れた。

それが今頃何だろうか。
多少、胸騒ぎがした。

お電話をおかけすると
とても人懐っこいお声が返ってきた。
お話は・・・予想した通り、
D社長が7月に亡くなられた話と
それにまつわる相続のご相談であった。

実は、先日も家内とD社長との
思い出話をしていたばかりだった。

私がD社長とお知り合いになったのは
今から35年も前のことである。
私が出口会計事務所に入所してまなしのことである。

D社長は、ある会社の専属業者として
大変に信頼を受け、業績もすこぶる堅調であった。

よく食事につれていただき
ご苦労話をお聞きしたものだ。

社長は、お父さんが極道な人だったよし
それでもきまじめで
ご自分が体一つで高校を出て働かれ
それこそ働きづめで
弟さんお二人を養われ
学校を出させた。

当時この会社は
帳簿は全く整備されておらず
若い私の格好の指導練習の場であった。
いろいろなご相談に乗り
またD社長も、何でも相談してくださった。
深夜まで、むさくるしい我が家で
経営のご相談をさせていただいたこともあった。

それだけにこの会社には
私も思い入れがあったし、
高い業績と財務内容は私の誇りでもあった。

会社には弟さんがおり
のちにはご長男さんも入ってきた。
さらに甥御さんも入られ
また奥さんや、電話を下さった妹さんも
お仕事に関わっておられた。
それこそ一家総動員
そしてD社長は大黒柱であった。

D社長は発展家で
スーパー、焼き肉店、梱包資材製造、金属加工など
次から次へと事業を展開させていった。
うまくいったもののあれば、うまくいかなかったものもあった。

いろいろ家族間でのささいな問題はあっても
事業はおおむね順風満帆であった。

ところがある事件をきっかけに
社長の運命は暗転していった。

それは昔世話になった人を信じて
お金を貸したのである。
D社長は人を信じやすいところがあった。
独断で貸したお金は7千万円
それを詐欺師の政治家弁護士にだまし取られたのである。

これをきっかけに
奥さんや家族と不仲になり
D社長はいたたまれなかったのだろう
家を出て、新たな金属加工の仕事にのめり込んでいった。

そして、よくある話だが
ある女性と仲良くなり
家や会社とは疎遠になっていった。

私が存じていたのは
そのころまでである。

その後のことは
今回Nさんの話で初めてお聴きした。

その後、会社ではご長男と弟さんが仲たがいし
3年にわたる裁判で弟さんは会社を追われたとのことである。

幸いにも奥さんは立派なおうちを建てられ
ご長男も隣に家を建てられたとのことだ。
女性との関係は続いていたらしい。
さまざまな紆余曲折があったのである。

それが先月、娘さん以外には家族にも知らせず
心臓の手術を受けるということで入院された。
だが、不幸なことにそのまま不帰の人となってしまわれた。

後には金属加工会社に2億円の借金があるという。
全体のことは私にはわからない。
本体の会社は無借金に近くまで回復したという。

さて私にできることはあるのか、どうかわからない。
あれば誠心誠意お話をお聞きし、
できることはして差し上げるつもりにはしている。

おりしも、ちょうど今
ソフォクレースという人の書いた
ギリシャ悲劇『アンティゴネー』を読んでいるところだった。
これは、それと知らず父を殺し、
母をめとったオイディプス王の悲劇の後日潭である。

オイディプス王の死ののち
1年交代で王に立った
二人の息子たちの対立と相討ちの死
次に王になった弟クレオン王の命を聞かず
兄を埋葬しようとした娘の決意と死
そして、娘といいなずけであったクレオン王の息子の自害
なんとも凄惨な運命の話である。

ギリシャの悲劇作家が描いたのは
強い人格像とそれを襲う
止めようのない悲劇である。
その中で立ち向かい、葛藤し、
翻弄される人間たちの叫びである。

こうした疑似体験の中から
我々は身につまされ、
そうでないことを安心し(それはわからないが)
そして、反省もするのである。

私の周りのお客様方は
皆さん中小企業の経営者の方々である。
そして、日々さまざまな葛藤を体験され
そして、お話をいただき、相談いただく。
その葛藤の引き金は、
因縁となった経営者自身である。
そしてその経営者自身も前世代からの因縁の犠牲者である。

私自身も祖父の代からの商売人の家庭であった。
そして因縁を抱え、それがさまざまな面で影を落としていた。

幸い、大事には至っていないようにも思う。
そして、なにより私自身の家庭や身の回りは
私がそれらをブロックしてきた。

それが他の家族や親族から
どう映っているのかはわからない。
果たして、それで良かったのかどうかも
実のところわからないが、
私としては是としなければならない。

私自身がそうであったように、
当代の経営者の方々には
因縁を断ち切って、善政を確立してもらいたい。
これが私の切なる願いだ。
そのために学びがある。

コンサルティングに強い御堂筋税理士法人&経営エンジン研究所
大阪 税理士 小笠原 でした。


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