御堂筋税理士法人創業者ブログ

年末の読書は

万葉集が終わって、古今集である。

(仕事の本も読まなあかんねんけど)

 

(私が読んだのは角川版)

 

勅撰和歌集は

ぎょうさんあるらしいが、

まずはしろうとコースは

万葉→古今→新古今でご容赦願う。

 

初の勅撰和歌集である

古今和歌集は

醍醐天皇の命で

紀貫之らの選者が

六歌仙の歌を中心に

セレクトしたものという。

 

漢文が猛威をふるった一時代から

やまと言葉の文化への揺返しの中で

編纂されたものと聞く。

 

全20巻、1,100余りの詩を収め

まず全部が和歌である。

テーマは、春・夏・秋・冬の四季と

恋の歌が中心である。

 

万葉の「ますらをぶり」に対して

「たおやめぶり」と言われるが

そうやなあと感じる。

 

事物の率直な感想

という万葉に対して、

事物の変化を

心理的にとらえる

というのが古今てな印象である。

 

まあそれはそれでええ感じである。

 

さて、この古今、序がええなあ

仮名序(和文で書いた序)と

真名序(漢文)がある。

 

仮名序の冒頭をちょっと紹介

 

「やまとうたは、人の心を種として

 よろずの言の葉とぞなれりける。

 世の中にある人、

 ことわざしげきものなれば、

 心に思ふことを、

 見るもの聞くものにつけて

 言ひ出せるなり。

 

 花に鳴く鶯、

 水に住むかはずの声を聞けば

 生きとし生けるもの、

 いずれか歌をよまざりける。

 

 天地を動かし、

 目に見えぬ鬼神をもあはれと思はせ

 男女の仲をもやわらげ、

 たけき武士(もののふ)の心をも

 なぐさむるは歌なり。」

 

うまいこといいはる。

この序は一読の価値あり。

 

(古文書の古今です)

 

さて、わたしがマーカーした

詩歌は次のとおり

それにしても百人一首に

選ばれたのが多いなあ。

それだけ親近感がもてますが。

 

1

年のうちに春は来にけり一年を

   こぞとやいはむ今年とやいはむ

(在原元方)

-巻頭をかざる。ややこしい暦の年ですね

 

2

袖ひちてむすびし水のこほれるを

   春立つけふの風やとくらむ

(紀貫之)

-初春のまだ凍えるばかりの

    しかし清々しい時節

 

17

春日野はけふはな焼きそ若草の

   つまもこもれりわれもこもれり

(よみ人知らず)

-あやめ池から見た春日の山焼きを想いだす

  それにしてもおもろいなあ

 

21

君がため春の野に出でて若菜摘む

   わが衣手に雪は降りつつ

(光孝天皇)

-だれのため、だれなのか、

   とにかくすばらしい!

 

42

人はいさ心もしらずふるさとは

   花ぞ昔の香ににほひける

(紀貫之)

-人間というものと自然とのあざやかな対比

 

53

世の中にたえて桜のなかりせば

   春の心はのどけからまし

(在原業平)

-なんともいえん感慨やなあ

 

84

ひさかたの光のどけき春の日に

   静心なく花の散るらむ

(紀友則)

-無常の人生観に通じますねえ

 

113

花の色はうつりにけりないたづらに

   わが身世にふるながめせしまに

(小野小町)

-花の命は短くてである

 

169

秋来ぬと目にはさやかに見えねども

   風の音にぞおどろかれぬる

(藤原敏行朝臣)

-何かの微妙ななかに

   季節の移ろいを感じる日本人の感性

 

193

月見ればちぢにものこそかなしけれ

   わが身一つの秋にはあらねど

(大江千里)

-秋のわびしさが身に染みる

 

205

ひぐらしの鳴く山里の夕暮れは

   風よりほかにとふ人もなし

(よみ人知らず)

-渓流に独り渓魚を追い求めた身としては

   すっごくわかる

 

215

奥山にもみぢふみわけ鳴く鹿の

   声聞くときぞ秋はかなしき

(よみ人知らず)

-誰かと思ったら鹿やった

 

239

なに人か来てぬぎかけし藤袴

   来る秋ごとに野辺をひほはす

-色っぽいですねえ

 

294

ちはやぶる神代もきかず竜田川

   韓紅に水くくるとは

(在原業平)

-あの『ちはやぶる』ですね

   すずちゃんの顔が目に浮かぶ

 

332

わが宿は雪ふりしきて道もなし

   踏みわけてとふ人しなければ

(よみ人知らず)

-ほんまに孤独です

 

343

わが君は千代に八千代にさざれ石の

 いはほとなりて苔のむすまで

(よみ人知らず)

-君が代の淵源

 

357

春日野に若菜つみつつよろづ代を

   いはふ心は神ぞ知るらむ

(凡河内躬恒)

-素朴ですなおで敬虔

 

403

しひて行く人をとどめむ桜花

   いづれを道とまどふまで散れ

(よみ人知らず)

-わかるわ惜別の情、色彩的ですね

 

406

天の原ふりさけ見れば春日なる

   三笠の山に出でし月かも

(阿部仲麿)

-あまりにも有名

 

411

名にしおはばいざこととはむ都鳥

   わが思ふ人はありやなしはと

(在原業平)

-伊勢物語にも出る名句

 

420

このたびは幣もとりあへず手向山

   紅葉の錦神のまにまに

(菅原道真)

-信心深いが今回はカジュアルなお詣り

 

469

ほととぎす鳴くや五月のあやめぐさ

   あやめも知らぬ恋もするかな

(よみ人知らず)

-恋とは理屈ではない

 

496

人知れず思へば苦し紅の

   末摘花の色にいでなむ

(よみ人知らず)

-人にはそんな経験があるのでは

 

512

種しあれば岩にも松は生ひにけり

  恋をし恋ひばあはざらめやは

(よみ人知らず)

-上の句はことわざで使えそう

 

559

住の江の岸に寄る波夜さへや

   夢の通ひ路人目よくらむ

(藤原敏行朝臣)

-人目を避ける恋

 

645

君や来し我や行きけむ思ほえず

   夢かうつつか寝てかさめてか

(よみ人知らず)

-うつつなのか、夢の回想なのか、けだるい

 

675

君によりわが名は花に春霞

   野にも山にも立ちみちにけり

(よみ人知らず)

-かってにしてください

 

693

君来ずば閨にも入らじ濃紫

   わが元結に霜は置くとも

(よみ人知らず)

-女のいじらしさです

 

708

須磨の海人塩焼く煙風をいたみ

   思はぬ方になびきにけり

(よみ人知らず)

-あぁあ

 

719

忘れなむわれをうらむなほととぎす

   人の秋にはあはむともせず

(よみ人知らず)

-よく知るとイマイチだったんですね

 

723

紅の初花染めの色深く

   思ひし心われ忘れめや

(よみ人知らず)

-鮮烈できれいなあ、

   恋した人の想い出となる

 

732

堀江漕ぐ棚なし小舟漕ぎかへり

   同じ人にや恋ひわたりなむ

(よみ人知らず)

-上の句のいいリズム感、それに心がいい

 

761

暁の鴫の羽がき百羽がき

   君が来ぬ夜はわれぞ数かく

(よみ人知らず)

-これもいいリズム感、着想と聴覚の勝利

 

798

われのみや世をうぐひすとなきわびむ

  人の心の花と散りなば

(よみ人知らず)

-散って鳴くのは私だけか

 

848

うちつけにさびしくもあるかもみぢ葉も

   主なき宿は色なかりけり

(近院右大臣)

-廃屋の風情をうまく表現しているなあ

 

861

つひにゆく道とはかねて聞きしかど

   昨日今日とは思はざりしを

(在原業平)

-そういうもんですよねえ

 

872

天つ風雲の通ひ道吹きとじよ

   をとめの姿しばしとどめむ

(僧遍昭)

-見事のひとこと

 

913

難波潟潮満ちくらし雨衣

   田蓑の島に鶴鳴き渡る

(よみ人知らず)

918

雨により田蓑の島をけふ行けど

   名にはかくれぬものにぞありける

(紀貫之)

-私が住んでいる中之島・田蓑橋のことなので

 

933

世の中は何か常なる飛鳥川

   昨日の淵ぞ今日は瀬になる

(よみ人知らず)

-お見事、そのとおり!

 

962

わくらばにとふ人あらば須磨の浦に

   藻塩垂れつつわぶと答へよ

-人生にはそういうこともある

 

まあまあ、そんなことに共感しながら

味わいましたとさ。

 

経営コンサルティングと

会計事務所の融合

 

組織デザイン研究所&

御堂筋税理士法人

 

小笠原 でした。


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