こどもへの教え、一生の学び~小学をまとめ終えました。
2013.06.28
ブログ
よいリーダーになりたい、なってもらいたい。
これはふつつかな私の、ひとつの重要なテーマです。
ご存じかもしれませんが、私はけっこう儒教哲学の考え方に惹かれています。
儒教哲学では、社会の統制指導原理を、徳においています。
そこでは、父子の間の関係原理を子の立場から『孝』と概念化し、
それを、家族・社会の人間関係に押し広げることで実践するのです。
その関係性は、君臣=忠、長幼=悌、朋友=信、夫婦=別と定義されています。
その中でリーダーシップを学ぶ理論書が『大学』です。
しかし、理論だけでなくそれを実践するための教科書が必要です。
それが『小学』といわれるものなのです。
ところが、この小学はほとんど注目されていません。
私にとっても、小学の学びは長年の課題でしたが、
今月は、けっこうこれを勉強させてもらいました。
そして、けっこう、びんびん来ました。
至らない点、昔の人のまじめさ、気高さにけおされ、
鳥肌が立ち、落涙してしまうことも…
朱子は、聖人になるための勉強の順序を
小学→近思録→孝経→大学→中庸→論語、としているようです。
身近なことから、理論に入り、そして聖人の言行録に至るというわけです。
せっかく、小学を学んだので皆さんにもおすそ分けしたいと思い
まとめを掲載させてもらいました。
ご興味のある方は、ご覧ください。
■小学とは
南宋の偉大な儒教哲学者、朱熹(朱子)が
子供の教科書として、少年に学問の本旨を知らせ、
その師たる人々に少年教育のあり方を知らせようとして、
友人の劉清之に編纂させたもの。
大学が徳行の原理の考究であるのに対して、
それにいたる根本たる修己の実践法を述べたものである。
しかし小学は童蒙の教科書たるのみならず、
学ぶ者が一生その基礎としなければならないものである。
―その通りだと思いました。
■章建てと内容
小学は、内外二篇、全六篇に分かれており、
初めの内篇は経伝を引用した儒教倫理概論、
後の外篇はその内容が正しいことを漢以降の人々の言行により実証したものである。
Ⅰ.内(だい)篇 前漢までの文献により、子弟たり臣下たるものの守るべき規範を明らかにする。
1.立教第一…古人が教育を重んじたこと、その制度の内容などを窺う。
2.明倫第二…人倫、則ち父子、君臣、夫婦、長幼、朋友の関係のあり方をいう。
3.敬身第三…全霊をもって自己の完成に努力することを敬といい、明倫の実践法となる。
・心術の要、威儀の則、衣服の制、飲食の節
4.稽古第四…古人の足跡を調べ、実在の原稿により上述のところを証拠立てる。
・明倫、敬身
Ⅱ.外篇 漢以降宋の諸先輩までの言行を録したもの
5.嘉言第五
・立教…古人の陸橋の主旨を構成の条件に即して明らかにしたもの
・明倫…人倫(親義別序信)に関する構成の嘉言
・敬身…倫理の実践に関する漢以降の賢哲の格言
6.善行第六 漢以来の賢者の行った善行を記して、立教・明倫・敬身を実証しようとする。
・立教を実にす…教育の実行に関する事例
・明倫を実にす…主に父子、夫婦、兄弟に関する事例
・敬身を実にす…敬身の眼目は、自己の主人公たる心の敬に在り、心の敬とは、精神が求道に集中して外物に放散しない状態をいう。
以上
小学抜粋
穉小學序
古者小學、敎人以灑掃・應對・進退之節、愛親、敬長、隆師、親友之道。皆所以爲脩身・齊家・治國・平天下之本、而必使其講、而習之於幼穉之時。欲其習與智長、化與心成、而無扞格不勝之患也。今其全書雖不可見而雜出於傳記者亦多。讀者往往直以古今異宣、而莫之行。殊不知、其無古今之異者、固未始不可行也。今頗蒐輯、以爲此書、授之童蒙資其講習。庶幾有補於風化之萬一云爾。
淳煕丁未三月朔旦、晦菴題
(古は小學、人を敎うるに灑掃・應對・進退の節、親を愛し、長を敬し、師を隆[たっと]び、友に親しむの道を以てす。皆、脩身・齊家・治国・平天下の本と爲す所以にして、必ず其れをして講じて、之を幼穉[ようじ=幼い]の時に習わしむ。其の習い、知と長じ、化、心と成り、扞格[かんかく]して勝えざるの患い無からんことを欲するなり。今、其の全書は見る可からずと雖も、傳記に雜出する者亦多し。讀む者往往直[ただ]古今の宜しきを異にするを以てして、之を行う莫し。殊に知らず、其の古今の異なること無き者は、固より未だ始より行う可からざるにはあらざるを。今、頗る蒐集して、以てこの書を爲し、之を憧蒙に授け、其の講習に資す。庶幾わくば風化の万一に補い有らんかと爾か云う。淳煕丁未三月朔旦、晦菴題す)
朱子、冒頭の文章です。
趣旨をよくまとめていただき
かつ彼の裂帛の思いが伝わるいい文章ですね。
だいたいの意味は次のようなものではないでしょうか。
子供の教育は、おそうじ、人への応対、場面への出入りの態度といった
行動のしつけによったのですね。
そして、親子、上司部下、先輩後輩、師弟、友達との関係のあり方を学ぶわけですね。
それは、みんな、いわゆる『修己治人』という、
人柄を高めて組織を治める、人柄を修めれば組織が治まるという
リーダーシップ訓練の考え方に従った、幼時トレーニングというわけです。
それは、頭に定着し、その人の習い性となり、
その人の人柄・人格として矛盾ない行動を取れるようになり、
患いのないようになるためなんです。
今日(宋の時代)、その教科書はなくなってしまったわけですが
昔の本のあちこちにその教えは載っているのです。
ところが今と昔とはちがうという理由で、実践する人も少ない。
でも、取り入れてできることもあるのではないでしょうか。
そうした教えを収集し、編集して、教科書にしてみたしだいです。
子供たちの教育の一助になればとこいねがうところです。
朱子が、古代の思想を自分なりに、再編集して
小学が必要だと思ったわけですね。
余談ですが、やはり漢籍は、最低読み下し文で味わいたいですね。
先哲の思いを、格調高く伝えてくれます。
小学に紹介されている、いにしえの賢人方の
思考と行動について
抜粋をしてみました。
また、後日ご紹介しましょう。
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大阪 税理士 小笠原 でした。