ドラッカー経営を中小企業で実践する 第48回小笠原の実践ドラッカー経営 - MIPQのP(生産性)
2026.08.21
お客様の支援
要約
1 生産性は、企業の存続の条件たる「経済的価値を生み出す」活動である
2 今もそうだが今後は、益々生産性が上らないと人材を取れない
3 生産性は、限界利益÷制約資源で計算され、それを高めるアイデアは制約資源を解放することによる
4 生産性は、経営の全要素、全活動が関わるが、主に5つの活動から生まれる
1 生産性の意義と必要性
企業は、ドラッカーがいうように経済的成果を挙げなければ存続できない。かんたんにいえば儲ける必要があるということだ。それは生産性を高めることによる。したがって生産性を高めることは、マーケティングとイノベーションに並ぶ、経営の根幹活動である。
生産性は、限界利益÷制約資源で計算される。限界利益とは、製造業でいえば売上から材料費・外注費を引いた企業が生み出す付加価値であり、販売業では粗利益、サービス業では売上そのものである。
生産性は一人当たり限界利益ともいわれる。それは企業が支払える人件費の原資である。人件費が高くなっていく今後において、高い生産性を実現できるかどうかは企業の存否を決定する。
2 生産性を高める方策
生産性を阻害するものは制約資源であり、生産性を上げるには、限界利益を大きくするか、制約資源を解放し効果性・効率性を高めなければならない。
その方策は、① 付加価値の再定義、② 非付加価値の除去、③ 仕事のプロセスの再設計、④ 仕事のレバレッジを高める、⑤ 個人の能力を高める、の5つに分類整理される。
【生産性を高める方策】

生産性を高めるには、まず自社の成果を生み出す経営資源を特定することである。それは経営者の存在、社員の存在、そして機械などの生産手段である。
さて、限界利益を高めるのが、生産性を高める本質的な近道である。それは値上げや価値の高いものを提供することで実現される。そして、価値のないものをやめることである。
次に、制約資源つまり価値を生み出す経営資源を効率的に活用することを考える。そこでは仕事の流れを見直し、また一つの仕事がより多くの成果を生み出すように工夫しなければならない。ここにおいて昨今のDX化、AI活用が活きる。
そして、最後に働く人、個人個人が生産性を意識して働くことである。これは、生産性を実現する草の根の活動である。そもそも生産性を意識しない社員は、プロフェッショナルとしてのスタンスが欠けていると言わざるをえない。
3 生産性を高める取り組み
このように、生産性は企業の存続を決定する重要な経営課題である。にもかかわらず、世の中小企業の経営者がこれに無関心に見えるのはどうしたことだろうか。世の中小企業の99%は、私の眼にそう映る。なぜなら、経営の目標に生産性の数値を掲げているところは皆無に近いからである。数字の目標をもっていないのだから、実現するはずがない。
ではどうすればよいのか? 次のことを実行されたい。まず経営計画において生産性の目標を掲げることだ。社員には生産性が給料を高め、人材採用を可能にする元手だということを滾々と説いてもらいたい。
そのうえで、最高生産性責任者(CPO)を任命し、彼(女)の元で、全部門の代表者『生産性向上プロジェクト』を組織し、上記の活動を高速のPDCAで進めてもらいたい。その場合次のような生産性のコックピットが必要である。
【生産性のコックピット】
| 領 域 | 取組み課題 | 効果性 |
| 価値の再定義 | 高付加価値商品販売 | 粗利益 ○.○億円増 |
| 工事の販売 | 粗利益 ○.○億円増 | |
| 不採算顧客の粗利益改善 | 粗利益 ○.○億円増 | |
| 取引しない顧客の決定 | 工数削減 ○人 → 粗利益換算 ○.○億円増 | |
| 業務の再設計 | 専門営業部門設置 | 工数削減 ○人 → 粗利益代替 ○.○億円増 |
| しない業務の決定 | 工数削減 ○人 | |
| 業務フロー再設計 | 工数削減 ○人 → 粗利益代替 ○.○億円増 | |
| 標準化・DX化 | 工数削減 ○人 → 粗利益代替 ○.○億円増 | |
| ムダの排除 | してはならない業務の決定 | 工数削減 ○人 → 粗利益代替 ○.○億円増 |
| 個人のPDCAルーティーンの確立 | 工数削減 ○人 → 粗利益代替 ○.○億円増 | |
| 情報活用による適確な増販 | 粗利益 ○.○億円増 | |
| 成長と育成 | 営業の役割分担・チーム化 | 粗利益代替 ○.○億円増 |
| ナレッジマネジメントによる営業効果性UP | 粗利益 ○.○億円増 | |
| 効果性試算 | 1人当り限界利益 | 1,200千円/月・残業時間○h |
4 生産性への取り組みのまとめ
したがって、具体的な生産性向上への取り組みとして、私は次のことをアドバイスさせていただいきた。
① 最高生産性責任者(CPO)を決める
② 生産性プロジェクトを立上げる
③ 外部の専門コンサルタントを招聘する(製造業ならトヨタ系がよい)
④ 経営課題から生産性の項目を抽出し、効果性の目標整合性を試算する
⑤ 生産性UP重点課題を目標管理化、生産性UPのコックピットを設定する
⑥ 取組みを実行し、毎月効果性を検証する(高速PDCA)
⑦ 高い価値の顧客、製品・サービスへのシフト、付加価値UPに取り組む
⑧ 業務分担体制と業務プロセスを再設計し、ムダ・待機・手戻・ロスミスを排除
⑨ 一人ひとりの時間管理を実行し、PDCAと習慣化で個人の生産性を高める
⑩ 生産性を高めるための自己開発と人材育成に取り組む
ぜひ、生産性の重要さを腑に落としていただき、御社の永続と発展のために取り組んでいただきたい。現在の中小企業の生産性は、せいぜい100万円/月程度である。これを最低でも5年で1.5倍に高めてほしいものだ。皆さんの取り組みに期待したい。
以上