御堂筋税理士法人創業者ブログ

10月から、とあるお客様の会社で、

次世代を担う幹部を育てる取組みをします。

 

彼らは今、売上を上げ、

粗利益を稼ぐことに汲々としています。

そして、自分の部署の管理は

みようみまねでしています。

それで疲弊しています。

部下から同情すらされているのでは

ないでしょうか。

 

これは、経営の怠慢です。

すなわち、支援する私の怠慢です。

彼らに対して

援助の手を差し伸べてこなかった。

申し訳ない思いでいっぱいです。

 

さて、彼らとともに学び、

彼らに授けたいスキルは

マネジメントです。

 

それにあたって、

マネジメントとはなにをすることなのか

そこのところをしっかりと

伝え、彼らの腑に落としてもらうことが

不可欠の前提だと思い当たりました。

 

初秋のあさまだき

ふと意識が灯って、眠気が吹き飛びました。

矢も楯もたまらず、

ドラッカーさんにすがりつきたく

『マネジメント』をまたもや繙きました。

 

マネジメントの課題は2つ

1 1人と1人の力を合わせて、

  それを超える成果を出させること

2 短期と長期の取組みの

  両方を行なう

だと、ドラッカーさんの教えを

理解しています。

 

ということは、マネジメントを教えるとは

仕事を分析し、推進する力と

人間を統合し、総合させる力の

両方が必要だということです。

 

したがって人間を扱えない者は

当然に管理者としておけない。

いいですよね!

 

ページを開いたのは

第31章 マネジメントの仕事 です。

 

「マネジメントの人間たるためには、

肩書きや個室(欧米では与えれる)などの

地位のシンボル以上のものが必要である。

卓越した能力と高度の仕事ぶりが

要求される。

 

しかし、マネジメントの仕事のためには、

天賦の才は必要か。

直観と方法論のいずれが重要か。

マネジメントの人間は

いかに仕事を行うべきか。」

 

ドラッカーは

論を進めるにあたり問いを立てます。

 

「マネジメントには二つの課題がある。

 

(1) 第一に、部分の総和よりも大きな全体、

  すなわち投入した資源の総和よりも

  大きなものを生み出すことである。」

 

これが1+1>2の話しです。

ちなみにこうしたことは人間の力に

しか起こりえません。

 

「それは、自らのビジョン、働き、

 リーダーシップによって、

 多くの楽器をまとめあげる

 オーケストラの指揮者に似ている。

 

 だが指揮者が手にしているのは、

 作曲家の手になる楽譜である。

 これに対し組織のマネジメントは、

 指揮者であると同時に作曲家である。」

 

チャップリンのように、

つまり作家で演出家なのですね。

 

「そのためには、

 自らの資源、特に人的資源の

 あらゆる強みを発揮させるとともに、

 あらゆる弱みを消すことが

 できなければならない。

 これこそ真の全体を創造する

 唯一の方法である。」

 

メンバーの得意を活かして

活躍してもらうことで、

チームとして、

1人ひとりの単なる合計を超える

最高の総合力が

発揮されるわけです。

これは団体スポーツの原則です。

だから、人の弱みにばかり

目の行く人間を

管理者にしてはならない

と説いています。

 

「事業のマネジメント、

 人と仕事のマネジメント、

 社会的責任のマネジメント

 という三つの役割をバランスさせ、

 (この3つが役割なのだ)

 調和させるのは

 マネジメントの人間である。

 

 この三つのうち一つでも犠牲にすることは、

 組織全体を弱体化させる。

 マネジメントが行うあらゆる決定と行動が、

 これら、マネジメントの三つの役割

 すべてにとって適切でなければならない。

 

(2) 第二に、

  自らのあらゆる決定と行動において、

  直ちに必要とされるものと、

  遠い将来に必要とされるものとを

  バランスさせることである。」

 

つまり目の前の仕事と、

未来を見据えた仕事の両方です。

ということは、未来を見据えることは

不可欠だということを意味します。

 

「いずれを犠牲にしても

 組織は危険にさらされる。

 いわば、石臼に鼻を突きつけつつ

 丘の上を見るという

 曲芸をしなければならない。」

 

石臼は、今日の糧を得るために

小麦粉を作るたとえです。

丘の上を見るとは、

明日の糧を生む種まきに

思いを馳せねばならぬという

そのたとえです。

 

「もちろん

 100日先のことを考えないようでは、

 100年先はない。5年先さえない。

 今日についてだけでなく、

 将来の目標や原則に照らしても

 健全でなければならない。

 短期と長期は、

 たとえ調和させられなくとも

 バランスはさせなければならない。」

 

両方をよく考え、

関係づけていなければならない

ということです。

 

「今日のために

 明日犠牲となるものについて、

 あるいは明日のために

 今日犠牲となるものについて

 計算しなければならない。

 

 それらの犠牲を

 最小にとどめなければならない。

 それらの犠牲を

 いち早く補わなければならない。

 

 こうして組織全体と自らが率いる部門の

 双方に責任をもちつつ、

 二つの時相を生きなければならない。」

 

相当な総合的視野と洞察力が要るのです。

いずれにしてもここに

成果を出すために必要な二つの視点

1 より高く広い視点でものを見る

2 長い目でものを見る

が求められることがわかります。

 

このあと彼は、

マネジメントの5つの仕事を解説

しています。。

 

ここは要約しておきますと、

5つの仕事とは

1 目標の設定

2 組織化

3 チームづくり

  動機づけとコミュニケーション

4 評価

  評価ほど成果に重要な要因はない

 (われわれは本当に判っているか?)

5 自己と部下の人材育成

の5つです。

 

評価のところだけ全文をご紹介しましょう。

 

昨今(といってもいつの世もそうだが)、

人事・評価はどのお客様でも

取り組むべき喫緊重要課題だからだ。

 

「評価をすることである。

 すなわち評価のための尺度を定める。

 (これがやることの第一)

 評価の尺度ほど、組織全体と

 一人ひとりの成果にとって

 重要なことはない。」

 

この一言をずどんと

すなおに腑に落として

そうなんやあ!

と取組み実践につなげることが大事です。

 

「部下の全員が

 組織全体の成果と自らの成果について

 評価の尺度をもつようにする。

(組織全体の成果も

 知らしめなければならない)

 

 彼らの成果を分析し、評価する。

 尺度の意味と成果を

 部下と上司、同僚に知らせる。」

 

最終は、自己成長です。

なぜなら人間の成長は

それによるしかないからです。

そのためには、前提として

自己評価が必要です。

そして、上司の評価が必要なのです。

そういうしくみに

しなければならないのです。

 

次にマネジメントに必要な能力だが

ここも要約に留めます。

 

これら5つの仕事に

必要とされる能力は多様です。

その能力とは、

バランス感覚、分析力、統合力、

対人能力、そして真摯さです。

 

最後に、

マネジメントの資源は人である

という小節に至ります。

 

これこそ、

マネジメントを考える、する上で、

単に腑に落とすだけでなく、

いなずまのように、

身体を突き抜けて、

地の底までに至るような

受け止めが必要なことなのです。

 

「マネジメントは、

 人という特殊な資源とともに仕事をする。

 人はともに働く者に特別の資質を要求する。

 

 人と働くことは

 その成長に関わりをもつということである。

 いかにともに働くかが、

 個としての人間

 および働く者としての人間の成長を

 助けるか妨げるかを左右する。

 

 このことは、

 マネジメントの対象となる者だけでなく、

 マネジメントする者にも当てはまる。

 

 部下を正しい方向へ導き、

 より大きく、より豊かな人間にすることが、

 直接的に、

 自らがより豊かな人間となるか

 より貧しい人間となるか、

 成長するか退化するかを決める。」

 

ここに部下の成長は

他人事でなく自分の問題であるという

深い洞察があります。

抜き差しならないのです。

あなたはどうしますか?

 

「人のマネジメントに関わる能力は

 学ぶことができる。

 人材開発に有効な方策を

 講ずることもできる。

 だが、それだけでは十分ではない。

 

 スキルの向上や仕事の理解では

 補う事のできない

 根本的な資質が必要である。

 すなわち真摯さである。

 

 最近は、愛想をよくすること、

 人を助けること、

 人づきあいをよくすることが、

 マネジメントの資質として重視されている。

 だがそのようなことで十分なはずがない。

 

 事実、うまくいっている組織には、

 必ず一人は、手をとって助けもせず、

 人づきあいもよくない者がいる。

 

 この種の者は、気難しいくせに

 しばしば人を育てる。

 好かれている者よりも

 尊敬を集める。

 

一流の仕事を要求し、自らにも要求する。

基準を高く定め、それを守ることを期待する。

何が正しいかだけを考え、

誰が正しいかを考えない。

自ら知的な能力をもちながら、

真摯さよりも知的な能力を

評価したりしない。」

 

このくだりこそ

ドラッカーが力説したかったことです。

テクニックはいい、

しかし心根なのです。

そしてそれは後述するように

とんでもない高みなのです。

 

「逆に、このような資質を欠く者は、

 いかに愛想がよく、助けになり、

 人づきあいがよかろうと、

 またいかに有能であって

 聡明であろうと危険である。

 そのような者は、

 マネジメントとしても

 紳士としても失格である。

 

 これは人間としての

 見限り宣言です。

 是が非でも

 アケロン(三途)の河を

 渡ることのないように

 われわれは、木の葉にすがってでも

 こちら側の岸にたどり着き

 土を踏まねばなりません。

 

「マネジメントの仕事は、

 体系的な分析の対象となる。

 マネジメントにできなければならないことは

 学ぶことができる。

 

 しかし、学ぶことのできない資質、

 後天的に獲得することのできない資質、

 初めから

 身につけていなければならない資質が

 一つだけある。

 才能ではない。真摯さである。」

 

重すぎる託宣です。

われわれはどう受け止めれば

よいのでしょうか?

 

マネジメントの不適格者として

静々と退場すべきなのでしょうか?

しかし、キリストの神ですら、

最後の審判まで待つといいます。

われわれは

ただ洗心し専心することが

許されるのではないでしょうか。

 

深く、重く考えさせられる一章です。

 

経営コンサルティングと

会計事務所の統合

 

組織デザイン研究所&

御堂筋税理士法人

 

小笠原 でした。


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